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ご近所未来ラボ by ご近所SNSマチマチ

ご近所SNS「マチマチ」が運営するブログです。「マチマチ」のお知らせから、参考になるコミュニティデザインの事例まで色々発信していきます!

未来の地域コミュニティの在り方について、まずは気軽に考えてみよう ――「これからの住まいと共同体」presented by 共同体ブラザーズ・イベントレポート-

ご近所SNS「マチマチ」は、これからのよりよい地域社会、コミュニティデザインの在り方を探っていくため、関連する様々なイベントに参加しています。

今回は「これからの時代のコミュニティや共同体について考え、実践する」ユニット、共同体ブラザーズが開催した初のリアルイベントに潜入!このイベントの様子をレポートします。

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暮らしやコミュニティについて、カジュアルに話そう

会場は、先日オープンしたばかりの永田町GRID。「シェア」をキーワードにした、様々なイベント・コミュニティが発信されていく場として注目されています。

grid.tokyo.jp

まずは、共同体ブラザーズの“兄”、植原正太郎さんからイベントの説明がありました。共同体ブラザーズは、植原正太郎さんと佐藤大智さんの2人が手がけている活動で、普段は「共同体」や「コミュニティ」に関するキーワードについて語るFacebook動画の配信を行っています。

共同体ブラザーズ Facebookページ

植原さんは、NPO法人greenz.jpでgreenz peopleという寄付会員のコミュニティ運営を実施。その他にも、誰かが風邪をひいたときに、おかゆを持っていける関係性を目指した「MKN(武蔵小山ネットワーク)」をつくるなど、新しい形のコミュニティづくりを実践しています。過去には、ご近所未来ラボにも登場し、活動について語ってくださいました。

過去のMKNの記事はこちら
http://lab.machimachi.com/entry/MKN01

“弟”の佐藤大智さんは、「大きく学び、自由に生きる」をテーマにユニークな講義を展開する自由大学のキュレーター。自身が手掛ける「ギフトエコノミー」クラスのコミュニティは100名を超えるなど、共同体やコミュニティに興味をもつ人々同士のつながり作りに取り組んでいます。

f:id:MegumiHarada:20170326205603j:plain左側が“兄”の植原正太郎さん、右側が“弟”の佐藤大智さん。

近年、「共同体」というテーマを扱った本が出版されて話題になるなど、2人は社会における「共同体」への注目度を感じていたのだそう。とはいえ、なかなか「共同体」や「コミュニティ」について、カジュアルに対話できる場はありません。ないならば自分たちで作ってしまおう!ということで始まったのが、共同体ブラザーズなのです。

ご近所付き合いを裏から支える「おこめをつくる不動産」

この日は、新しい「共同体」づくりを実践するお二人がゲストとして登場しました。

まず1人目は、殿塚建吾さんです。殿塚さんは、松戸・八柱エリアで、お米をつくる不動産をコンセプトにした「omusubi不動産」を運営しています。

www.omusubi-estate.com

f:id:MegumiHarada:20170326205615j:plainomusubi不動産の代表を務める、殿塚建吾さん。

元々自給自足で、多様な人との結びつきをもつ農家に憧れていたという殿塚さん。社会人になり、当時は「一番やりたくなかった」という不動産業に就職します。その後職を変える一方、プライベートでは自給的な生活を実践していきました。東日本大震災をきっかけに、地元・松戸で「クリエイティブな自治区」をコンセプトとしたMADCityプロジェクトに参加。改装可能物件や、地域の人々との関係性をベースにした不動産事業を手掛けた後独立し、omusubi不動産を立ち上げました。

omusubi不動産は、「暮らしを顔が見えている人と作ろう」ということをスローガンとして掲げています。扱う物件は築年数を経て、DIY可能な物件がほとんど。例えば、昭和49年に建てられた、改装可能な「SUN SUNマンション」。それぞれの部屋を、ワークショップと称して皆で掃除をしたり、改装をして貸し出しています。

omusubi不動産の入居者には、クリエイターが多いことも特徴の1つ。千葉・市川に出来たシェアアトリエ「123ビルヂング」は、築数十年の古いビルを改装しています。最寄り駅もコンビニまでも遠いという悪条件ながら、アイシングクッキー作家や、古道具屋さんなどが入居し、満室状態に。

f:id:MegumiHarada:20170401222617j:plain123ビルヂングの様子。

シェアアトリエ「8lab」は、昭和59年に建てられた二世帯住宅をDIY。オーナーさん自ら集めた工具類が揃い、木工作家など多様なクリエイターが入居しています。

f:id:MegumiHarada:20170401222631j:plainシェアアトリエ「8lab」の様子。

元々こうした物件では、omusubi不動産が中心となってイベントの開催や入居者さん同士のコミュニケーションを行っていたそう。しかし、オープンから数年たち、今は入居者さんが自らイベントを企画し、運営するようになっているといいます。

