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ご近所未来ラボ by ご近所SNSマチマチ

ご近所SNS「マチマチ」が運営するブログです。「マチマチ」のお知らせから、参考になるコミュニティデザインの事例まで色々発信していきます!

住民が自分たちでまちを変える――全国から注目を集める、白馬村の新しい“まちづくり”の取り組みとは?

まちづくり コミュニティデザイン 白馬村 まちづくり会社 白馬ギャロップ studio-L

地域密着型SNSマチマチが運営する「ご近所未来ラボ」では、さまざまな地域のまちづくり、コミュニティデザインに関する事例をリサーチ・発信しています。

今回は、長野県白馬村における取り組みについてご紹介します。白馬村では近年になって“まちづくり会社”が立ち上がり、コミュニティデザインの企業が行政と連携を取り始めました。

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2016年11月より、白馬村でもマチマチが使われるようになり、地元のまちづくり会社と連携を取りながら、村内のコミュニケーションを盛り上げています。こうした動きを始めとして、白馬村は地域社会の再構築に向けて活発な動きを見せており、全国のまちづくりに携わる方々から注目を集めています。

白馬村では、どのような問題意識から、具体的にどんな地域活動が行われているのでしょうか。関係者へのヒアリングを実施しながらまとめてみました。

白馬村のまちづくりの成功と、これからの課題

長野県白馬村は、北アルプス山脈の豊かな自然に囲まれた、人口約9000人弱ほどの村です。良質な雪質を誇るスキー場を複数有しており、高度経済成長期のスキーブームを機に、ウインタースポーツを主軸とした観光産業で大きく栄えました。

vill.hakuba.nagano.jp

1998年の長野五輪開催以降、白馬村はインバウンド向けのプロモーション活動を注力し始めます。その成果もあって、毎年冬になると東南アジアやオーストラリアの方々を中心に、世界中からスキー・スノーボード愛好家が集まって賑わいます。

一方で、白馬村にとって「冬以外の期間、どう集客をしていくか」は、大きな課題として意識されています。スキー場やそれに付随する宿泊施設などは、シーズンが終わると閉めるところも多く、通年働ける場所が少ないため、労働者が定住しにくいのも現状です。また、村内でもスキー場ごとや、産業ごとにコミュニティが分かれていて、地域内の交流があまり活発ではありません。

このような状況を打破して、村をもっと盛り上げていこうとする取り組みが、現在の白馬村では精力的に展開されています。

白馬を一年中楽しめる、働ける村に――まちづくり会社の尽力

「白馬ギャロップ」は、2016年8月に、白馬村の活性化を目的を目的として設立されたまちづくり会社です。代表取締役社長を務める田中麻乃さんは、白馬ギャロップが生まれた経緯を、次のように説明します。

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(白馬ギャロップ代表 田中麻乃さん)

田中さん「白馬ギャロップは、2015年に地元の有志が立ち上げた百馬力というプロジェクトがきっかけになっています。百馬力は『白馬を変えるため、一人ひとりの力を合わせる』というコンセプトのもと、地域活性化のための施策を考えるための場を、定期的に開いています。地元の金融機関などが参加するALL信州観光活性化ファンドが、この百馬力の活動も含め、まちおこし活動が盛んになってきた白馬村に注目し出資をしてくれるという話になり、その受け皿として白馬ギャロップが設立されました」

白馬ギャロップ株式会社|Facebookページ

白馬ギャロップは自社で宿泊施設と飲食店を経営しながら、コンサルティングや開業支援を行なっています。そこで得た利益は、白馬村の活性化のための資金に当てられます。

田中さん「大きな目的意識として持っているのは、“通年で集客ができる村にしていくこと”、それと併せて“通年で雇用を生んでいくこと”です。そのためには滞在環境や交通の整備、アクティビティや飲食の充実など、村として総合的なブランド力を高めていく必要があります」

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(2016年12月にオープンした、白馬ギャロップ直営の飲食店「LUCE」)

田中さん「世界各国のウインタースポーツで賑わう観光地は、豊かな自然を観光資源として生かして、通年で人が集まるリゾートとして成功している地域が多々あるんです。そうした事例を参考にしつつ、まずは夏に人が集まるような施策を立案して、積極的に試していきたいと思っています」

白馬にもマウンテンバイクやトレッキング、気球など、夏に楽しめるアクティビティはあります。しかし、現状では認知が足りていなかったり、コンテンツが少なかったりするため、夏の十分な集客までは繋がっていません。

一方で、隣町の大町市では黒部ダムの訪問者で夏は賑わうものの、冬に人が集まらないという、白馬とは逆の現象が起きています。田中さんは、こうした問題を解決するためにも、近接している地域間の情報交換が重要だと感じたそうです。

田中さん「大町市とは将来的に連携しつつ、お互いの労働力をシェアできたらいいなと考えています。どちらの地域も、繁忙期には必ずと言っていいほど人手が足らなくなるので。冬は大町から白馬に、夏は白馬から大町に人材を派遣できるようなシステムを作れば、通年で働ける環境に近づけられそうだと思っています」

また、雇用のニーズを考えると「同じ地域内でも、住人同士がもっと気軽にコミュニケーションが取れれば」と、田中さんは続けます。

田中さん「観光客に左右される宿泊業や飲食業だと、突発かつ短期的に『人手がほしい』という状況がよく出てきます。そうした時に、交通費を出して遠くから人材を呼ぶことは現実的ではありません。できれば、近所で募集をかけてすぐにでも来てもらいたい……こういった場合に、近隣住民とやり取りができるプラットフォームがあると便利だなと思っていて。

