読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ご近所未来ラボ by ご近所SNSマチマチ

ご近所SNS「マチマチ」が運営するブログです。「マチマチ」のお知らせから、参考になるコミュニティデザインの事例まで色々発信していきます!

シビックエコノミーの発展に必要なのは「地域コミュニティのゆるやかなつながり」(「地域×デザイン2017」イベントレポート)

地域コミュニティ まちづくり 多世代交流 コミュニティデザイン シビックエコノミー 街ing本郷 ネイバーフットデザイン HITONOWA トーコーキッチン REVIC IDEA LAB

ご近所SNS「マチマチ」は、これからのよりよい地域社会、コミュニティデザインの在り方を探っていくため、関連する様々なイベントに参加しています。

過去のイベントレポート

lab.machimachi.com

今回は、全国各地の地域の特色を活かす取り組みを紹介した「東京ミッドタウン・デザインハブ 第63回企画展 地域×デザイン2017 ーまちが魅えるプロジェクトー」のイベント「シビックエコノミー×デザイン Part1,2」の様子をレポートします!

 

「シビックエコノミー」とは、国や行政ではなく市民が主体となった、新たな経済活動を意味する言葉です。今回のイベントでは、このシビックエコノミーのあり方を指し示す、6つのプロジェクトが紹介されました。

f:id:MegumiHarada:20170224224437j:plain

f:id:MegumiHarada:20170224224520j:plain

「地域×デザイン2017」の様子。全国各地の地域とデザインをキーワードにした活動が紹介されています。

学生と地域をつなぐ触媒に

まず1人目は、NPO法人「街ing本郷」代表理事を務める、長谷川大さんです。

街ing本郷が活動する文京区は、大学や昔ながらの商店、企業が数多く立地。様々な組織や人材をつなげたいという思いを持つ商店主や町内会の人が集まって活動しています。(長谷川さんも、本業は魚屋さんなのだそう!)

f:id:MegumiHarada:20170224225008j:plain

NPO法人 街ing本郷 代表理事 長谷川 大さん。

学生が集う街ならではの活動が、「書生生活」プロジェクトです。このプロジェクトでは、本郷エリアの大学に通う学生と、古い賃貸アパート物件を持っている大家さんを繋げ、学生が地域の中で生活するサポートを実施。学生は、まちづくり活動に参加することを条件に、安い家賃で住むことができます。

普段,、同年代と過ごすことが多い学生にとって、地域に暮らす様々な年代の人々と接することは、コミュニケーション能力の向上につながると長谷川さんは言います。また、地域にとっては、空き物件が減り商店街や街に新しい人の流れが生み出されるという、学生と地域の好循環が生まれているのです。

f:id:MegumiHarada:20170224225214j:plain

この日は実際に暮らしているという学生さんも登壇。住んでいる感想などを話しました。

地域に暮らす人々が持つ多様な力をつなぐ触媒になっているという街ing本郷。長谷川さんは今後、さらに多くの活動を展開するために、地域に関わってくれる人を集めて育てていきたいと語りました。

街ing本郷

m-hongo.com

「ネイバーフッドデザイン」で、“まちのおせっかい役”を育てる

皆さんは「ネイバーフッドデザイン」という言葉をご存知でしょうか?2人目の登壇者である荒 昌史さんが率いるHITOTOWA INC.では、この「ネイバーフットデザイン」というキーワードのもと、現代に即した人々の繋がり方をデザインし、社会環境問題を解決する取り組みを行っています。その取り組みの一つが、「まちにわ ひばりが丘団地プロジェクト」です。

f:id:MegumiHarada:20170224225728j:plain

HITOTOWA INC. 代表取締役 荒 昌史さん。

このプロジェクトでは、URが作ったひばりが丘団地を舞台に、それぞれの住民が興味を持つテーマでつながる“アソシエーション”を生み出す仕掛けづくりを実施しています。一緒に畑を耕したり、ワークショップで家具を作ったり、お祭りを開催するなど、住民とともに取り組む活動は多岐にわたります。