また、現在は、八柱エリアからさらに拡大し、都内でも物件を手掛けています。浅草にあるクリエイティブスペース「KAMINARI」は、雷門にほど近い裏通りにある4階建てのレトロな建物。飲食店の他、ギャラリーやコーヒー屋さんなど、多様な業種の人々が入居し、浅草を裏通りから盛り上げようとしています。

様々な場所のコミュニティが立ち上がっていくのを見てきた殿塚さん。「コミュニティは作ることはできない。育つもの」と話します。

「入居する人の中には、気が合う人も合わない人もいます。でも、学校のクラスみたいに、いろんな人がいて、助け合える土壌をつくりたい。自分たちはその関係性が育まれていくことを手助けしたいと思っています」

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中でも、omusubi不動産が一番大事にしているのが、なんとお米をつくること!入居者の人も、八柱やomusubi不動産に興味を持って遊びに来てくれてた人も、みんなが一緒になって汗を流して作業する。そうすることで、関係性が自然と育まれ、地域の人々のたまり場が生まれることに繋がっていくと言います。

「不動産屋さんはあくまでも裏方。プレイヤーにはなれないけど、プレイヤーになる人たちのための場所を提供することができます。そういう場所をつくることで、街の景色を共につくるということをやっていきたいなと思っています」

まちづくりの輪を広げながら目指すのは、地域の“水先案内人”

続いて登場したのは、田中宏明さんです。田中さんは、現在50年以上の歴史があるひばりヶ丘で、世代を超えた新たな住民組織をつくるべく、一般社団法人まちにわ ひばりが丘に所属しコミュニティデザインを手がけています。

machiniwa-hibari.org

f:id:MegumiHarada:20170326205716j:plain一般社団法人「まちにわ ひばりが丘」の田中宏明さん

大学休学中、コミュニティデザインを手掛ける会社studio-Lにインターンで参加したことをきっかけに、コミュニティデザインに関わりだした田中さん。都市の社会課題の解決を目指すHITOTOWA Inc.でインターンする中で、マンションのコミュニティ運営にも携わり、双方のプロジェクトを手掛ける形で独立しました。現在は、全国各地のまちづくりに、フリーランスのコミュニティデザイナーとして関わっています。

ひばりが丘団地は、UR都市再生機構によってつくられた、東久留米市と西東京市の間に位置するマンモス団地。首都圏に初めて団地ができたほぼ同じ頃に建てられました。田中さんによると、建てられた当時は西洋の暮らしが楽しめる場所として、憧れの住宅地だったのだそうです。

f:id:MegumiHarada:20170401223328j:plainひばりが丘の様子。

また、団地が出来た当初から、住民たちの間には高い自治意識がありました。団地ができたばかりで整備されていなかった幼児教育を、自分たちで始めてしまったほど!その後、徐々に自治会として住民組織の形が整えられ、現在まで継続しています。

そんなひばりが丘団地ですが、現在は新たな事業者による分譲マンションや戸建住宅の建設が進行。そこで、昔から団地に暮らしている人たちと、新たに入居してきた住民との間にはつながりが希薄になってしまわないように、新しい自治組織として誕生したのが「まちにわ ひばりが丘」です。

「まちにわ ひばりが丘」は元々ある自治会とは別に、昔から住んでいる住民と、新たに入居した住民による垣根を超えたコミュニティづくりを目標に掲げて活動しています。

「まちにわ ひばりが丘」が注目しているのは、趣味や学びの充実、課題解決、防災防犯といったキーワード。これらの活動が、街中で展開されることによって、エリア全体の価値向上につながっていくのではないかと田中さんは話します。

