読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

高齢者を“お年寄り”扱いしない――誰もが笑顔になれる地域コミュニティを生み出した、日本の「CCRC」事例紹介

f:id:tks-west:20170215171929j:plain

『ご近所未来ラボ』では、読者の皆さんの活動に役立つ、これからのコミュニティや地域を作っていく取り組みや考え方をご紹介しています。

ご近所SNS「マチマチ」はこちら

machimachi.com

コミュニティデザインの領域で、いま熱いまなざしが送られている「CCRC」と「地域包括ケアシステム」。『ご近所未来ラボ』では、今この2つのキーワードについて、定期的に情報をお伝えしています。

「CCRC」と「地域包括ケアシステム」についてまとめた記事はこちら

lab.machimachi.com

今回は「CCRC」の考え方を取り入れている先進的な事例をご紹介していきます。

社会福祉に最適化された、多世代交流が生まれる施設「シェア金沢」

まず、CCRCが目指す「多世代とともに、リタイア後の高齢者が生き生きと健康的に生活できるような地域コミュニティ」を具体化している事例をご紹介します。

石川県金沢市にある「シェア金沢」は、高齢者だけでなく、若者も障害がある方も一緒に暮らす、まさにひとつの“街”のような複合的な福祉施設。1100坪の広大な敷地内に、「障がい者施設」「児童養護施設」「サービス付き高齢者向け住宅」などの福祉関連の施設と、レストランやクリーニングなどの多様な店舗・サービス、大学生向けの格安賃貸物件が混在しています。

高齢者と、学生向け物件に入居している美術系大学生が道端で談笑していたり、近くに住んでいる地域の住民がドックランを利用していたり。そんな光景がシェア金沢ではごく当たり前にみられるそうです。

シェア金沢

http://share-kanazawa.com/

シェア金沢は、社会福祉法人佛子園(ぶっしえん)が運営しています。理事長を務めるのは、雄谷良成さん(公益社団法人 青年海外協力協会 理事長、全国生涯活躍のまち推進協議会 会長)。雄谷さんはこれまでも、一度廃寺になったお寺を温泉や居酒屋が併設した福祉拠点としてよみがえらせるなど、地域と福祉が混ざり合うコミュニティ拠点づくりを手掛けてきました。雄谷さんの出身の地でもある金沢で、より多くの人々を巻き込んだ新しい場づくりができないだろうかと考え、作られたのがシェア金沢なのです。

参考記事

helpmanjapan.com

シェア金沢の最大の特徴は、多様な人が存在する空間です。雄谷さんはこれまでの経験から、福祉と地域が共に持続できるような仕組みが必要だと考えていたそう。シェア金沢では、高齢者や障害者、健常者といった枠にとらわれることなく、自由な交流が生まれる場づくりを目指しました。地域の人々も利用できる温泉を作ったり、散歩したくなるようこだわったデザインの街並みを設けることによって、福祉施設だけでなく、地域の住民も訪れる、まさに”ごちゃまぜ”な街が実現しています。

参考記事

kaigo.suumo.jp

 

いくつになっても、住民たち自身が、自分たちで運営する家「ゆいまーる那須」

CCRCで注目されている住宅の形態として、「サービス付き高齢者向け住宅」、通称“サ高住”というものがあります。サ高住は、賃貸住宅ですが、入居者の希望に応じて介護や医療、食事などのサービスを受けることができる高齢者向けの住宅。他の高齢者福祉施設とは異なり、入居者自身の選択が重視されているため、より自分らしい生活を過ごすことができます。その事例をいくつかご紹介していきましょう!

ゆいまーる那須 

c-net.jp

「ゆいまーる那須」は、緑豊かな那須高原にたたずむサ高住。周囲の自然環境を十分に生かすため、平屋建てを中心に作られた約70戸の住宅は、洗練された雰囲気を醸し出しています。福祉施設としては珍しく、数々の建築賞も受賞するほど! こちらの施設は、全国各地でサ高住の建設に関わる、株式会社コミュニティネットが運営しています。

施設内では、入居者が楽しむことができるプログラムや施設が数多く設けられています。図書室や音楽室などの共用スペースでは、書道やピアノ教室、絵手紙教室などのカルチャー系プログラムが提供されていたり、食堂では地元の食材を使ったメニューを楽しむことも可能。

