『ご近所未来ラボ』では、テクノロジーを活用しながら地域の課題解決を推し進める「シビックテック」の好事例について、定期的にリサーチ・発信していきます。
今回はアメリカ・NYを中心に展開されている、都市リサーチプロジェクト「Sidewalk Labs(サイドウォークラボ)」についてご紹介します!
テクノロジーだけでは、地域コミュニティは変化できない
「Sidewalk Labs」は、2015年3月に世界の検索エンジンの最王手である「Google」が発足させたリサーチプロジェクトです。同年6月には、プロジェクト名をそのまま冠した新会社も設立されました。
Sidewalk Labsが目指しているのは「テクノロジーによる都市の問題解決」です。
いま、世界中の都市部では人口の過密化により、住宅・交通・エネルギーなどにおいて深刻な課題を抱えています。
たとえば、住環境においてはエリアごとに居住ニーズの差が激しくなってきていて、一方では住宅不足、もう一方では空き家の増加が問題になっていたり。交通については、電車でも自動車でも、混雑による機能低下が発生しないようなシステムが希求されていたり。Sidewalk Labsは、こうした都市部に起こるさまざまな課題を「最新のテクノロジーを用いて解決しよう」と、活動を展開しています。
ただ、Sidewalk Labsがフォーカスするのは技術ばかりではありません。彼らは「Our Principles(私たちの指針)」の中で「People(人々)」や「Diversity(多様性)」という言葉を掲げています。単に便利なテクノロジーを提供するだけでは、都市の問題を根本的に解決することは難しい。そんな意識を持っているためか、彼らは自治体との協働を積極的に試みており、「地域コミュニティ全体をどう動かしていくか」ということに真摯に向き合っています。
地域コミュニティを変えるには、行政を巻き込め
「Sidewalk Labs」では、ホームページ上で「4つの挑戦」と「4つの機会創出」に取り組んでいくことを明言しています。
<挑戦>
- 人口が集中する都市部の、インフラに依存した供給システムを改善する
- 都市部の膨張に、交通・住環境が整備が追いつかない状況を改善する
- 都市部の発展に伴い発生する公害を軽減する
- 化石燃料への依存により汚染された大気環境を改善する
<機会創出>
- 実績に基づいた技術を使って新しい生活のあり方を提案する
- デジタルモビリティシステムを使って交通環境や大気環境を改善する
- 都市システムにより発生している健康被害に個人レベルで対応する
- ビジネスモデルやエネルギーシステムを活用し、持続的な緊急時対応システムを確立する
このように彼らのミッションを整理してみると、Sidewalk Labsが自治体との協働を進めようとする理由がよくわかります。彼らは、これまで行政レベルで対策にこまねいていた課題に、民間側から行政を巻き込んでアプローチしているのです。
都市政策において「いかに人を動かすか、どのように次世代のコミュニティを構築していくか」という点も考慮しながら、テクノロジーが導入・活用できる余地を策定していく――Sidewalk Labsが目指す方向性は、これからのよりよい「シビックテック」を考える上で、大きな指針となるでしょう。
次回の記事では、Sidewalk Labsが手がけている「Link NYC」というプロジェクトについて、ご紹介したいと思います。
「Link NYC」についての記事はこちら
Sidewalk Labsがトロントで取り組みをはじめようとしているニュースはこちら。
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