また、こうした活動を住民が自ら手掛けられるよう、担い手育成プログラムを行っています。養成講座に合格した人は「まちにわ師」を名乗ることができ、中心となってイベントの実施や地域情報の発信を動かしていきます。現在は、約20名が「まちにわ師」として街で活動しているそう。

f:id:MegumiHarada:20170224225740j:plain

また荒さんは、活動を継続させていくために、お金のつくり方や流れがとても重要だと話します。ひばりが丘団地のプロジェクトでは、一般社団法人を設立し、住民自身が事業を行っていくことができる組織の形を採用。また、コミュニティスペースなどのテナント運営を実施することで、資金が継続的に得られる仕組みを作っているのだそうです。

団地を持続させる世代循環を生み出すことを目指して、荒さんたちの挑戦は続いています。

HITOTOWA INC.

hitotowa.jp

住まいと働くを変える、小さな経済

次に登壇したのは、建築家の仲 俊治さんです。仲さんは、社会や人々の生活の変化に焦点を当て、その変化に即した住宅や建物に取り組んでいます。

f:id:MegumiHarada:20170224225752j:plain

仲建築設計スタジオ 仲 俊治さん。

核家族やDINKS、単身世帯の増加など、家族の形が多様化してきた日本。その中で住まいの形も、これまでの1家族・1住宅型から、より外につながっていく必要があると仲さんは言います。

そこで仲さんが提唱するのが、「小さな経済」という考え方です。それは、自分の「好き」という思いを軸に外とつながる人たちが、仕事の仕方を変え、消費から生産側の取り組みをしながら、大規模ではない新しい経済の形をつくるというもの。

f:id:MegumiHarada:20170224225804j:plain

この人々の意識の変化を建築の形に落としこむようにして作られたのが、「食堂付きアパート」です。

アパートには、SOHO住宅とシェアオフィス、食堂が同居。食堂は、周辺住民の人々の食事の場としてだけでなく、営業時間外には同じ建物内で働く人々が打ち合わせ場所として使うこともできます。また、建物の軒下の道に接した空間ではマルシェを開催。お店をやることに興味があるという人や、人に作品をみてもらいたいという住民が出店しています。

f:id:MegumiHarada:20170224225940j:plain

「この建物では、一人一人の頑張りが、まちの彩になっていく」という仲さん。今後、より暮らす人々の多様性がいきる社会観が息づく建物をつくりたいと語りました。

仲設計スタジオ

仲建築設計スタジオ WEBSITE

入居者の健康とコミュニケーションを育む「トーコーキッチン」

安くておいしい食事を、朝昼晩きちんと食べることができたら・・。1人暮らしをしている人の中には、そう思ったことがある人も少なくないかもしれません。

神奈川県・淵野辺の不動産管理会社「有限会社東郊住宅社」が営む入居者向け食堂「トーコーキッチン」は、まさにそうした学生や入居者のためのサービス。東郊住宅社が貸している1600室の物件のカードキーで開くドアが設置され、利用できるのは入居者とその同行者のみ。(初回はだれでもOKだそう!)朝から晩まで営業しており、なんと朝食は100円で食べることができます。地域の畑で採れた食材を使いながら、栄養面に気を配ったおいしい食事が入居者から大人気です。

f:id:MegumiHarada:20170224225952j:plain

この朝ごはんが、なんと100円で食べられるんです!

トーコーキッチンの率役者、池田 峰さんによると、新たに事業を始める際に、食が生活に絶対に欠かせない部分だと考えたことがきっかけだったそう。大学が多く集まる淵野辺周辺では、一人暮らしで食生活が乱れてしまう学生も多くいます。彼らにおいしく安全な食を提供したいという思いから、池田さんたちはトーコーキッチンをスタートさせました。

f:id:MegumiHarada:20170224230011j:plain

有限会社東郊住宅社 池田 峰さん。

トーコーキッチンを始めたことによって、入居者や物件のオーナーとのコミュニケーションが以前よりも親密になったと池田さんは話します。また、入居者が友達と一緒にトーコーキッチンに来ることも多く、のちにその友達が東郊住宅社の物件を借りたいと問い合わせてきてくれるようになったのだそうです。

