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まめくらし代表・青木純さんインタビュー、“当事者”が増えれば、住人コミュニティには笑顔があふれる。必要なのは「信じること」だけ

 ご近所SNSマチマチが運営する『ご近所未来ラボ』では、「地域活性や街づくりに携わる方々の力になりたい」という思いから、“コミュニティデザイン”についてのリサーチやインタビューを行なっています

今回のお話を伺ったのは、株式会社まめくらし代表取締役・青木純さんです。

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青木さんはこれまで、既存の概念にとらわれない賃貸物件を企画・運営してきました。なかでも「育つ賃貸住宅」をコンセプトに、住人同士、そして地域とも深いコミュニティを構築する『青豆ハウス』は世界からも注目を集めました。自身の体験から大家を1つの職能として捉え、暮らしを作ることを学ぶ「大家の学校」の運営も行っています。

今回のインタビューでは、青木さんのこれまでの経験をたどりながら、大家視点で見た場づくりのコツや、これからのコミュニティのあり方について、たっぷりとお話を伺いました。

把握しているのは勤め先と年収だけ――継いで知った、大家の現実

青木さんは、祖父の代から同族企業で大家業を経営する”大家の家”に生まれました。幼い頃から「いつかは大家になるのだろう」と思いながら過ごしてきたものの、社会に出てからすぐに実家の仕事を継ぐイメージは持てなかったと言います。

そんな思いもあって、大学卒業後は近しい分野である不動産会社に新卒で入社した青木さん。そこで中古不動産の仲介業務などを8年半ほど経験した後に、当時はまだベンチャーだった不動産情報サイト『HOME’S』の運営を行う株式会社ネクスト(現:株式会社LIFULL)に転職しました。

そして、ネクストで経営に近い立場で営業企画、コンテンツ運営、事業立案、採用など様々な経験を積んだのちに、青木さんは家業を継ぐために実家に戻ります。しかし、そこで目の当たりしたのは、自分の理想とする大家像と現実の大家の仕事の間にある、2つの大きな溝でした。

「1つは、僕自身が“いわゆる賃貸の物件”が嫌いだったことです。正直に言ってしまうと……『賃貸は安っぽいし、無難だし、ダサいし、窮屈』だと、当時は感じていました。物件を提供する側でありながら、提供するものを心からよいと思えなくて。心の底では、『本当に住みたい家に住むためには、家を買うしかない』と考えていたんです。

もう1つは、住人と大家との関係性の薄さです。当時、僕が考えていた理想の大家の姿は、落語の中にいるような住人を家族のように思う大家であって、『めぞん一刻』のような世界観でした。しかし、現実は想像以上にドライで。会社の中で『住人の顔と名前はわかるか』と聞くと、『よく苦情を言ってくる人しかわからない』と言われたり、唯一手がかりとなる入居申込書には『氏名、年齢、勤め先、年収』しか書いていなかったり(笑)。住人の人となりなんて、何ひとつわからなかったんです」

入居前に壁紙を選んでもらったら、賃貸が一気に面白くなった

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入居予定者が壁紙を選んでいる様子

実家の大家業の現実を目の当たりにして、青木さんは「どうしよう、やりたくない仕事を受け継いじゃったかもしれない……」としばらく悩んだそうです。

しかし、そんな青木さんに間もなく、大きな転機が訪れます。大家業を受け継いでわずか3カ月後に、東日本大震災が発生。青木さんはいても立ってもいられず、震災から2カ月後に、ボランティアとして現地に向かいました。大家としての道に悩みを抱えたままに参加したボランティアは、青木さんの今後を決めるきっかけとなります。

「被災地には、僕より若いのにさまざまなボランティアを経験している人が、たくさんいました。彼らは直感的に、ガンガン行動して人の役に立っている。一方、自分は受け継いでやるべき仕事があるのに、嫌だなと頭で考えているだけで、何もできずにいる。彼らを見ているうちに『直感的に行動すべきだ。嫌なことはやらなければいい、とにかく自分が“よい”と信じられる行動をしてみよう』と思えるようになったんです」 

ボランティアから東京に戻った青木さんは、「自分が賃貸に感じていた違和感を、どうすれば払拭できるか」と考え、とあるアイデアをひらめきました。

「賃貸の嫌いなところを変えるには……と考えた時に思い出したのが、不動産の営業をしていたときに見た、カラフルな壁紙を貼った家でした。当時、私は『壁紙が違うだけで、こんなに印象が変わるのか!』と驚いて。それから、我が家も引っ越しをする際に、転居先の壁紙を妻のアドバイスもあって大胆に変えてみたんです。すると、入居するときに引っ越し屋さんが珍しがって、その壁の前で笑顔で写真を撮っていたんですよ。こうした経験から『住む人の個性を反映したユニークな壁紙で室内を彩ることが、部屋を魅力的に変えるのではないか』と思ったんです」

