『ご近所未来ラボ』では、テクノロジーを活用しながら地域の課題解決を推し進める「シビックテック」の好事例について、定期的にリサーチ・発信していきます。
前回は、NYを中心にスタートした都市リサーチプロジェクト「Sidewalk Labs(サイドウォークラボ)」を取り上げました。
今回は、Sidewalk Labsが手がけている「Link NYC(リンクニューヨーク)」についてご紹介します。
公衆電話をリユースした無料Wi-Fiスポットネットワーク「LinkNYC」
「Link NYC」は、ニューヨークの使われなくなった公衆電話網を活用して作られた、市営の無料Wi-Fiスポットネットワーク。
古い電話ボックスの代わりに小さなキオスクを設置し、タッチスクリーンを操作すると半径45m以内で国内電話やインターネットを使用することができます。
既に100箇所以上のキオスクが機能しており、今後も数年かけて7,500箇所にまで増設する計画だそう。無料のWi-Fi利用はもちろん、充電サービスや国内への無料通話も市民に喜ばれています。
また、キオスクはWi-Fiを提供しているだけでなく、その周辺の人の動きや雑音、大気の上京などあらゆる情報の収集も行っています。ここで集められたデータが今後の都市計画に活きていくのかも注目したいところです。
使われなくなった公衆電話ボックスを活用
「Link NYC」の特徴のひとつは、使われなくなった公衆電話ボックスをリユースしている点。
かつては街のあちこちで目にしていた公衆電話。携帯電話が普及したことで、活躍の機会は減り、今ではその数を減らしています。街の風景として親しまれていた公衆電話を残そうと、世界では様々なアプローチが行われています。
たとえば、ロンドンでは2014年に公衆電話ボックスがソーラーパネルを搭載した携帯充電ステーションに変身していたり。
アーティストのJohn Locke氏は、ニューヨーク・マンハッタンで公衆電話ボックスを小さな図書館に変貌させています。
様々な挑戦が世界中で行われていますが、なかなか持続する取り組みは生まれていないよう。「Link NYC」はぜひ継続する取り組みになってもらいたいですね。
都市とWi-Fiの関係性
「Link NYC」のもうひとつの特徴は、無料のWi-Fiスポット。世界各地では、Wi-Fiを活用した都市の事例も登場してきています。
たとえば、バルセロナ市では、Wi-Fiを都市のICTの共通基盤として活用することで、新たなイノベーションの創出、産業の活性化や雇用の拡大につなげようとしています。
- スマートライティング・・・交通量のセンサ、Wi-Fiでコントローラに送り、エリアの明るさを調整、省エネの実現、市の電気代の削減など
- スマートパーキング・・・駐車場の空き状況をセンサ、Wi-Fi経由で住民、来訪者に提供 • 渋滞緩和、市の駐車場収入の増加、観光客の滞留時間増加など
- スマートバスストップ・・・Wi-Fiスポットの提供に加えて、バスの運行情報、その他交通、行政情報の配信、広告配信など
- スマートなゴミ収集管理・・・ゴミ収集箱の満杯、空き状況をセンサがWi-Fi経由で提供、市のゴミ収集の経費節減など
(参考:社会インフラとしてのWi-Fiがもたらす 地域のイノベーション)
Wi-Fiスポットが増え、ネットワーク網が構築されることで様々なことが可能になります。人々がインターネットに接続できるようになるだけではなく、省エネ化や行政サービスの経費削減につながる可能性があるのです。
「Link NYC」も取り組んでいる通り、Wi-Fiスポットを経由して新たな情報を収集できるようになり、ビッグデータやオープンデータなどの「情報資源」をもとに新しい産業や新サービスが生まれることも期待されます。
「Link NYC」は今後どのような展開を見せていくのでしょうか。マチマチは「Sidewalk Lab」の次なるプロジェクトと共にリサーチしていきます。
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