「ポケモンGO」でまちおこし/地域の学びの場が生むまちづくりの担い手(2017年4月上旬・コミュニティデザインニュース)

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ご近所SNS「マチマチ」のコミュニティデザインチームでは、よりよい地域社会のデザインを目指して、日々参考になるようなニュースやトピックのリサーチを行なっています。その中で集めた情報を「ご近所未来ラボ」で定期的にシェアしていきます!

 

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私たちと同じように、地域の課題解決に取り組もうとしている、あるいはすでに取り組んでいる方々にとって、少しでも参考になれば幸いです^^

ゲームアプリ「ポケモンGO」で観光振興・地域活性化

米国ベンチャーのナイアンティックと株式会社ポケモンは、世界的にも人気のあるゲーム「ポケモンGO」を活用した地方自治体の支援を開始しました。具体的な支援として「地方自治体の周遊マップの作成、ゲームの素材、マップのテンプレート、利用ガイドライン」などのサービスを、無償で提供するようです。

www.nikkeibp.co.jp

2016年8月にも、岩手県・宮城県・福島県・熊本県の被災県と京都府の5府県との間で、観光振興に関して連携した取り組みを実施しており、“レアポケモン”といわれる珍しいキャラクターの出現率を高めるなどして注目を集めた。今回の取り組みでは、地方自治体の地域状況に合わせてポケストップやジムを増設し、ゲームのプレーヤーが実際にこれらの拠点を巡りながらゲームを進めることになる。これにより、プレーヤー自らが足をのばして隠れた名所を発見することで、地域の歴史や特色など街の魅力に触れてもらうのが狙いだ。

町の観光復興や活性化に関心のない人も、ゲームを進めて行く中で、名所を巡ったりして、街の魅力に気づく契機になるかもしれません。さまざまな街に訪れるきっかけづくりとなる「ポケモンGO」の新たな施策は、シビックテックの文脈としても、すごく面白い取り組みだなと思いました。今後の展開も注目していきたいと思います!

地域密着の学びの場から、まちづくりの担い手が生まれる

2016年11月、“地域内外の多様なヒトをフックにして、地域課題の解決を目指す場”として、岐阜県白川村に開校した「白川郷ヒト大学」。ここで、同じく地域課題にアプローチするプレイヤーの育成に取り組む「ナゴヤ大学」の学科長・加藤幹泰さんが、講義をされました。下記はそのレポート記事です。

machinokoto.net

学科長を務める加藤さんは「その場所ならではの仕事を生み出すこと」について、下記のように言及しています。

「つなぐことの可能性を模索していたときに、大ナゴヤ大学と出会ったことが、自分ごととしての名古屋を意識し始めたきっかけです。それまでは、自分が住むまちのことはあまり知らなかったんです。僕たちのプログラムでは、みんなが先生であり生徒になれますが、おじいちゃんから子どもまで参加者は多様で、多くの繋がりが生まれています。『やりたいこと(好きなこと)×やれること×求められること』をまずは自分発信で考えることで、白川村ならではの仕事が生まれるのではないでしょうか」

学びの場を介して、一緒にやってくれる仲間、自分じゃできないことを補ってくれるアドバイザーやサポーターと、世代を超えて繋がれる。マチマチでも、このような場づくりを積極的にできるといいな…と思いました。

財政が厳しくても、人口が増え続けている町――その秘訣は?

日本の人口は、2010年をピークに人口が減り続けています。そんな中、50年前から人口を増やし続ける和歌山県上富田町について、考察されている記事を見つけました。

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上富田町の町長である小出隆道さんは町の財政について、次のように町民に伝えているそうです。

「うちは学校給食の実施が和歌山県で一番遅い」と告白する。「学校の耐震化とか、保育所をつくるなど、公でがやるべきことは役場で優先的に実行する。その代わり、学校給食は後回し。個人でカバーできる部分はできるかぎり個人でしてほしいという旨を町民に伝えている。学童保育も民間にやってもらう。財政が貧弱だから、できない部分は民間の人が助けてくれる。昔からそうだ」