このような考えから、青木さんは親の代より大家を務める共同住宅で、「入居する前に部屋の壁紙を自由に貼り替えられるサービス」を始めました。

「『壁紙を選べる』というサービスを始めてみると、少しずつ興味を持ってくれる人が増えていきました。ただ、皆さんに『好きな壁紙を選べますよ』と膨大な見本を見せても、いきなりそこから1つを選ぶのは抵抗があるかなと思って。なので、私が積極的に入居希望者とコミュニケーションを取って、その人に合う壁紙を探すお手伝いもすることにしたんです。

イメージに近い写真を持ってきていただいたり、持ち物から好みを聞いてみたり。営業をやっていたこともあって、一対一のコミュニケーションにはそれなりに自信があったので、やり取りに困ることはありませんでした。壁紙を選ぶ体験を通して、住人の皆さんには住む前から部屋に愛着を持ってもらえましたし、なによりも住人さんと仲良くなれるので、僕自身が楽しかった。この壁紙を選んで貼れるサービスを通して『賃貸の部屋のつまらなさ』と『住人とのコミュニケーション』という、当初抱えていた課題を、2つとも解決できたんです」

住人が「お客さん」じゃなくなったら、自然とご近所づきあいが生まれた

大家業の現実と理想の溝を埋めながら、徐々に住人との関係も構築していった青木さん。大家と住人にでき上がった縁は、次第に広がりを見せ、マンションの住人同士を繋げていきます。

「壁紙を選んで貼れるサービスが徐々に広まってきた頃、以前から住んでいた住人から『ウチも壁紙を貼り替えたい』と相談を受けたんです。当時、壁紙を選んで貼れるサービスは、新しく入居する人だけに提供していました。そのサービスがメディアで取り上げられるようになって、前から住んでいた方がテレビでそれを知って、興味を持ってくれていたんですね。僕は、喜んで張り替えることにしました」

その住人宅の壁紙を貼り替える際に、青木さんは「新しい住人との交流も兼ねたパーティを、壁紙を貼り替えた部屋でやらせてくれないか」と相談をします。するとその住人は快諾。壁紙を貼り替え終えた部屋でのパーティの人集めまで手伝ってくれたそうです。

「このパーティをきっかけに、新旧問わず住人同士のコミュニティが広がっていきました。みんな家にこだわりがあるという共通点がありますから、どんどん仲良くなっていったんです。そして、僕の知らないうちに住人同士で『おうち巡りツアー』を企画していたり(笑)。お互いに自分たちの部屋を見せ合って『この壁紙素敵だねー!』『うちは間取りもちょっと変えたんだよ』などと談笑している様子を見ていると、この仕事を選んでよかったなって思えるんです」

住人たちが自らコミュニティを形成・活性化した背景には「それぞれの住人が”当事者意識”を持っていたことが大きく影響している」と青木さんは考えています。

「住人を『お客さん』にするのではなく『当事者』にすることが大切です。何気なく借りている場所という意識ではなく、『自分の意志でここを選んで住んでいる』という当事者意識を持てると、人は自然と『ご近所づきあいを大事にしよう』と思えるのだと感じています」

青木さんが何か積極的に働きかけなくても、住人同士が自発的にコミュニケーションを取り、助け合いの関係性が生まれていく――理想的なコミュニティ形成のカギは「当事者意識≒コミュニティの構成員一人ひとりが主体性を持つこと」にありそうです。

「他の誰でもない、あなただからこの部屋を貸す」という信頼

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住人を住まいの『当事者』にするために、青木さんはどんなことをしたのでしょうか。

「賃貸住宅で住人に当事者意識を持ってもらうために、大家に必要なことはただ一つ。それは、『住人を信じること』です。

たとえば、青木さんが展開してきた壁紙を自由に選べるサービスも、オーダーメイドで部屋の間取りを変えられるサービスも、大家の立場としてはリスクがあります。『今の住人の好き放題に部屋を改造してしまったら、後が貸しづらいのでは……』という懸念ですね」

