『ご近所未来ラボ』では、読者の皆さんの活動に役立つ、これからのコミュニティや地域を作っていく取り組みや考え方をご紹介しています。
今あらためて注目されている、地域社会と子育てのつながり。先日、ご近所未来ラボでは、地域に開かれた保育施設をご紹介しました。
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今回は、地域社会との関係性をつくる、様々な子育てサービスについてご紹介します!
楽しい放課後を、地域みんなでつくる
皆さんが子どもの頃、放課後はどのように過ごしていたでしょうか? 校庭で遊んだり、友達の家に行ったり、公園に集まったり……。
今、こうした放課後の過ごし方ができる子どもが少なくなっていると言います。その理由は、様々な習い事や塾などに通ったりして忙しく、一緒に過ごす友だちや家族がいないということ。また、近年相次ぐ子どもたちを狙う放課後の事件も、社会の変化に拍車をかけています。
「放課後ののびのびとした「時間」、たくさん遊べた「空間」、とにかくみんなで過ごした「仲間」、こういう放課後は過去のものになりました。」
(引用元 http://npoafterschool.org/about/problem/)
全ての子どもたちが、安全で楽しいアフタースクールを過ごしてほしい。そんな思いから活動しているのが、「NPO法人放課後アフタースクール」です。他の民間の学童保育とは異なり、放課後の小学校の空き教室や校庭など使って活動を実施しています。
最大の特徴は、地域や社会にいる大人たちが「市民先生」として教師役を務めていること。料理やスポーツ、音楽から建築のワークショップまで、教師役の大人たちの特技や能力を生かした、多彩なプログラムが行われています。
放課後アフタースクール
実は、小学生の放課後に潜む問題は子どもたちだけのものではありません。働いている親にとっても大きな課題が。
保育園までは夕方遅い時間でも預けることができるため、親たちもフルタイムで働くことができます。しかし現在、首都圏を中心に学童保育が不足しており、子どもが小学校に入ると預けられる場所がなくなり、親は辞めざるを得なくなってしまいます。さらに、高学年になると、それまで学童に通っていた子どもたちも、塾や習い事に行くように。その対応のために、結局親は仕事をあきらめなければいけません。こうした状況は、それぞれ「小1の壁」「小4の壁」と呼ばれ、大きな社会問題となっています。
放課後アフタースクールでは、高学年の子どもでも楽しんで参加できるようなプログラムを提供することによって、この「小1の壁」「小4の壁」という問題解決に取り組んでいます。地域社会と子どもたちを繋げることによって、子どもと大人双方が抱える”放課後”の問題にアプローチしようとしているのです。
参考リンク
子どもも大人も平等にいられる場が、誰もが子育てしやすい社会を育む
「asobi基地」は、子どもも大人も平等に、自分らしくいられることを目指した子育て支援コミュニティ。公園やお店など、保育園に限らず、街中の様々な場所で、子どもと大人が一緒に楽しむことができるイベントを開催しています。子どもたちには、自分の個性や価値観を最大限に発揮できるような遊びのプログラムを提供。一緒に参加する親たちは、そんな子どもの様子を見たり、一緒に遊んだりすることを通じて、子どもの新たな面を発見することができます。また、同じように子育てに日々奮闘する親同士で、本音を話し合うことも。
asobi基地
asobi基地を立ち上げた小笠原舞さんは、元々保育園で働く保育士でした。しかし、毎日子どもたちと接する中で、子どもたちの可能性や価値観をもっと生かせるような社会にならないだろうかと考えるようになります。一方で、子育てにまつわる悩みやしがらみにとらわれてしまう親たちとも直面していました。子どもたちの世界を共有することで、大人たちや社会を良くしたい。そんな思いから、2012年にこの子育て支援コミュニティ「asobi基地」をスタートさせました。
「asobi基地」には、グランドルールが存在しています。誰もが子どもの目線で社会やものごとをみることを大切にし、否定をしない。どんな価値観であっても尊重する。そのことによって、子どもはもちろんのこと、大人たちも自然体でいられる場をつくっています。
元々小笠原さんや数名のメンバーによって行われてきた「asobi基地」ですが、活動に参加したパパママや、保育士に共感が拡大。現在は全国に支部ができ、各地で子育て支援コミュニティが生まれています。
参考記事
困ったとき、‟ご近所さん”に頼れる地域社会を目指して
働く人々の仕事や子育て、介護の両立を支援する目的から、労働省(設立当時)が構想し設立がスタートした「ファミリーサポートセンター」。各市町村の行政が運営を行っており、安全・安価に利用することができるシッターサービスとして、働く親たちにとって、今やなくてはならない存在となっています。
ファミリーサポートセンター
ファミリーサポートセンターには、子育てのために時間を使いたいという人が登録されています。子育て支援をしてもらいたい親から連絡を受けると、マッチングを実施。ニーズにあったサービスを提供できる人とつなぎます。保育施設までの送迎や、放課後の預かり、買い物などの外出時の見守りなど、提供できるサービスは多岐にわたります。近年では、保育園に預けることが難しい病児・病後児の預かりも実施しているのだそう。
現在、全国各地の約770の自治体でサービスが提供されており、全国で50万人程度の親が利用しています。(注:厚生労働省平成26年時調査による)以前は自然と行われていた、地域の中で子どもたちの役にたちたいという人の思いと、子どもたちの面倒を見てほしいという親のニーズのマッチングを行うことによって、現代版の‟ご近所さんによる見守り子育て”を実現しようとしています。
参考リンク
「子育て」が媒介する家庭と地域社会の関係性
父親だけでなく、母親も家庭の外に出て働くことが当たり前になりつつある、現代の日本社会。社会や家族の形の変化にともない、これまで家庭に求められてきた様々な機能が、外に開かれていくことが求められています。それは、子育てにとっても例外ではありません。
ママ友コミュニティ、子育てコミュニティが生まれるプラットフォーム
また今後、少子高齢化・人口減少社会がさらに進行する中で、多世代が豊かに生きられる場づくりは、地域社会そのものが持続していくためにも必要不可欠です。地域社会に暮らす人々の媒介役として、「子育て」は重要なキーワードなのです。
地域限定という特性をもつご近所SNSマチマチは、子育てに関わりたいご近所さんと親をつなぐ、大きな可能性を秘めています。自分たちが暮らしやすい地域社会を自分たちでつくっていくために、ぜひマチマチを使った仲間づくりからスタートしてみてくださいね。
ご近所SNS「マチマチ」
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