自治体の財政を町民に正直に伝え、その上で対処する課題の優先順位をはっきりと明示して、理解を得る――腹を割ってコミュニケーションを取り、合意形成ができているからこそ、住民の協力を得られている上富田町。住民や企業に、町の課題を“自分ごと”として捉えてもらうようことが、まちづくりにおいては重要なのだな…と感じました。

民間企業とうまく連携して、地域の課題解決にアプローチ

こちらは、岩手県遠野市が民間企業と連携して、地域の課題解決に取り組む事例となります。遠野市のように人口減少、基幹産業の衰退など、似たような課題を持つまちに住む方々にとって、大いに参考になる事例だと思い、ピックアップしました。

www.nikkeibp.co.jp

キリンビールは「ホップ栽培とクラフトビールで地域を変える」プロジェクトのパートナーとして、ビール工場内での安全に関する講習や衛生管理に関する講習をサポートする。「発酵を科学する」では、ロート製薬がパートナーとなって個人レベルでは難しい成分分析を担当し、地元の個人発酵醸造家がおいしさの追求を担当することで発酵食品の開発などを行う。「地域の可視化からはじまるワールドワイドネットワーク」ではGoogle イノベーション東北がパートナーとなって、地理条件や人の動きなどの可視化アプリケーションの開発をサポートする。

企業が持つ技術や開発力やマーケティング力、情報発信力を、自治体がうまく活用している事例だと感じます。地域の活動で協力者を得るには「地元の企業や個人ができること」「地域で求められていること」「課題の可視化をすること」などがポイントになってきそうですね。マチマチでは、ご近所さんとのやりとりの中で、自分の住んでいる地域の課題を可視化できると思います。ぜひ、活用してみてください。

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【4月7日(金)まで】マチマチ登録or紹介で、バルミューダトースターなど豪華家電が当たるキャンペーンを実施中!!

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ご近所SNS「マチマチ」は、“ご近所の人々とのつながりを通じて、地域の課題を解決する”ことをミッションに掲げています。

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豪華高級家電が抽選で当たる! 春のマチマチ登録キャンペーン

現在マチマチでは「春のマチマチ登録キャンペーン」と題して、豪華家電が抽選で当たる企画を実施中! この機会に、皆さんぜひ「マチマチ」を使ってみてくださいね^^

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 キャンペーン期間:2017年4月1日(土)~7日(金)

キャンペーン内容:

キャンペーン期間内にご近所SNS「マチマチ」に登録して、近所のオススメ情報を投稿した方を対象に、抽選で3名様に豪華高級家電をプレゼントします(期間内の登録者であれば、中野区以外の方も抽選対象となります)。

既にご登録頂いている方は、ご家族・友人・知人を下記の招待ページから招待いただき、招待した方がご登録したら応募完了となります。

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景品:バルミューダザトースター(1名)、パナソニック美容家電ヘアドライヤー ナノケア(1名)、ティファール 衣類スチーマー(1名)

 

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未来の地域コミュニティの在り方について、まずは気軽に考えてみよう ――「これからの住まいと共同体」presented by 共同体ブラザーズ・イベントレポート-

ご近所SNS「マチマチ」は、これからのよりよい地域社会、コミュニティデザインの在り方を探っていくため、関連する様々なイベントに参加しています。

今回は「これからの時代のコミュニティや共同体について考え、実践する」ユニット、共同体ブラザーズが開催した初のリアルイベントに潜入!このイベントの様子をレポートします。

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暮らしやコミュニティについて、カジュアルに話そう

会場は、先日オープンしたばかりの永田町GRID。「シェア」をキーワードにした、様々なイベント・コミュニティが発信されていく場として注目されています。

grid.tokyo.jp

まずは、共同体ブラザーズの“兄”、植原正太郎さんからイベントの説明がありました。共同体ブラザーズは、植原正太郎さんと佐藤大智さんの2人が手がけている活動で、普段は「共同体」や「コミュニティ」に関するキーワードについて語るFacebook動画の配信を行っています。

