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ご近所未来ラボ by ご近所SNSマチマチ

ご近所SNS「マチマチ」が運営するブログです。「マチマチ」のお知らせから、参考になるコミュニティデザインの事例まで色々発信していきます!

コミュニティデザインに必要な3つの意識って?――市川裕康さんに聞くコミュニティ運営の秘訣

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ご近所SNSマチマチが運営する『ご近所未来ラボ』では、「地域活性や街づくりに携わる方々の力になりたい」という思いから、“コミュニティデザイン”についてのリサーチやインタビューを行なっています。

今回のインタビュー企画では、株式会社ソーシャルカンパニー代表取締役・市川裕康さんにお話を伺いました。
市川さんは先日まで、コミュニティプラットフォームの「Meetup」で、コミュニティマネージャーを務められていました。また、個人として「コミュニティマネージャー感謝の日」や「コミュニティマネージャーズ・コミュニティ(CMC)」なども主宰しています。そんな市川さんに、コミュニティに興味を持ったきっかけや、コミュニティ運営方法のコツなど、 コミュニティにまつわるエピソードをたっぷりと聞かせて頂きました。

震災をきっかけに実感した、身近に頼れるコミュニティの大切さ

市川さんはNGO団体や出版社、人材関連企業などでの勤務を経て、2010年3月に独立。株式会社ソーシャルカンパニーを立ち上げ、ソーシャルメディアのコンサルティング業務を始めました。同年7月からは、講談社現代ビジネスで「ソーシャルビジネス最前線」「デジタル・キュレーション」の連載執筆を担当。その枠の中で、地域の課題解決などに大きく貢献している、海外の新しいビジネスモデルを紹介されていました。

そして、市川さんが“コミュニティ”と向き合う上で大きな転機となったのは、独立からちょうど1年後に発生した、東日本大震災です。当時を振り返って、市川さんはこう語ります。

「あの当時、現地では情報が遮断されてしまったり、逆に東京では情報が錯綜していたりして、状況の把握が難しかったですよね。そんな時、身近に頼れる人たちがいないと、とても心細い。困っている人たちのために何かしたくても、1人だと動きにくい――そんな実感から、『非常時に頼れるコミュニティを、普段から形成しておくことが大切だ』と、あらためて考えるようになったんです」

コミュニティが生まれるプラットフォームは、世界中で求められている

そこで市川さんが注目し始めたのが、「Meetup」でした。2002年にニューヨークで生まれたMeetupは、「オンライン上で共通の趣味や興味を持った仲間を見つけて、オフラインの場で一緒に活動すること」を促進・支援するプラットフォームです。

現在、Meetupは約180カ国・2900万人以上のユーザーを抱え、26万を超える趣味・興味・職能のグループを有しています。Meetupを介して開かれるオフ会は、毎月60万以上。グローバルなコミュニティサービスとして、世界中で活用されています。

Meetupの共同創業者・スコット・ハイファマンさんは、『このサービスは、9.11が生んだ』と語っています。2001年に同時多発テロが起きた後から、彼の身の回りでは近所の人たちとよく話したり、自然と助け合う機会が増えたそうです。

そこでスコットさんは『人々が自然と集まってコミュニティを作り、その中で助け合ったりするのを、今まで見たことがなかった』と気付きます。彼は9.11を契機にコミュニティの重要性・必要性を悟り、その思いが“気軽にコミュニティを作れる”Meetupの創業につながっていきます。

市川さんは、Meetup創業のきっかけが「自分が東日本大震災を通して抱いた課題意識そのものだ」と、強く共感したと言います。

「オープンで誰でも参加できるプラットフォームは大事だし、社会のインフラとしてMeetupが根付いたら、今よりもっと豊かな社会になるだろうと感じました。ただ、震災後の当時はまだ、Meetupは日本版を出していませんでした。実は以前ニューヨークに住んでいたことがあり、その頃に創業直後のMeetupと出会っていて。事業のコンセプトにとても共感して、早いうちからサービスに登録していたんですよ。

創業者とも過去に会ったことがあり、2009年当時にニューヨークオフィスを訪ねた際には『Meetup日本版を出してほしい』と伝えていたこともありました」

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「震災後はMeetupのことを記事で書いたり、自分でも運営するようになり、日本での必要性を強く感じるようになりました。その後、想いが届き、いろいろなご縁もあって念願叶い、2015年春にMeetupから、具体的な日本語化の相談を持ちかけられたんです。もちろん快諾し、その後翻訳をほぼ一人で2015年の夏をかけて取り組みました。そして、2015年の10月にMeetupの日本語版がローンチされ、私は時を同じくして、Meetupのコミュニティマネージャーに就任する運びとなりました」

600人ものメンバーが緩やかにつながるコミュニティ「コミュニティマネージャーズ・コミュニティ」

市川さんは、Meetupのコミュニティマネージャーに就任する前より、「これからの社会を支える基盤となり得るコミュニティについて、知識や経験をストックしていこう」と、さまざまな場づくりを展開していました。そのひとつが、震災の翌年、2012年に立ち上げた「コミュニティマネージャーズ・コミュニティ(CMC)」の活動です。