しかし、青木さんはそのリスクを承知した上で、それでも「住人が自分の部屋に愛着を持てることが大事だ」と考え、住人に寄り添います。

「住人に壁紙を選んでもらう時に、僕は必ずこう言います。『他の誰でもない、あなたに貸す部屋だから、とことんやりますよ』と。逆に言えば、少し偉そうな言い方になってしまうかもしれませんが……面談を重ねた上で、それくらい信用できる人たちに入居してもらっているんです。

大家業は、採用の仕事に似ているなと感じています。一般的な大家は『家賃を継続的に払えるか否か』といった、経済的な信用で入居の可否を審査します。僕の場合は、『今住んでいる人たちとマッチするか』や『この部屋を大事にしてくれる人か』といった視点で、住人を選んでいるんです。なので、『○カ月以上住んでください』といった制約は設けていないんです。入居をOKした段階で、その人を信頼するって、腹をくくっているので」

青木さんは実際にオーダーメイドの部屋を作るときも、青木さんが払う額の見積りを住人に開示し、見積もり項目ごとに一緒に「そのリノベーションは部屋の価値を上げるか否か」の精査をしていくと言います。

「入居前に間取りを変えられるサービスについては、僕はあくまで『本来は大家がひとりでやらなければいけないことを、共同作業でやってもらっている』と考えていますし、住人にもそう伝えます。あと、『いつこの部屋を卒業してもよいが次の入居者に喜んでもらえなかったら悲しいですよね?』と必ず伝えていました。こういった部屋づくりのプロセスを経ることで当事者意識が芽生え、結果的にいい部屋になるんですよ。

だからメディアの取材が来ても、住人の皆さんは喜んで協力をしてくれます。話す内容も事前に打ち合わせなくても、僕と同じ目線で、僕以上に愛を持って、その部屋のよさを語ってくれるんです。だから、だいたい大家である僕のセリフは使われません(笑)。でも、当事者は、実際に住んでいる住人たちですから、それでいいんです」

住む人が育てる、シェアハウスのような共同住宅「青豆ハウス」

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「青豆ハウス」の様子

2014年3月、青木さんはこの経験を生かして、新たな住まいをオープンさせます。“住む人、集まる人がみんなで育てる共同住宅”をコンセプトに掲げた「青豆ハウス」です。

青豆ハウスは『シェアハウスから2人暮らしに移る、若いご夫婦向け』という、とてもニッチな、けれども切実なニーズに応えるために企画された賃貸住宅です。全8戸のコンパクトなつくりで、ベランダやロビーなどの共用スペースを充実させ、共同住宅ながらもシェアハウス的コミュニケーションが生まれるような設計になっています。

当初は青木さん自身、シェアハウスから移住する人という特定のマーケットを狙った物件だったため、「住人が集まるかどうかわからない」との不安を抱いていたと言います。しかし、住人の募集を始めて来た最初の問い合わせが、そんな青木さんの不安を、いっぺんに吹き飛ばしました。

「最初に問い合わせてくれたカップルが、『シェアハウスで出会って、これからそこを出て2人暮らしをしたい』という、まさに想定していたターゲット通りの方々で。彼らからのメールには、長文のメッセージが綴られていました。

そこには『普通の賃貸はほとんど無個性で、近隣とのコミュニケーションも断絶されている。住みたい部屋が見つからず途方にくれていたら、青豆ハウスを見つけて、歓喜しました。ここには、私たちの求めているものが、全部ある気がしています」といった内容が書いてあって。それを見た瞬間、プロジェクトメンバー全員で『よっしゃー! 必要としている人たちがいたー!』と、歓喜しましたね。まさに狙い通りの人に、しっかりとメッセージが届いていたわけですから。彼らを皮切りに、イベントなどをきっかけに次々と申し込みが入り、完成の2か月前には、すべての住人が決定して、ホッとしました」

大家は裏方、コミュニケーションが生まれるきっかけ作りに徹する

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幸先よく、無事に住人が埋まった青豆ハウス。新築で一気に8世帯をコミュニティ化しなければいけないということもあり、住人コミュニティの形成については、それまでとは異なるアプローチをしたと、青木さんは語ります。

「まず、内装を自分たちで手がけるイベントを行いました。住人同士でお互いの価値観をすり合わせるタイミングがないと、結束力は弱まってしまいます。だから、同じ体験を共有してもらいたかった。壁を塗るのって簡単そうに見えますけど、結構人によって向き不向きがあったりして。みんなで共同作業をしていると、不器用な人が苦戦しているところを、慣れている人が自然と手伝ったりするんですよ。そこで住人同士の協力やコミュニケーションが生まれて、仲良くなれるんです。