共同体ブラザーズ Facebookページ

植原さんは、NPO法人greenz.jpでgreenz peopleという寄付会員のコミュニティ運営を実施。その他にも、誰かが風邪をひいたときに、おかゆを持っていける関係性を目指した「MKN(武蔵小山ネットワーク)」をつくるなど、新しい形のコミュニティづくりを実践しています。過去には、ご近所未来ラボにも登場し、活動について語ってくださいました。

過去のMKNの記事はこちら
http://lab.machimachi.com/entry/MKN01

“弟”の佐藤大智さんは、「大きく学び、自由に生きる」をテーマにユニークな講義を展開する自由大学のキュレーター。自身が手掛ける「ギフトエコノミー」クラスのコミュニティは100名を超えるなど、共同体やコミュニティに興味をもつ人々同士のつながり作りに取り組んでいます。

f:id:MegumiHarada:20170326205603j:plain左側が“兄”の植原正太郎さん、右側が“弟”の佐藤大智さん。

近年、「共同体」というテーマを扱った本が出版されて話題になるなど、2人は社会における「共同体」への注目度を感じていたのだそう。とはいえ、なかなか「共同体」や「コミュニティ」について、カジュアルに対話できる場はありません。ないならば自分たちで作ってしまおう!ということで始まったのが、共同体ブラザーズなのです。

ご近所付き合いを裏から支える「おこめをつくる不動産」

この日は、新しい「共同体」づくりを実践するお二人がゲストとして登場しました。

まず1人目は、殿塚建吾さんです。殿塚さんは、松戸・八柱エリアで、お米をつくる不動産をコンセプトにした「omusubi不動産」を運営しています。

www.omusubi-estate.com

f:id:MegumiHarada:20170326205615j:plainomusubi不動産の代表を務める、殿塚建吾さん。

元々自給自足で、多様な人との結びつきをもつ農家に憧れていたという殿塚さん。社会人になり、当時は「一番やりたくなかった」という不動産業に就職します。その後職を変える一方、プライベートでは自給的な生活を実践していきました。東日本大震災をきっかけに、地元・松戸で「クリエイティブな自治区」をコンセプトとしたMADCityプロジェクトに参加。改装可能物件や、地域の人々との関係性をベースにした不動産事業を手掛けた後独立し、omusubi不動産を立ち上げました。

omusubi不動産は、「暮らしを顔が見えている人と作ろう」ということをスローガンとして掲げています。扱う物件は築年数を経て、DIY可能な物件がほとんど。例えば、昭和49年に建てられた、改装可能な「SUN SUNマンション」。それぞれの部屋を、ワークショップと称して皆で掃除をしたり、改装をして貸し出しています。

omusubi不動産の入居者には、クリエイターが多いことも特徴の1つ。千葉・市川に出来たシェアアトリエ「123ビルヂング」は、築数十年の古いビルを改装しています。最寄り駅もコンビニまでも遠いという悪条件ながら、アイシングクッキー作家や、古道具屋さんなどが入居し、満室状態に。

f:id:MegumiHarada:20170401222617j:plain123ビルヂングの様子。

シェアアトリエ「8lab」は、昭和59年に建てられた二世帯住宅をDIY。オーナーさん自ら集めた工具類が揃い、木工作家など多様なクリエイターが入居しています。

f:id:MegumiHarada:20170401222631j:plainシェアアトリエ「8lab」の様子。

元々こうした物件では、omusubi不動産が中心となってイベントの開催や入居者さん同士のコミュニケーションを行っていたそう。しかし、オープンから数年たち、今は入居者さんが自らイベントを企画し、運営するようになっているといいます。

また、現在は、八柱エリアからさらに拡大し、都内でも物件を手掛けています。浅草にあるクリエイティブスペース「KAMINARI」は、雷門にほど近い裏通りにある4階建てのレトロな建物。飲食店の他、ギャラリーやコーヒー屋さんなど、多様な業種の人々が入居し、浅草を裏通りから盛り上げようとしています。

