“風邪のときにおかゆを持っていける関係性”を都会でも! 武蔵小山の若者が集まる地域コミュニティ「MKN」とは?

一人暮らしをしているときに、風邪をひいたり何か困りごとが起きて、近くに頼れる人がいたら、と感じたことがある人はいませんか?
地域の中には町内会や自治会があり、繋がりをつくることもできますが、なかなか若い世代は入りにくいということも事実。
それならば、自分たちでそうした繋がりを作ってしまおうと、行動を起こした人たちがいます。それが、“地域でのコミュニティデザイン実践者”として、品川区・武蔵小山で広がりを見せている若者コミュニティ「MKN(武蔵小山ネットワーク)」です。

「MKN」は、武蔵小山周辺に住んでいる20代中心の地域コミュニティ。いわゆる、地域の“ご近所付き合い”が希薄になっている昨今において、どのようなきっかけからコミュニティを形成して、活動するようになったのでしょうか。MKNの中心メンバーである正太郎さん、なつみさん(仮名)、ゴエさんにお話を伺いました。

 

武蔵小山に住む同世代の仲間たちと「暮らしをよくする」ために活動スタート

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今回の取材にご協力いただいたMKNのメンバー。右から、MKN発起人の正太郎さん(武蔵小山在住2年)。MKN女性メンバーのなつみさん。MKN農村部部長のゴエさん(生まれも育ちも武蔵小山)。

「自分たちの暮らしをよくしていくために何かしたい」という想いがきっかけに

――まず、MKNを結成したきっかけを教えていただけますか?

正太郎さん:もともとは、単なる飲み仲間だったんですよ(笑)。武蔵小山に住む友人同士で「武蔵小山の呑み屋を開拓する会」として集まっていました。そのうち、お酒を飲む以外にも、「自分たちの暮らしをよくしていくために何かしたいね」という話になって。2015年の春から「MKN(武蔵小山ネットワーク)」という名で活動を始めました。

現在(※2016年8月の取材時点)、メンバーは約15名、男女比6対4ほどの割合です。活動内容は、定期的に集まって食事をしたり、休日に集まって農作業をするといったことが多いですね。 

f:id:aiydos17:20160731215546j:plain農民部の活動の様子

――農民部、という活動があると伺っています。

正太郎さん:そうなんです。全体の飲み会や食事会以外の活動は「部活動」という形で、個別に召集をかけて集まっています。今ある部活は、農民部、男子部、女子部、DJ部、ライザッ部、梅干し部、銭湯部、企て部などです。 

――「企て部」、ですか?

なつみさん:「部活動を企てる部活」ということで始まりました(笑)。あらゆる企画はここから生まれることが多いです、お誕生日会とか。 

正太郎さん:部活の中だと、農民部が一番活発ですね。ゴエくんが農場長(部長)として取り仕切ってくれています。

――農民部はどのように運営されているんでしょうか。

ゴエさん:品川区の貸農園を、みんなでお金を出し合って借りています。週末を使って、当番制で畑仕事をしています。いま栽培しているのはトマト、キュウリ、ナス、ズッキーニ、かぼちゃ、すいか、メロンなど…夏の野菜や果物が中心です。

「農業にトライしてみたい」という声が多かったのと、ちょうど「みんなで何か作る活動をしたいね」と話していたタイミングで生まれた部活動です。

MKNは食べることが好きなメンバーが多いので、農園で収穫した野菜をみんなで料理したりして楽しんでいます。

――女子部、という活動もあるんですね。どんなことをされているんですか?

なつみさん:もともと男の子たちだけで集まって飲む会があって、女の子でも集まりたいねという話になったんです。初期のMKNは男の子のほうが多くて、お酒をたくさん飲んで夜通し遊ぶようなことが多くて、そうではなく日中にお茶を飲みながらのんびり過ごしたいね、と。

ゆっくり過ごす女子会からはじまって、バレンタインに女の子のメンバーの家でお菓子を作ったり、浅草にみんなで浴衣を買いにいったり、編み物にチャレンジしたりしています。

「ガンガン遊びたい!」というタイプのメンバーも、「穏やかに過ごしたい」というメンバーも、共通の価値観で繋がって共存しているところが、MKNの面白いところだなと感じています。

――なるほど。「共通の価値観」というと、どういうところになるんでしょうか。

正太郎さん:メンバー同士では「誰かが風邪をひいたときに、おかゆを持っていける関係性」を大切にしています。MKNに入会制度はありませんが、そうした関係を築けるかどうかがフィルターとなってきますね。

その背景には「自分たちの暮らしが、さらに良いものとなっていくように」という考えがベースにあると考えています。例えば「食」は大きな要素です。常にお互いの生活を良くしていこうという向上心が僕らにはありますね。

地域コミュニティ運営のカギは、メンバー間のコミュニケーションの質を高めること

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収穫した野菜を分配

いざという時に頼れる人と繋がっている、スモールコミュニティ

――実際に、MKNのメンバー同士はどのようにコミュニケーションを取っているんでしょうか?

ゴエさん:Facebookのグループページやメッセージの活用が中心です。お金のやり取りは、LINE Payでほとんどやっています。

――LINE Pay! どんな風に活用されているんですか?

正太郎さん:飲み会など、あらゆる出費の決済をLINE Pay上でやるんです。そうすると、会計時に小銭をやり取りする手間が省けるし、お金の貸し借りがあっても返済を忘れない(笑)。なかなか便利ですよ。

――お金の使い方も、コミュニティがあるからこその方法なんですね。ずばり、MKNのコミュニティ運営のキモは何なのでしょうか?