「CMCは、コミュニティマネージャー同士で集まって情報共有したり、成功や失敗の事例を共有したりする会です。Facebookでグループを作っていて、現在は600人以上のメンバーが所属しています。きっかけは、海外の習慣をまねて『コミュニティマネージャー感謝の日』という単発のイベントの開催したことですね。突発的な企画で告知期間も2週間くらいだったにもかかわらず、多様なコミュニティを運営する80人もの参加者が集まってくれたんです。『これだけエネルギーが結集する場ならば、持続させないともったいない!』と感じて、すぐにCMCを立ち上げました」

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「コミュニティマネージャー感謝の日」東京­ミートアップ2016の様子(撮影:集合写真家・武市 真拓)

「CMCのメンバー同士はグループ内でゆるく繋がりながら、お互いの知見や疑問をシェアし合っています。最初は年に1回だったオフ会も段々と頻度が上がり、私がMeetupのコミュニティマネージャーに就任してからは、都内ではほぼ月1回で開催するようになりました。最近では名刺に“コミュニティマネージャー”と書かれた方、企業のマーケティングやカスタマーサポート担当者の方の参加なども増え、いい盛り上がりを見せています」

コミュニティマネージャーにとって重要な「オフライン/オンライン」の使い分け

市川さんはこのCMCのほかにも、大小さまざまなコミュニティを運営しています。そんな日本のコミュニティマネージャーの先駆け的な存在である市川さんに、コミュニティ運営のコツを伺ってみました。

「コミュニティにおいては、SNSなどのオンライン上での交流と、イベントというオフラインでの交流、両方をバランスよく生んでいくことが重要です。それぞれの空間にどんな役割を持たせるのか、オンラインとオフラインでどんな関係性を持たせるのか……そういった目的意識を持って運営するといいと思います」

今や、SNS上では取引先や同級生など、さまざまな関係性の人たちと、常時つながっていることが当たり前となっています。そんなオンライン上での複雑な関係性に疲れてしまって、投稿やリアクションをほとんどしない人も多いはず。しかし、「オンラインでは無口な人でも、リアルなイベントの場では積極的に発言してくれる人も多い」と、市川さんは言います。

「Facebookのコミュニティ上では、知らない人たちもたくさんいます。もちろん、新たなつながりが生まれることも魅力のうちなのですが、そういった場所で『うかつに物を言えない』と感じる人たちは少なくありません。だからこそ、オフラインのイベントって重要なんですよね。

お互いの顔が見えて、ある程度の合意があれば、オンライン上では言いにくいこともオープンに議論したり、相談したりすることができる。また、一度コミュニティ主催のイベントに来てもらえると、その人に当事者意識が芽生えます。言わば、コミュニティ内に“居場所”ができる。そうすると、オンライン上でも積極的に発言をしてくれるようになるんです」

コミュニティづくりは、一日にして成らず

オンラインでグループを作ることは、コミュニティを継続的に運営していく上で不可欠な施策でしょう。一方で、コミュニティ運営者に話を聞くと、「グループは作ったものの、参加者からほとんどリアクションがない」「グループ向けにイベントを企画しても人が集まらない」といった悩みをよく耳にします。

オンラインの場を効果的に活用していくためには、具体的にどんな視点を持つとよいのでしょうか。この問いに対して、市川さんは「すぐに結果を求めず、じっくりと場を育てていく気構えが必要だ」と答えてくれました。

「当たり前のことですが、オンライングループは“作っただけ、作りっぱなし”では機能しません。たまに開くイベントの告知だけ投げていては、宣伝っぽさが全面に出てしまいます。まずは、参加者の興味・関心を把握して、普段から“ペイ・フォワード”の精神で情報をシェアしていくことで、参加者に『ここは有益な場だ』と認識してもらうことが大事です。その延長線上に『皆さん、こんなトピック気になりますよね』と呼びかけるようにイベントを置くと、参加率もよくなると思います」

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「私は、イベントが終わったら、その日の資料や登壇した方のスライドや簡単なレポートを、オンライングループに投稿するように心がけています。イベント中の情報をシェアすると、その場は来れなかった人たちも、『次回はぜひ参加したいです』『次はこんなテーマでもイベントやってください』とコメントをしてくれたりすることが多いですね。

オンラインで盛り上げて、オフラインへの導線を作る。オフラインのコンテンツをオンラインにシェアして、オンラインを活性化させる……このように、オンとオフで相乗効果が生まれるサイクルを構築できると、コミュニティは自然と自立し、すくすくと成長していきます」