様々な場所のコミュニティが立ち上がっていくのを見てきた殿塚さん。「コミュニティは作ることはできない。育つもの」と話します。

「入居する人の中には、気が合う人も合わない人もいます。でも、学校のクラスみたいに、いろんな人がいて、助け合える土壌をつくりたい。自分たちはその関係性が育まれていくことを手助けしたいと思っています」

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中でも、omusubi不動産が一番大事にしているのが、なんとお米をつくること!入居者の人も、八柱やomusubi不動産に興味を持って遊びに来てくれてた人も、みんなが一緒になって汗を流して作業する。そうすることで、関係性が自然と育まれ、地域の人々のたまり場が生まれることに繋がっていくと言います。

「不動産屋さんはあくまでも裏方。プレイヤーにはなれないけど、プレイヤーになる人たちのための場所を提供することができます。そういう場所をつくることで、街の景色を共につくるということをやっていきたいなと思っています」

まちづくりの輪を広げながら目指すのは、地域の“水先案内人”

続いて登場したのは、田中宏明さんです。田中さんは、現在50年以上の歴史があるひばりヶ丘で、世代を超えた新たな住民組織をつくるべく、一般社団法人まちにわ ひばりが丘に所属しコミュニティデザインを手がけています。

machiniwa-hibari.org

f:id:MegumiHarada:20170326205716j:plain一般社団法人「まちにわ ひばりが丘」の田中宏明さん

大学休学中、コミュニティデザインを手掛ける会社studio-Lにインターンで参加したことをきっかけに、コミュニティデザインに関わりだした田中さん。都市の社会課題の解決を目指すHITOTOWA Inc.でインターンする中で、マンションのコミュニティ運営にも携わり、双方のプロジェクトを手掛ける形で独立しました。現在は、全国各地のまちづくりに、フリーランスのコミュニティデザイナーとして関わっています。

ひばりが丘団地は、UR都市再生機構によってつくられた、東久留米市と西東京市の間に位置するマンモス団地。首都圏に初めて団地ができたほぼ同じ頃に建てられました。田中さんによると、建てられた当時は西洋の暮らしが楽しめる場所として、憧れの住宅地だったのだそうです。

f:id:MegumiHarada:20170401223328j:plainひばりが丘の様子。

また、団地が出来た当初から、住民たちの間には高い自治意識がありました。団地ができたばかりで整備されていなかった幼児教育を、自分たちで始めてしまったほど!その後、徐々に自治会として住民組織の形が整えられ、現在まで継続しています。

そんなひばりが丘団地ですが、現在は新たな事業者による分譲マンションや戸建住宅の建設が進行。そこで、昔から団地に暮らしている人たちと、新たに入居してきた住民との間にはつながりが希薄になってしまわないように、新しい自治組織として誕生したのが「まちにわ ひばりが丘」です。

「まちにわ ひばりが丘」は元々ある自治会とは別に、昔から住んでいる住民と、新たに入居した住民による垣根を超えたコミュニティづくりを目標に掲げて活動しています。

「まちにわ ひばりが丘」が注目しているのは、趣味や学びの充実、課題解決、防災防犯といったキーワード。これらの活動が、街中で展開されることによって、エリア全体の価値向上につながっていくのではないかと田中さんは話します。

具体的には、以前から住む人も新たに暮らし始めた人も、一緒になって話をしつつ交流が深められるような場づくりに取り組んでいます。例えば、老若男女100人が参加し、一つのテーブルを囲んでいただきますをしよう!というコンセプトで開催された「まちにわ食堂」というイベント。植原さんは実際にこのイベントに参加。お年寄りも子どもも、緩やかにその場にいられる場所ができていたことに驚かされたと言います。

