読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ご近所未来ラボ by ご近所SNSマチマチ

ご近所SNS「マチマチ」が運営するブログです。「マチマチ」のお知らせから、参考になるコミュニティデザインの事例まで色々発信していきます!

食と子育てをきっかけに、ご近所さん400人と繋がりができた――「恵比寿じもと食堂」が育んだ地域コミュニティ

子育て 子ども食堂 地域コミュニティ 末岡真理子 多世代交流
連載企画『ご近所レポート』では、ご近所SNSマチマチが目指す「コミュニティデザイン」のモデルとして、参考になる事例を紹介しています。今回は、「恵比寿じもと食堂」代表の末岡真理子さんにお話を伺いました。

恵比寿駅より歩いて10分ほど。閑静な路地裏に佇むある一戸建てのキッチンで、毎月2回、地域の子どもから大人までが集まる「恵比寿じもと食堂」が開かれています。

              f:id:tks-west:20161105161550j:plain

地元のお母さんたちが集まって開催されるこの食堂。実際に参加した取材陣は、その熱気とお母さんたちのパワーに圧倒されました。この食堂は、どのような経緯で生まれ、どのように運営されているのでしょうか。

f:id:aiydos17:20161007172642j:plain
取材時の運営メンバー。左よりフードコーディネーターの奥村さん、代表の末岡さん、大平さん

f:id:aiydos17:20161110164607j:plain
「恵比寿新聞」が編集部を構える住戸の1階で開催されている

 多世代の地域コミュニティの交流の場

――「恵比寿じもと食堂」ではどんな活動をしているのでしょうか。

末岡さん:地域に住むボランティアのおばちゃんたちを集めて、多世代のみなさんと食事を作り、食卓を囲んでご近所付き合いを深めるきっかけをつくっています。子どもたち、お父さんお母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、お兄さんなど、いろいろな方が集まってきています。開催は月に2回、第2、第4水曜日の15:00~19:30です。

ただその場で食事をするだけでなく、地元で働く人たちが、それぞれの色んな特技を子どもたちに披露してくれたりします。例えば、恵比寿の料亭の料理長が料理を教えてくれたり、近所に住む落語家さんが噺(はなし)を聞かせてくれたり。

f:id:aiydos17:20161007173007j:plain当日の献立。食事は17時半スタートだが、学校を終えた子どもが早く来られるよう、15時から場を開放している

――活動を始めたきっかけを教えてください。

末岡さん:雑誌で「こども食堂」の活動を何年も前からやられている方の記事を見たのがきっかけです。その中に「18時になったら近所のおばちゃんが一斉に『こども食堂』ののれんをだすような世の中になったら」という言葉があって、自分もそんな「近所のおばちゃん」になりたいと思ったんです。

私も主人も地方の出身で、それぞれ親と離れているので、子育てを手伝ってくれる人や助けを求められる人が身近にいなかったんです。もっと近所の人と顔を合わせてコミュニケーションする機会が増えたら良いなと思っていました。

――それで「じもと」というキーワードを名前に入れたんですね。

末岡さん:はい。「こども食堂」と活動内容は似ていますが、より地域に根ざして活動していきたいという思いを恵比寿在住のコピーライターさんにお伝えして「じもと食堂」と名付けてもらいました。

「こども食堂」はとても美しいネーミングだなと思います。しかし、どうしても、こども食堂が増えるにつれて、メディアでその存在をわかり易く説明するために「貧困」「孤食」というワードが必ずセットで付いてくるようになりました。私は、そのイメージで捉えられてしまうことについて「当事者は不快じゃないのかな」「むしろその人たちを遠ざけてしまうんじゃないかな」と疑問に思いました。そして、「子育ての支えが必要なのはどんなお母さんたちも同じだ」と感じます。貧困支援や孤食解消のためだけではなく、働きながら子どもを育てている人、引っ越してきたばかりでご近所に知り合いがいない人など、誰もが来やすい場所にしたいと考えました。

f:id:aiydos17:20161007172854j:plain大人と子どもが協力して食事を仕込む

 

――みなさんが食堂へ来る理由はずばり何でしょうか? 

末岡さん:食事をこちらで作ることで、お母さんたちの負担を軽くできているのは大きいようです。また「子どもに大人数で食べる楽しさを経験させたい」という思いは多くのお母さんに共通しています。

実際に参加したお母さんからは「子どもがこんなに野菜を食べたのは初めてでびっくり」「生まれて一度も食べてくれなかったトマトをおかわりした」と驚き、喜んでくれることが多いです。みんなとてもよく食べていますね。

f:id:aiydos17:20161007173214j:plain子どもチームが大根おろしを。小学校2年生の女の子がリーダー

――実際にどのような場面で地域との繋がりを実感していらっしゃいますか。

末岡さん:食堂以外のところで、参加者を中心とした人の輪が広がっています。今まで地域で活動されてきた方々や渋谷区の行政の方たち、恵比寿へお勤めの方などが、見学や手伝いに来てくださっています。行政、自治体、町内会、商店街、企業、住民など色んな立場の子育て世代が繋がってきています。

f:id:aiydos17:20161007173354j:plain食事の準備と平行して、学校の宿題に取り組む子どもも多い

「楽しいから関わり続ける」食堂を目指して

――運営する上でのコツや気をつけている点はありますか?