そしたら、白馬村で総合計画策定に携わったstudio-Lの方に『マチマチっていうご近所SNSがあるから、導入してみたらどうですか?』と勧められたんです。私も少し触ってみて、相性がよさそうだと感じたので、住民のための情報共有ツールとして採用しようと決断しました」

住民の主体性を育む――コミュニティデザイン会社のアプローチ

直近の白馬村のまちづくりにおいて、白馬ギャロップとともに大きく貢献しているのが、コミュニティデザインを専業としている「studio-L」。全国津々浦々の地域に入って、自治体の計画策定・パークマネジメント・地域ブランディング・市街地活性化など、地域コミュニティにまつわる種々の事業を手がけている会社です。

studio-L | スタジオ・エル

studio-Lは2015年より白馬村の行政とともに、総合計画(自治体のすべての取り組みの基本となる計画)を住民と一緒に検討していく場づくりをしています。白馬村の担当をされているstudio-Lの小山弘二さんは、「総合計画をテーマに話し合う場をきっかけに、村民同士がつながり、お互いが学びあって、白馬でより良く暮らしていくための活動をする人が増えていければ」と語ります。

小山さん「自治体の総合計画は、従来であれば役場の人たちが立案して、審議会が検討・修正し、議会承認することで形作られていきます。今回の計画策定では、そのプロセスの一部に住民参加型(白馬村民や都心部にいる白馬ファン)を加えました。その背景にあるのは、『住民の方々が“10年後のあるべき村の姿を主体的に考え、何か自分たちができることを始める”きっかけを作ること』が目的としてありました。

この意見交換の場で出された『こんな取り組みが村に必要だ』『それなら自分たちで始められるのでは?』といった、自分たちにとってより身近な暮らしに関する住民発のプロジェクトが、今後いくつも生まれてくれるのが理想ですね」

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(住民参加型で行なった、計画策定のための会議での集合写真)

産業寄りで能動的なアプローチを行う白馬ギャロップとは対照的に、studio-Lは生活の中心にいる住民の主体性を引き出すため、彼らと同じ目線になり、一緒に考えて、目的地まで伴走するような立ち位置をとっています。つまり、住民同士が話し合い、そこで自分たちなりの結論にたどり着く出すプロセスを、重んじているのです。

小山さん「白馬村は、エリアによって住民・暮らし方・文化が異なります。同じ宿泊業でも、個人でペンションを経営している層と、中規模のホテルを経営している層では、文化が少し異なってきます。最近では移住してくる外国人も増加しており、コミュニティとして過渡期にあると言えるでしょう」

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(studio-L 小山弘二さん)

小山さん「一人ひとり違う人たちが、どうすれば一緒に幸せな暮らしを送れるか――白馬村の新しい総合計画のキャッチフレーズに掲げた『白馬の豊かさとは何か―多様であることから交流し、学びあい成長する村―』、住民が自分自身の「白馬の豊かさ」に向き合い、住民同士でより良く暮らしていくための方法を考え続けていくことが重要だと感じています。そのためには、普段から住民同士で密にコミュニケーションを取れている関係づくりが望ましいですね」

ご近所SNS「マチマチ」が白馬村のまちづくりにもたらせるもの

白馬村のまちづくりの一端を担っているお二人は、ご近所SNS「マチマチ」にどのような期待を寄せているのでしょうか。白馬ギャロップ代表の田中さんは「求人とイベントの情報共有で大いに役に立つのでは」と見すえます。

田中さん「先ほども話題に出しましたが、マチマチは突発的な求人情報のやり取りとの相性はよさそうですよね。現状でも、求人情報の投稿は少しずつ増えているようです。利用者が直接的に便利だなと感じられるポイントだと思うので、ここをフックにユーザーが増えていってくれたらいいなと思っています」

さらに、田中さんはこう続けます。

田中さん「あとは、地元で小さく行われているイベント情報が、もっと投稿されるようになったら面白そうだなと。白馬村はお祭りや催しがとても多い地域なのですが、エリアごとに情報がとどまっていて、近隣住民が知らないままに終わってしまうものも少なくありません。そうした楽しい情報が共有されれば、SNS上も盛り上がるかなと。その中から観光的にヒキのあるものをキュレーションして、外部に発信したりすると、外部に向けた地域PRにも貢献できますね」

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(雄大な白馬三山を映す、白馬村の八方池)

studio-Lの小山さんは「マチマチが白馬の現住民にとってだけではなく、移住者にとっても頼れるインフラになると素敵ですね」と言い、見解を語ってくれました。

小山さん「マチマチがどこよりもいち早く、白馬村の今が反映される場になると、地域の情報インフラとして定着していくはず。その過程で、『移住者がまず知っておくべき、最近の白馬のこと』のような移住者向けの生きた情報がどこかにまとまっていたりすると、とても喜ばれそうだなと思いました。

今後も白馬では、海外からの人々を中心に、移住者が増え続けることが予想されます。外から新しいノウハウや知恵を持ち込んでくれる方々が、うまく地域に馴染める流れを作れれば、そのコミュニティはどんどん盛り上がっていくでしょう」

あなたの街でも、マチマチを使ってみませんか?

今回ご紹介した白馬村をはじめ、ご近所SNS「マチマチ」は全国のさまざまな地域で使っていただいています。地域の飲食店やイベント、防災・防犯上のニュースなど、その街での暮らしを少し豊かにしてくれる情報共有の場になるはず。あなたの街でも、ぜひ試してみませんか?

machimachi.com