その中でも特にユニークなのは、住みながら働き続けることができる仕組みが整っていることです。入居者や地域住民が食堂でメニューを提供したり、ヘアカットなど入居者自身が持つ技術を生かしたサービスを提供しています。自分の可能性を生かして働くことが、生きがいを得ることに繋がっているのです。

参考記事

kaigo.suumo.jp

ゆいまーる那須は2012年にオープンしました。入居者を巻き込んだまちづくりを提唱し、建設前から、入居希望者や周辺住民による「那須での暮らしを考える会」や「ゆいま〜る那須友の会」をスタート。設計図面の検討をしたり、食堂で出す食事の試作や値付けについて考えるなどの活動を行ってきました。オープン後は、こうした会に積極的にかかわってきた入居者を中心に、運営が進められています。

設立の経緯からもわかるように、ゆいまーる那須は「入居者と、運営側が同じ立場に立つこと」を大切にしています。例えば、入居者が働くことを支えるワーカーズコレクティブ制度。参加者一人ひとりが出資者となり、全員の話し合いで、働く条件などを決定する組織です。この組織での話し合いによって、入居者が働く際の賃金の基準や、手作り品の販売などの実施事業を決めていきます。

入居者を「サービスを受ける側」、運営者を「提供する側」として仕切ってしまうのではなく、双方が同じ目線に立つことで、より魅力的な住環境をつくっていこうとしているのです。

 

誰もがやりたいことを実現できる終の棲家「銀木犀」

最後に、都市型のサ高住の例をご紹介します!

とあるサ高住。その脇に設けられた駄菓子屋さんに、子どもたちが走ってやってきます。店長を務める入居者と、楽しそうに話しつつ、真剣に選んで買っていく。サ高住内の食堂では、お正月のお酒を楽しむ入居者の姿。気づいたらかなり瓶が軽くなり、入居者の方々の顔もほんのり赤くなっている……。

千葉や東京を中心に展開する「銀木犀」では、そんなサ高住としては珍しい光景が広がっています。大事にしているのは、入居者の方々が、自分のペースでそれぞれ自由に暮らし、やりたいことを実現する環境づくり。冒頭の駄菓子屋さんも、入居者の方からのリクエストを受けて作ったものなのだそうです。

銀木犀

http://silverwood.co.jp/ginmokusei/index.html

銀木犀は、株式会社シルバーウッドが運営しています。もともと建築会社で、スチールパネル工法という独自の技術を使った建築方法によって住宅や店舗を建てていました。

そんなシルバーウッドに転機が訪れたのは、4年ほど前のこと。高齢者向け住宅の建設を受注し、事前のリサーチのため北欧を訪問しました。その際、北欧の高齢者向け住宅が、自立した生活を続ける場所として成立していることに感銘を受け、日本で実現させようと取り組み始めます。

参考URL

www.projectdesign.jp

現在シルバーウッドは、東京・千葉を中心に6つのサ高住を運営しています。

「高齢者たちからできることを取り上げない」――そのために彼らが大切にしているのは、入居者ができること・やりたいことを続けられるようなサポートです。運営側の都合によるケアやサポートを押し付けるのではなく、日ごろの生活支援から、入居者の「やってみたい!」という声に耳を傾け、しっかりと時間をかけて入居者の方々に寄り添うようにしているそうです。

また、入居者の方々がやりがいを感じることも、自立生活を継続するための重要なポイントだそう。イベントの開催準備を入居者と一緒にしたり、夏祭りや駄菓子屋などを通じて地域の人々と交流することで、入居者の人たちが楽しさや生きがいを感じられるような工夫を取り入れています。

参考URL

www.huffingtonpost.jp

自分らしい生活を、地域で続けていくためのコミュニティ、CCRC。高齢になったからといって、やりたいことをあきらめるのではなく、いつまでもいきいきと輝く場を生み出すCCRCは、今後さらに求められていくはずです。CCRCをベースに、ますます活躍する高齢者が増えていったら素敵ですね!

今後は、もう一つの注目キーワード「地域包括ケアシステム」についても具体的にお伝えしていく予定です。お楽しみに!

地域コミュニティづくりに、ご近所でマチマチを使ってみる

マチマチでは今後も引き続き、「コミュニティデザイン」にまつわるリサーチ・インタビューを継続的に行なっていきます。ぜひ、チェックしてもらえたら幸いです。「地域でコミュニティを作って盛り上げたい」と考えている方は、マチマチを使ってみてくださいね。

ご近所SNS「マチマチ」はこちら

machimachi.com

「マチマチ」のサービスについてはこちら

lab.machimachi.com