f:id:MegumiHarada:20170401223413j:plainまちにわ食堂の様子。

また、地域住民によるまちづくりボランティアの養成講座も実施。「まちにわ師」と呼ばれるボランティアチームは、ひばりが丘団地における様々なまちづくり活動の仕掛け人。講座を通じて、イベントの開催だけでなく、地域メディアの発行や、コミュニティセンターの管理を手掛けられる住民を育てています。

f:id:MegumiHarada:20170326205807j:plainこの日は、まちにわ師として活躍する住民の方も駆けつけました

現在「まちにわ ひばりが丘」が仕掛ける活動には、様々なところから人が集まり、独自の発展を遂げるようになっていると言います。

「自治会は、なかなか主体的な参加を促すのが難しいですが、自分自身の興味を入り口にすれば、まちづくりにも参加しやすくなるはず。私たちはそのための体制づくりや仕組みづくりをしています。住民の方々の『水先案内人』的な存在ですね」

こうしたまちづくりの取り組みは社会的にも評価され、「まちにわ ひばりが丘」は2016年のグッドデザイン賞を受賞。マンション自体も景観を生かした立て方や、景観面でもグッドデザイン賞に選ばれるなど、今やまちづくりやコミュニティデザインを手掛ける人々の間で、高い注目を集める場となっています。

www.g-mark.org

既存の地域コミュニティと共存しながら、新たな共同体の可能性を模索

お二人の活動紹介のあとは、会場からの質問タイム!今回は、まちづくりに興味関心がある方や、実際に不動産に関わりたいと考えている若い世代の参加者が多く、質問にも熱が入ります。

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「人を巻き込む、共感力が強いまちづくり活動を行うポイントはどこにありますか?」という質問には、

「omusubi不動産では、入居者さんが誰でも参加できる事務所での飲み会をやっています。いわゆるイベントと言うよりも、そこにいけば誰か知り合いがいる場なので、参加しやすくなるのかもしれません。また、自分自身がこの街に住んでいるというのも、入居者さんが頼りやすくなる一つの要因かもしれないですね」

と殿塚さん。田中さんは、

「ひばりが丘団地には、元々は根強い自治会の歴史があるので、その人たち自身が主体的に参加してくれる余地を残すことを大切にしています。自治会といい関係性を築きながら、『まちにわ ひばりが丘』として頼りにしてもらえるような活動をしていきたいと思っています」

と話しました。

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また、「共同体づくりに取り組んでいくモチベーションは?」という質問も。

正直、住まいに対してあまり意識が高くなかったという田中さんは、

「コミュニティが生まれる住まいとは、どんな場所なのかというのが今のモチベーションだと思います。色々な事業をやる中で、お年寄りや若い人、それぞれにどんな活動が必要とされていて、受け入れられていくのかという自分の中の仮説がわかっていけるのが楽しいんです」

と語りました。殿塚さんは、

「気が合う人が街に増えることですね。退去した人と、その後も一緒にライブに行ったり飲み会やったりするんです。人の付き合いが続くことが楽しくて、それがやりがいだと感じています」

と、退去後も続く入居者さんとの関係性を上げていました。

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防災、防犯、ママ友…地縁がセーフティネットになる

植原さんは、この共同体ブラザーズの役割として、

「急激に社会システムが変化していく中で、『共同体』について、真剣に考えることは、これからの自分たちの暮らしをどう作っていくのかということに直結することだと思う。真面目に、でもハードルをあげずに対話できる場を、これからもつくっていきたいです」

と話します。

これからのコミュニティを考えるうえで、注目されるキーワード「共同体」。特に地縁コミュニティが崩れつつある都市部において、社会における新しいセーフティーネットとなるようなコミュニティを、どうつくるのかということは、とても大きな問いです。

その問いをただネガティブにとらえるのではなく、まずは気軽に話すことができる場を作り、皆で答えを考えてみる。共同体ブラザーズの活動は、小さな勇気を私たちに与えてくれるものだと感じました。

共同体ブラザーズは今後も、Facebookでの活動にとどまらず、リアルなイベントを開催していくそう!これからの「共同体」について、一緒に考えていきたいという方はぜひ参加してみてくださいね。

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コミュニティデザイン、まちづくりの「今」を発信する

ご近所未来ラボでは、コミュニティデザインやまちづくりに関するイベントのレポートを、積極的に皆さんと共有していきます。ぜひ今後もチェックしてみてくださいね!