それと、入居直前には地域の人たちと繋がるイベント『おひろ芽マルシェ』を開催しました。住人同士だけでなく、地域のご近所さんとも仲良くしてほしくて。だって、その方が絶対に、そこでの暮らしは楽しく、豊かになるから。そのためには、地域の皆さんにも『ここにどんな人が住むのか』を知ってもらえたらいいなと思ったので、入居予定の皆さんには『なぜここに住むのか、ここで何を実現したいか』などを紙に書いてもらって、それを展示したりもしました」

いくつかの仕掛けを通して、徐々に住人の期待と、当事者意識を高めていくことに成功した青豆ハウス。こうしたプロセスを用意することも含め、あくまで青木さんは「大家として裏方に徹した」と話します。

「僕の役割はコミュニケーションが生まれるプロセスを用意し、ひとりひとりの個性を知って、それを広めるだけ。あくまでも裏方として、世話を焼くんです。たとえば最初に入居が決まった2人は、直前に入籍をしたことを知っていたので、住人全員が集まった食事会にサプライズケーキを用意してお祝いしたんです。あの時は、まだこれから住み始めようとしている人たちなのに、みんな家族みたいにワッと盛り上がって、本当に温かい空間ができ上がっていたなと。いま思い出しても、ちょっと涙ぐみますよ。

実は、僕も青豆ハウスに住んでいて。住人と夜な夜な飲む機会もありました。みんな『青木さんちの息子がグレたら俺たちの責任だ!』『大人になるまで見ていたい!』とか言ってくれて、親戚かよって(笑)。しかも、それは僕が大家だからというわけではなくて、あくまで『同じ空間を作っていく仲間』として、皆さん付き合ってくれる。僕も、貸し借りの関係性ではなく、『一緒に青豆ハウスを育てていく仲間』として接しています。それが、とてもよかったなと思っています」

住人と同じ目線で、一緒に場づくりをする仲間として付き合っていく――青木さんがよいコミュニティを育てられている由縁は、このあたりにあるのかもしれません。

ピザ窯と看板、そして“当事者意識”が育んだ、ご近所さんとの繋がり

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「青豆ハウス」でのピザパーティー

入居する前から住人同士の関係性を育て、コミュニティとして機能し始めた青豆ハウスは、徐々にその影響を“ご近所”にも発揮していきます。住人同士で作った「ピザ窯」や地域の人に向けて毎朝住人たちが掲げる看板が地域との繋がりをじっくり育てていったそう。
青豆ハウスで住人たちの暮らしが始まった頃は、毎日ピザ窯でピザを焼いてパーティーをして楽しんでいたそうですが、煙がたくさん出てしまい、近所から苦情もあったのだとか。でもそこで、やめるのではなく「どうやったらパーティーを続けられるか」を考えて、住人たちが主体となってピザ窯の使用についてルールを決めました。

「いまでは温かく見守っていただいていて、苦情はなくなりました。ピザを焼いていると覗きにきて、楽しげに声をかけてくれる青豆ハウスのご近所さんもいます。近くに菜園を持っている人が野菜を分けてくれたり、そのお返しにピザをあげたりと、地域との交流も生まれています」

また、青豆ハウスには地域との壁をつくらないために、塀を基本的に設けていないそう。でもある時、植え込みの花が摘まれていたり、犬のフンをされていたりするのを住人が発見しました。

「塀を作ってしまうのは簡単ですが、もっと違う方法がないかと住人たちで考えて、『お花をつまないで』という看板を植え込みに置いてみたんです。でも、直接的なものだと、なかなかなくならず……。

一番効いたのは『今日は母の日ですね』と書いた看板でした。近所のお母さんからも、『あの看板いいわね。看板のおかげでいいことがあったわ』なんて言われたり。それからは、住人が交代で思い思いに書いた看板を出すようになって。そのおかげか、今では植え込みが荒らされることは、ほとんどなくなりました」

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「青豆ハウス」の住民の方々が書かれた看板

「そう言えば、先日は看板に手紙がついていて。苦情かな……と思って見てみると『いつもありがとう。朝からいい気持ちになります。楽しみにしています。』と書かれていたんですよ。

次の日、お礼のお手紙とともに看板を出していたら、手紙はなくなっていました。青豆ハウスの住人が“当事者意識”を持って、地域の方々と丁寧に関係性を作りながら暮らしているからこそ、地縁も少しずつ育っているんだなと感じます」