末岡さん:誤解を恐れずいうと、協力してくれるみなさんが辞めやすい、また都合が悪ければ参加を断りやすいよう心がけています。一般的に「ちょっといいこと」として捉えられがちな活動は「やめにくい」というのが当事者の負担だと思いますが、気楽に関わってもらえるように、と思っています。

私も、食堂の運営に大きな責任を感じてはいますが、そこにプレッシャーを感じたり義務感で活動したりしたくありません。収益が出なくても「やりたいからやっている」というスタンスです。その上で、大変だけど「なんか楽しい」と感じてくださる方が増えるように、開催中は笑顔でいっぱいの日にしたいと思っています。

f:id:aiydos17:20161007173620j:plain

f:id:aiydos17:20161007173718j:plain食事が出来上がるころにはさまざまな世代の参加者が集まってくる

 

――活動を通じて見えてきた課題があれば教えてください。

末岡さん:誰でも参加することができる場としての食堂を運営し続けること、そして子どもたちの安全性を確保することが、重要な課題だと感じています。たくさんの世代の多種多様な人と子ども達が触れ合えるという、ひと昔前ならば当たり前だった光景が、今は特別なものとなり、「危機管理」の文脈で語られる時代となりました。そんな中で、このようにいろいろな人が集える場は、地域にとって何かしらの役割を担えているのではないかと思います。

私たちのように民間で、個人の自己資金で運営している団体では、参加する子どもたちの怪我などをめぐる安全の問題は、どこでも大きな悩みの種になってくるだろうな、ということも感じています。私たちは私たちらしく、その責任に誠心誠意向き合っていこうと考えています。参加者のみなさんや町の方々と対話を重ね、何が求められていて、何を私たちが役割として担えるのかを自覚し努力を重ねたうえで、「恵比寿じもと食堂」へ集まるみなさんとの協力体制を築いていきたいです。

f:id:aiydos17:20161007173818j:plain

防災にも役に立つ地域コミュニティの繋がり

――活動を通じて築かれたご近所の繋がりは、有事の際に、どのように生きてくると思われますか?

末岡さん:すでに、ここで生まれた繋がりが全然違うところに生きているようです。1歳から80代まで、普段の生活では関わる機会の少ない多世代の人たちが繋がっていっていますからね。

顔見知りの人が町内にいると、有事の際に、何か起きたとき「あの人大丈夫かな」と気に掛け合うことができます。会社や学校、家族という枠に限らず、多くの人について「この人の安否を確認するにはここに連絡すれば良い」という尋ね先がわかっていて、連絡網のようなものができている状態です。実際に、私たちのまわりだけでも、のべ400人くらいの人は顔と連絡先がわかるようになっています。

f:id:aiydos17:20161007173847j:plain
サラダと秋野菜のチキンカレー

――食堂の開催のほか、どのような活動の広がりがありますか。

末岡さん:熊本震災が起きたときは、それぞれの家にあるものを持ち寄ってフリーマーケットをしたり、恵比寿のお祭りでフードブースを出店して得た売上げを全額、被災地に寄付しました。お母さんがたと子どもたちで力を合わせて、食堂の外の人々に貢献する取り組みは今後も続けていきたいと思っています。

また、恵比寿新聞さんが運営している河口湖の畑の片隅を借りて、子どもたちと一緒に野菜を育てる活動を始めています。種まきから収穫、それを調理して食べる……という一連の流れを、子どもに経験してもらいたいと思って。つくった野菜は、マルシェなど販売することも考えています。

そして、ここは子どもの勉強の場としても機能しています。高校生や大学生たちや大人のみなさんが、代わる代わる子どもたちの勉強を見てくれるんです。フリースクールみたいな場の使い方も、これからは意識していきたいですね。

 

――今後の活動についてお考えがあれば教えてください。

末岡さん:定期的に続けていくことが大切だと思っています。「この曜日に、ここに行けば誰かがいる」と思えるような場所が、ここ1カ所だけでなく、いろいろなところにできていく。そんな地域の繋がりが広がっていったら良いな、と思います。

f:id:aiydos17:20161007173952j:plain食後の紙芝居

「マチマチ」を通じたご近所への情報発信の可能性

――マチマチはご近所のつながりを生み出すためのサービスです。「恵比寿じもと食堂」に活用できそうでしょうか?

末岡さん:「恵比寿じもと食堂」は現状、Facebookページと、渋谷区のこどもテーブルのWebサイトでしか広報をしていないので、どうしても情報を拡散しづらい部分があったり、ユーザーにだけ連絡する手段がなかったりするんです。マチマチのようなプラットフォームがあると、コミュニケーションがもっと豊かになっていくかなと感じているので、ぜひ使ってみたいですね。

f:id:aiydos17:20161007174106j:plain

---------


食というきっかけを通して、地域の老若男女が集う場所となっている「恵比寿じもと食堂」。ご近所さんたちが安心して集まれる場所、そして機会をつくったことで、そこからさまざまな交流が派生して、自然と“互助・共助”の動きが生まれているようです。力強い地域コミュニティを築いていくためには、「恵比寿じもと食堂」の実践のように、シンプルな動機から、気負いすぎずに場づくりをしていくことが、重要なのだなと感じました。

「恵比寿じもと食堂」の活動は、以下のFacebookページよりチェックすることができます。ご興味を持たれた方は、のぞいてみてください。

https://www.facebook.com/jimotoshokudo/

 

 

ご近所SNS「マチマチ」は、こうした地域コミュニティの活動を全力で応援しています! コミュニティ内の連絡、情報共有の手段として「マチマチ」は役立てるはず。ぜひ、一度使ってみてくださいね♪

machimachi.com

lab.machimachi.com