持続可能なコミュニティ運営には、仲間の存在が不可欠

コミュニティはじっくりと育てることが重要、そのためにも目を向けなければならないのが「サステナブルな運営体制」だと、市川さんは言葉をつなぎます。

「コミュニティ運営って、いろんなことを考えなければならなくて。普段の情報共有から、イベントの企画、登壇者の選定、場所決め、告知文の作成、集客、当日スタッフの手配、二次会の場所のアレンジ、イベント終了後の参加者へのフォローアップ……こられを全部1人で抱え込んでいると、ある時心がポキっと折れるんですよね。私にも、そんな瞬間がありました。毎回、イベント会場で参加者たちが談笑しているのを横目に、黙々とイスを片付けている自分にふと気づいて『これは何かがおかしいぞ』と(笑)」

最初は1人で始めたコミュニティでも、持続的な運営をしていくには仲間が不可欠だと、市川さんは自身の経験から痛感したそうです。

「コミュニティの規模にもよりますが、運営チームには最低でも3人ほど、目線の近いコアメンバーがいるとよいでしょう。1人でやっていると1回のイベントで息切れしてしまうことが多いですが、コミュニティの持続性を考慮すれば、1つのイベントが終わる前には次のイベントの開催が決まっていると理想的です。運営が複数人いると、いくつかの企画を同時進行できるようになります。

それと、煮詰まった時にパッと相談できる相手が2人いると、バランスがいいんですよね。コアが2人だと、どちらかが忙しくなった時に、また1人になってしまうから。3人以上いれば、お互いにフォローがしやすくなります」

場を耕すことが、コミュニティマネジメントの第一歩

コミュニティ運営をするには仲間がいた方がよい……わかっていても、そう簡単に適役は見つからないのが現実です。「一緒にコミュニティ運営の仲間を見つけるには、どんな方法がよいか?」と市川さんに尋ねてみると、意外な答えが返ってきました。

「場づくりを始める前、もしくは立ち上げて間もない段階から、いきなりスタッフを募集しない方がいいかなと思います。元からしっかりとした運営チームの母体があるならば別ですが、バックグラウンドのない新興のコミュニティであれば、まずは『ここがどんなコミュニティなのか』を参加者に把握してもらうことが先決です」

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「場を耕して、何回かイベントを運営していくと、必ず協力的な人が現れてきます。頻繁にコメントをしてくれる人、イベントの参加率がいい人、会場の片付けを手伝ってくれる人……そうした相性のよさそうな人たちをスタッフの飲み会などに誘ったりして、少しずつ運営側に巻き込んでいけるのが理想ですね」

地域コミュニティに特化したコミュニティマネージャーに必要な「テーマ・時間・場所」の意識

マチマチのユーザーには「自分の身近な地域で、新しくコミュニティを作って盛り上げていきたい」と考えている方が一定数います。地域コミュニティを立ち上げたいと思った際には、まずどんなアクションをするべきなのでしょうか。

「地域に特化したコミュニティマネージャーとして意識するべきことは、“テーマ・時間・場所”の3点です。『街づくりに関心のある人たちが、毎月第3土曜日、あそこのカフェ(あるいは居酒屋)に集まっている』という状態が作れると、人が集まりやすくなるし、運営側のコストも下がります。『そのうち飲みに行きましょうよ』という場面って多いですけど、なかなか実現しなかったりしますよね。そういうケースも、決まった場があるとつながりやすくなります」

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「これは、イベント企画でも同じことが言えますね。場所と時間を固定化してしまえば、毎回のように日程調整をする必要がなくなるし、ゲストのブッキングもしやすくなる。“テーマ・時間・場所”を設定することは、オフラインの場づくりの基本と言えるのかもしれません」

最後に、これからコミュニティマネージャーとして動いていきたい人たちへ向けて、何かアドバイスをとお願いすると、市川さんは次のように締めくくってくれました。

「個人の興味や関心、継続的に取り組んでいきたいテーマを、積極的に発信してみてください。手段は何でもいいですが、情報のストック性の高さを考えると、ブログなどがいいと思います。発信して、個人のテーマを可視化すると、読者がついてくる。そのうちオフ会を開いてみると『ブログ読んだよ』という人が来てくれる。これってまさに、コミュニティの始まりそのものなんですよね。まずは自分の興味をフックに身の回りから、“楽しいことを一緒にやれる同志”を増やしていきましょう!」

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市川さんのお話には、これからのコミュニティづくりを考える上のヒントがたくさん詰まっていました。「テーマ・時間・場所を決める」といったアドバイスは、明日からすぐ実践に移せる要素ですね。サステナブル(持続可能)なコミュニティ運営の一助として、マチマチを活用していただける機会が増えるよう、私たちも機能拡充やユーザーサポートに尽力していきます。

オンラインのツールを活用して、持続可能な地域コミュニティづくりを

マチマチでは今後も引き続き「コミュニティデザイン」にまつわるリサーチ・インタビューを継続的に行なっていきます。ぜひ、チェックしてもらえたら幸いです。「地域でコミュニティを作って盛り上げたい」と考えている方は、マチマチを使ってみてください。

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コミュニティマネジメント・コミュニティデザインにまつわる過去記事

ほかにも、過去にはコミュニティーデザインについて、こんなインタビューをしてきました。ご興味ありましたら、ぜひご覧になってみてください。

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