過去のイベントレポートはこちら

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“タウンマネージャー”が仕掛けるまちづくり/都市開発のキーワード“グリーンインフラ”(2017年3月下旬・コミュニティデザインニュース)

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“タウンマネージャー”が仕掛ける、大船渡のまちづくり

東日本大震災で大きな津波被害を受けた、岩手県大船渡市。その中心的な市街地である大船渡駅周辺地区で、新たなまちづくりが進んでいるという記事を見つけました。

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上記の記事によれば、大津波復興拠点区域のほぼ全域を占める商業エリアに「キャッセン大船渡」という大規模な施設ができるそうです。このまちづくりに深く携わる1人に、大船渡駅周辺地区官民連携まちづくり協議会の“タウンマネージャー”を務める臂徹(ひじ・とおる)さんという方がいます。

タウンマネージャーとは、まちづくりの専門家として、中心市街地活性化協議会等に所属し、都市計画・商店街振興・イベント開催など、まちづくりに係る計画立案や、事業の立案・調整・実施を担う仕掛け人です。

 

臂さんは、この今回のまちづくりの取り組みについて下記のようにコメントしています。

――来街者にはどんな人を想定していますか。

 大船渡は、今でも域内消費が9割ぐらいという場所なんです。2街区、5街区の入居テナントもほとんどは地元の商店です。ただ、もともとは商・住が混在した商店街だったところに、今回、市は商業のエリアと居住のエリアを明確にゾーニングしました。これは市の英断だと思うのですが、同時に日常の誘客が図りにくくなるという面もあります。来街者の滞在時間を増やすような「きっかけ」と「理由」と「仕掛け」を考えていくことが、大事なことかなと思っています。

――そのために、例えばどのようなことをしていくのですか。

 5街区に円形広場があるのですが、ここの植樹やメンテナンスを、造園協会さんのサポートを受けながら地域の住民を巻き込んで一緒にやっていきます。あとは、いわゆるリレーショナルアートですね。鳥の巣箱を一緒に子どもたちと芸術家がつくって、それを円形広場の木に掛けたりとか、そういった参加型のワークショップやイベントをやっていきます。

来場者の滞在時間を増やすきっかけづくりを行うことで、参加者同士や地域の住民と地元の企業との繋がりできることが見込まれます。

岩手県大船渡市エリアのまちづくりの展開、そして「タウンマネージャー」という役割に、今後も注目していきたいと思います。

自然と共存するまちづくり“グリーンインフラ”。先進地のシンガポールに学ぶ

まちづくりや都市開発の領域でも注目される手法の1つに「グリーンインフラ」というものがあります。

グリーンインフラとは、「Green」 と「Infrastructure」 を組み合わせた造語です。自然の有する防災や水質浄化などの力を積極的に利用し、都市開発や社会基盤整備の1つの手法です。具体的に都心でも見られるものに、屋上農園などが挙げられます。以下はグリーンインフラ先進地であるシンガポールの事例です。

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注目すべきは、公園内に新しく設計された5100m2の浄化ビオトープ( Cleansing Biotope)である。

ビシャン・パーク内に流れるカラン川とビシャン・パーク内の池の2カ所から取水し、植物とバイオ・フィルターを用いて水質を浄化している。

棚田状にレベル差を変えて配置された浄化ビオトープには、カラン川と池からポンプアップされた水が上から順番に流され、バイオ・フィルターと多様な植物群の組み合わせにより、一日で約64万8000リットルの川の水と860万リットルの池からの水を浄化している。