具体的には、以前から住む人も新たに暮らし始めた人も、一緒になって話をしつつ交流が深められるような場づくりに取り組んでいます。例えば、老若男女100人が参加し、一つのテーブルを囲んでいただきますをしよう!というコンセプトで開催された「まちにわ食堂」というイベント。植原さんは実際にこのイベントに参加。お年寄りも子どもも、緩やかにその場にいられる場所ができていたことに驚かされたと言います。

f:id:MegumiHarada:20170401223413j:plainまちにわ食堂の様子。

また、地域住民によるまちづくりボランティアの養成講座も実施。「まちにわ師」と呼ばれるボランティアチームは、ひばりが丘団地における様々なまちづくり活動の仕掛け人。講座を通じて、イベントの開催だけでなく、地域メディアの発行や、コミュニティセンターの管理を手掛けられる住民を育てています。

f:id:MegumiHarada:20170326205807j:plainこの日は、まちにわ師として活躍する住民の方も駆けつけました

現在「まちにわ ひばりが丘」が仕掛ける活動には、様々なところから人が集まり、独自の発展を遂げるようになっていると言います。

「自治会は、なかなか主体的な参加を促すのが難しいですが、自分自身の興味を入り口にすれば、まちづくりにも参加しやすくなるはず。私たちはそのための体制づくりや仕組みづくりをしています。住民の方々の『水先案内人』的な存在ですね」

こうしたまちづくりの取り組みは社会的にも評価され、「まちにわ ひばりが丘」は2016年のグッドデザイン賞を受賞。マンション自体も景観を生かした立て方や、景観面でもグッドデザイン賞に選ばれるなど、今やまちづくりやコミュニティデザインを手掛ける人々の間で、高い注目を集める場となっています。

www.g-mark.org

既存の地域コミュニティと共存しながら、新たな共同体の可能性を模索

お二人の活動紹介のあとは、会場からの質問タイム!今回は、まちづくりに興味関心がある方や、実際に不動産に関わりたいと考えている若い世代の参加者が多く、質問にも熱が入ります。

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「人を巻き込む、共感力が強いまちづくり活動を行うポイントはどこにありますか?」という質問には、

「omusubi不動産では、入居者さんが誰でも参加できる事務所での飲み会をやっています。いわゆるイベントと言うよりも、そこにいけば誰か知り合いがいる場なので、参加しやすくなるのかもしれません。また、自分自身がこの街に住んでいるというのも、入居者さんが頼りやすくなる一つの要因かもしれないですね」

と殿塚さん。田中さんは、

「ひばりが丘団地には、元々は根強い自治会の歴史があるので、その人たち自身が主体的に参加してくれる余地を残すことを大切にしています。自治会といい関係性を築きながら、『まちにわ ひばりが丘』として頼りにしてもらえるような活動をしていきたいと思っています」

と話しました。

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また、「共同体づくりに取り組んでいくモチベーションは?」という質問も。

正直、住まいに対してあまり意識が高くなかったという田中さんは、

「コミュニティが生まれる住まいとは、どんな場所なのかというのが今のモチベーションだと思います。色々な事業をやる中で、お年寄りや若い人、それぞれにどんな活動が必要とされていて、受け入れられていくのかという自分の中の仮説がわかっていけるのが楽しいんです」

と語りました。殿塚さんは、

「気が合う人が街に増えることですね。退去した人と、その後も一緒にライブに行ったり飲み会やったりするんです。人の付き合いが続くことが楽しくて、それがやりがいだと感じています」

と、退去後も続く入居者さんとの関係性を上げていました。

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防災、防犯、ママ友…地縁がセーフティネットになる

植原さんは、この共同体ブラザーズの役割として、

「急激に社会システムが変化していく中で、『共同体』について、真剣に考えることは、これからの自分たちの暮らしをどう作っていくのかということに直結することだと思う。真面目に、でもハードルをあげずに対話できる場を、これからもつくっていきたいです」

と話します。

これからのコミュニティを考えるうえで、注目されるキーワード「共同体」。特に地縁コミュニティが崩れつつある都市部において、社会における新しいセーフティーネットとなるようなコミュニティを、どうつくるのかということは、とても大きな問いです。

その問いをただネガティブにとらえるのではなく、まずは気軽に話すことができる場を作り、皆で答えを考えてみる。共同体ブラザーズの活動は、小さな勇気を私たちに与えてくれるものだと感じました。

共同体ブラザーズは今後も、Facebookでの活動にとどまらず、リアルなイベントを開催していくそう!これからの「共同体」について、一緒に考えていきたいという方はぜひ参加してみてくださいね。

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コミュニティデザイン、まちづくりの「今」を発信する

ご近所未来ラボでは、コミュニティデザインやまちづくりに関するイベントのレポートを、積極的に皆さんと共有していきます。ぜひ今後もチェックしてみてくださいね!

過去のイベントレポートはこちら

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