住人が当事者意識を持ち、自分たちで課題解決に取り組んでいく青豆ハウス。さらに、住人たちは青豆ハウスと地域との繋がりを、よりよくしようと動いています。

「住人たちは『自分たちが住む家の周りもよくしたい』と考え、近所の美味しいお店の常連になって、外でも自分たちの居場所を作ったりしています。すると、その場から縁が広がって、近所のビザ屋の店主が、ピザ生地の伸ばし方を教えに来てくれたりもして。青豆ハウスで行う小さなイベントにも、参加してくれるご近所さんはどんどん増えています。楽しく暮らそうという意識が、自然と地域との密な関係の構築に繋がっているんです」

「将来の夢は大家さん」――子どもにそう言ってもらえる未来を目指して

f:id:k_kzyk:20170429172832j:plain青木さんが携わった、南池袋公園でのイベントの様子

大家としての経験を経て、青木さんは「価値を見直し始めたことがある」と言います。それは、「大家という職能」について。大家というと「不動産をもった人」と捉えられてしまいがち。ただ、「大家という職能」は不動産業に限らず、より幅広い分野で価値を発揮できるのではないかと、青木さんは提言します。

「僕はいま“大家という職能”を持った人を増やすこと”に力を入れていて。そのために『大家の学校』という、暮らしづくりを学ぶスクールを運営しています。ここでは単なる賃貸住宅の経営ノウハウだけでなく、地域とのつながり方、住人との関係性のつくり方、リノベーションのプランニング、暮らしの発信の仕方など、さまざまなスキルを伝えています。

大家が管理している共同住宅って、僕は言わば“街の縮図”だと思っていて。70世帯くらいの共同住宅は、建物として縦のまま捉えるのではなく、横に倒して考えると“70世帯が集まったひとつの地区”であり、つまりは小さな街と同等なんです。実際『大家の学校』には大家じゃない人が4割くらい参加していて。 飲食店をやっている人や、街づくりに絡んでいる人など、“場つくりに関心のある人たち”が幅広く集まっています。大家の職能は、広義の場づくり、街づくりにも生かせるものなんです」

f:id:k_kzyk:20170429172836j:plain「大家の学校」開校式の様子

実際、青木さんの現在のお仕事は、生まれ育った池袋にある「グリーン大通り」や「南池袋公園」といった公共空間の活性化に関わったり、全国で地域に特化したリノベーションスクールを展開したりと、まちづくりに深く根付くものが増えています。

「僕は、職能を基準に考えるとコミュニティマネージャー は“まちの大家さん”と言い換えられるのではないかと思っているんです。“○○の大家さん”って呼んだ方が、なんだか親近感が湧きません? 今後もっと、“大家という職能”を生かしたさまざまな『大家さん』が生まれてほしいですね。そのために、僕もできる限りのことを、引き続き手がけていきます」

最後に、今後の展望について、青木さんに語っていただきました。

「昨年は、キッズリノベーションスクールを開催したり、小学校での講演の機会を何度かいただいたんですけど、子どもに自分のやっていることを伝えるの、ものすごく難しいんですよ。でも、すごくやりがいがあるんです。講演の後に、参加した子どもから手紙をもらったことがあって。

そこには『僕はサッカー選手になるのが夢なのですが、青木さんの話を聞いて“サッカー選手になれなかったら、大家さんになりたい”と言うようになりました』と書いてあったんです。すごくないですか? いろんな夢のある職業を押さえて、一気になりたいものランキング2位まで急上昇ですよ(笑)。でもね、僕は本気で『大家さん』をそういう存在にしたい。子どもたちに『なりたい!』と言ってもらえるような夢を持てる職業にしていきたいですね」

大家という職能はまちづくり、コミュニティデザインに生かすことができる……この視点は、これから地域振興に携わる人たちだけではなく、いま大家をはじめとする不動産業に携わっている方々にとっても、よりよい未来を拓くカギになりそうです。

 

共同住宅内・地域内コミュニティを作るなら、ご近所SNS「マチマチ」

マチマチでは今後も引き続き、コミュニティデザインやまちづくりまつわるリサーチ・インタビューを継続的に行なっていきます。ぜひ、チェックしてもらえたら幸いです。

青木さんがこれまで手がけてきたような、共同住宅内のコミュニティ形成。さらにそこから、地域のご近所さんとの地縁を広げていく際に、ご近所SNS「マチマチ」は有効活用して頂けるはず。「住宅内コミュニティ・地域コミュニティを作って盛り上げたい」と考えている方は、ぜひ一度マチマチを使ってみてください。

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ほかにも、過去にはコミュニティデザインについて、こんなインタビューをしてきました。ご興味ありましたら、ぜひご覧になってみてください。

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