正太郎さん:いざという時に頼れる人と繋がっている、スモールコミュニティであることが重要だと考えています。ですから、メンバー同士が信頼し合っている関係でいられるよう気を配っています。

なつみさん:例えば、新しくメンバーが入ってきたときに丁寧に対応しています。その人がMKNに馴染むまで、誘った人がフォローするようにするなど。

正太郎さん:そう。新メンバーが多い時期は、月に一回「親睦会」を実施していたんです。食事してお酒を飲みながら新しいメンバーとコミュニケーションを取ったり、運営体制について話したりする機会としていました。数回重ねると、日ごろ顔を合わせるなかで自然と意思疎通できるようになってきたので、今は「親睦会」はやっていません。

ゴエさん:定例の会がなくなっただけで、メンバー同士でしょっちゅう飲みに行ったり、ご飯を食べたりはしています。

正太郎さん:ある意味、排他的になってきているとも言えますが、コミュニティが大きくなりすぎると価値観を共有するのが難しくなってきます。ほどよく流動的な空気を保ちながら、ここに残るメンバーで一緒にいられれば良いかな…と考えています。

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メンバーの自宅で開催された、「食を考える」をテーマにした食事会

――「MKNの活動をしていて良かった」と感じるエピソードを教えてください。

なつみさん:食材のおすそ分けが日常的な出来事になりました。野菜を買いすぎてしまったり、実家からたくさん送られてきてしまった場合などに分け合っています。

ゴエさん:DIYの空気が広がりましたね。自分たちで作れるものは、力と知恵を出し合って作り上げる。メンバーの模様替えや、何かの修理の際は、手を動かすのが好きなメンバー同士で集まっています。

正太郎さん:それから、引っ越しなどで家電や自転車が要らなくなった場合に、メンバー同士で譲り合ったりしていますね。

子育てやご近所イベントのサポートも。若者の集まりが、まちづくりに接続していく

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夏の小旅行でのひとこま

今はどんなコミュニティに属するかを個人が選択できる時代

――“ご近所”のコミュニティとはどうあるべきだと思いますか?

ゴエさん:若い世代は「ご近所付き合い」ってちょっと面倒に思ってる人が少なくない。ですが、今はどんなコミュニティに属するかを個人が選択できる時代です。入りたいコミュニティがなければ、自分たちで生み出すことも可能です。価値観が似ている者同士で集まって、生活の一部を共有すると、お互いの暮らし方がどんどん豊かになっていくな…と、僕はMKNを通じて感じています。

なつみさん:何より、困ったときに信頼する人の顔をすぐ見られるのって安心です。有事の際に限らず、仕事やプライベートで悩んだときもすぐ会うことができますから。

 

――食材や家具などを分け合うカルチャーは素晴らしいですね。コミュニティ全体だけではなく、MKNメンバーそれぞれの内面的なところにも何か変化はあるのでしょうか?

ゴエさん:私は武蔵小山に生まれ育って実家に暮らしていますが、そんなに深く知りませんでした。ほら、地元のことってあんまりみんな知らないじゃないですか?でも、メンバーの大半は武蔵小山が地元じゃありません。だからメンバーの視点を通して街を見てみると今まで発見出来なかった地元の良いところをたくさん見つけることができました。

なつみさん:街に仲間が増えることで、一人暮らしを決断できたというメンバーもいます。メンバー同士では生活の仕方に限らず仕事や転職、恋愛の相談もしていて、MKNがあらゆる面で向上心を持たせてくれる場であることにも良さを感じています。

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「MKN農民部」に苗を分けてくださった農家さんとともに

――MKNのみなさんと地域との繋がりはあるのでしょうか?

正太郎さん:最近は、街の主要な人物と、メンバーを媒介に繋がることが増えてきました。それぞれが武蔵小山を好きになって、もっと面白くしていきたいというモチベーションを持っているので、ひとりではなかなか繋がれないネットワークを、損得勘定抜きにシェアするメンバーが多い。街とMKNとの関係が深まってきています。

――今後、「マチマチ」も導入していくと伺っていますが、どのような活動をしていきたいとお考えですか?

正太郎さん:最近、理想の暮らしを求めて地方移住する動きが盛り上がっているなと思います。ただ、地方へ行かなくても、都会暮らしをアップデートしていくことで実現出来ることはたくさんあると実感しています。これからもそれをMKNで体現していきたいです。 

「誰かが風邪をひいたときに、おかゆを持っていける関係性」を築けるのは30人が限界だと感じています。僕たちはもう上限に達している。しかし、街に貢献していくためにはコミュニティの大きさを広げていかなくてはいけないと思います。そこで、マチマチを使って、周辺地域と繋がり別のプラットフォームを作っていきたいと考えています。

例えば、すでに繋がっている小学校のPTA関係者の方には、一緒に夏休みの自由研究を手伝ってほしいと声かけもらったり。お店をつかったイベントの開催なども話に挙がっています。そうした動きを、マチマチを活用して広げていけたらと思っています。

――既存の繋がりを生かしつつ、地域にコミュニティの輪を広げていく。面白い活用の仕方ですね。
本日はありがとうございました!

 

MKNの活動を参考に、あなたもご近所付き合いをさらに深めてみてはいかがでしょうか?

地域コミュニティの形成、ご近所付き合いを深めるなら「マチマチ」で!

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にぎやかな武蔵小山商店街

新しい人も、すでに付き合うのある人も。いろんなご近所さんと交流しよう

マチマチは、新しいご近所コミュニティを作っていくことはもちろん、すでにお付き合いのあるみなさんとのコミュニケーションツールとして活用することもできます。ぜひあなたの暮らしに取り入れてみてください! 

lab.machimachi.com

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