トーコーキッチンを軸に、淵野辺に新しい人の流れが生まれ始めています。

トーコーキッチン

www.fuchinobe-chintai.jp

経済面から古民家再生をバックアップ

続いて登壇したのは、地域経済活性化支援機構の渡邊 准さんです。

地域経済活性化支援機構(通称REVIC)は、地域の経済の新陳代謝を促すため、地方の地銀と連携した取り組みを行っている機関。特にファンド運用を積極的に行っており、地方金融機関からお金を集め、観光支援やヘルスケア支援、地域の中核企業支援のファンドを展開しています。

f:id:MegumiHarada:20170224230024j:plain

株式会社地域経済活性化支援機構 常務取締役 渡邊 准さん。

観光支援ファンドの中では、古民家再生支援も実施しています。全国各地の古民家再生を行うプレイヤーとつながり、活動の支援を行っています。

また、古民家再生は制約が多く、難しい部分も未だに多い存在している分野。REVICは、現場とつながる立場を生かし、現状を国に伝えて制度を変えていくという役割も担っています。

f:id:MegumiHarada:20170224230037j:plain

渡邊さんは、長年様々なプロジェクトに関わってきた経験から、古民家再生のポイントは「ルールと人とお金」にあると言います。古民家再生に取り組みたいと考えた時には、エリア全体のプランを考える人材と、実際に物件を探し交渉するプレイヤー人材が不可欠。REVICは、資金面だけでなく、経験やノウハウを持つ人材を現地に派遣するなどして、人材面からも支援していきたいと話されていました。

地域経済活性化支援機構

www.revic.co.jp

廃材マテリアルが、人々の視点を変える

最後に登壇されたのは、岡山・玉島地域で廃材マテリアルライブラリー「IDEA R LAB」を運営する大月ヒロ子さんです。イマジネーションを創出する場所として、IDEA R LABでは廃材マテリアルのストックや管理、マテリアルを使ったワークショップなどを行っています。

f:id:MegumiHarada:20170224230054j:plain

有限会社イデア 代表取締役 大月ヒロ子さん

IDEA R LABには、個人からの廃材や、印刷会社や、箱をつくっている周辺の企業など、様々な廃材が日々持ち込まれます。集まった廃材は、マテリアルライブラリーにきちんと整理して保管。入ってきた人が「廃材って面白い、なんかつくりたい」と思えるよう、大月さんはマテリアルの管理の仕方や見せ方にもこだわっていると言います。

f:id:MegumiHarada:20170224230146j:plain

大月さんたちは、このラボを中心に、様々なプロジェクトを展開しています。例えば、街から出てくる廃材を生かすために、アーティストインレジデンスを実施。アーティストが街中を歩き回り、地域の人たちと作品をつくったり、街の布を使ったアップリケによる洋服づくりなども行ったそうです。街の中にある風景や、街の中にある糸、廃材をつなぎなおしていくことで、思い出がよみがえることもあると大月さんは話します。

また、玉島を飛び出し、夏休みや放課後の美術館でのワークショップもを行うなど、全国に活動が広がっています。

f:id:MegumiHarada:20170224230213j:plain

街中の布を使って住民と作ったパッチワーク作品。

大月さんは、廃材マテリアルを使った活動の魅力として、小さな子から大人まで、年齢に関係なく、誰もが触感を使って楽しむことができることだと言います。頭で考えるだけではなくて、手でも試す。手と頭を行ったり来たりさせることで新しい気づきが生まれるという経験は、現代社会の中でとても重要なプロセスなのではないかと語りました。

新しい経済活動に必要なのは「ゆるやかなつながり」

f:id:MegumiHarada:20170224230229j:plain

市民や住民を起点とした、新しい社会や経済の動きのきっかけを作るプレイヤーが数多く登壇した今回のイベント。皆さんに共通していたのは、ゆるやかに自然と立ち現れるコミュニティを大事にしたい、という考え方でした。

コミュニティや住民・市民同士のつながりの大切さが広まってきた今、つながることが目的となってしまっている活動も少なくありません。自分自身がやってみたい思う気持ちを大切にしながら、無理のない、出来る範囲で展開する。そうして生み出された自然なつながりこそが、社会に変化をもたらすことを実感できたイベントとなりました。

コミュニティデザインの情報を追うなら!

ご近所未来ラボでは、コミュニティデザインやまちづくりに関するイベントのレポートを、積極的に皆さんと共有していきたいと思っています。ぜひチェックしてみてくださいね!

lab.machimachi.com

 

ご近所SNSマチマチ

machimachi.com

マチマチのサービスについてはこちら

lab.machimachi.com