ここで浄化された水は子どもの水の遊び場に活用されるほか、半永久的に水が浄化されながら循環し、そして残りの浄化された水はカラン川に流れるようにデザインされている。

川や公園の水が植物によって浄化された水が循環し、子どもたちの遊び場に使われるように設計されているのはまちにとっても優しく魅力的な仕組みであるなと思いました。

日本にもグリーンインフラの普及や具体化に向けて活動している団体があります。「グリーンインフラ研究会」では、国内外のグリーンインフラの先進事例や、これからのグリーンインフラの将来像についてまとめた本を出版しているそうです。興味のある方は、下記をご参照ください。

www.greeninfra.net

オリンピック×地域創生。地域の魅力を伝えるマーケットが、新橋・虎ノ門エリアにオープン

東京五輪開催にむけて、東都内で地上部道路の整備が進んでいます。その中で、面白い取り組みを見つけました。新橋と虎ノ門の間にある新虎通りに、道路上の土地を有効活用し、愛媛県や富山県などの都心から離れた地域の魅力を伝えるマーケットがオープンしたそうです。

www.nikkeibp.co.jp

国定会長は、「地元では1日2000歩ほどしか歩かないが、東京へ出張した日は1万歩以上に達する。実は、東京は全国でも珍しいほど、歩く(歩きたくなる、歩いて便利な)街。それをうまく生かしたい」と意気込みを語る。

アドバイザーの谷川氏は「主催の首長連合と話し合って、ステレオタイプの発信はやめようと決めた。例えば、おそろいのはっぴを着て、のぼりを立てて特産品などを売るブースが並んでいると、外国人観光客の目にはどれも同じように見えてしまうのではないか。地域ごと、季節ごとに、違った切り口でキュレーションして発信することで、地域の特色が明確になるはず。接した人たちが、現地に行ってみたくなるような深い紹介をしたい」とコンセプトを説明する。市町村からの提案を参考にしながら、企業が独自にリサーチも行い、地域の住民がかえって見落としがちな魅力まで発見し、食材を買い付けているという。

 オリンピックをきっかけに、こうした地方の魅力を再発見・発信する場所が増えるのは、素敵なことだなと感じます。今度、近くを訪れることがあったら、ぜひ立ち寄ってみようと思っています。

引っ越し前からコミュニティづくり。移住者がまちと繋がる方法

こちらは移住後にできた友人や知人の協力を得て、ゲストハウスをオープンさせた佐藤友理さんのインタビュー記事です。

cocolococo.jp

下記は移住した佐藤さんが、どのように知り合いをつくっていったのか記載されています。

引っ越し前に「高松での楽しみを見つけておこう」と、高松で開催されるアート系のイベントをチェックしました。その一つが、写真家のトークイベント。東京では100人規模の集客が当たり前の有名写真家のイベントにもかかわらず、高松での定員は10人。少人数で写真家を囲み、写真について語り合うという企画だったのです。それを知った佐藤さんは「こんな贅沢な機会があるなんて、高松ってすごいんだ!」と感動したそうです。
そのイベントに参加したことがきっかけで、移住者仲間をはじめ、高松での知り合いが増えていきました。
「一人知り合いができると、そこから交友関係が広がっていきました。また、高松はコンパクトなまちなので、知り合い同士がつながっていることが多いんです。」

コンパクトなまちであるからこそ、つながりやすさ、広がりやすさがあるのだなと感じました。
引っ越したばかりは、まずは1人との関係性づくりか始めてみると良いかもしれません。マチマチでは引っ越しをした方も気軽に住民の方とコミュニケーションとることができます。ぜひ、使ってみてくださいね!

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コミュニティデザイナーの役割は、“楽しさ”と“課題解決”をつなぐこと――studio-L・山崎亮さんのまちづくり

日本に、「コミュニティデザイン」という言葉を浸透させたパイオニア的存在、studio-L代表・山崎亮さん。まちづくりといえば、都市計画や建築などのハード面が重要視されていたなかで、「人々の関係性のリデザイン」というコミュティデザインこそ、時代に求められていることを提唱し、実践してきました。

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山崎さんは大学でランドスケープデザインを学び、卒業してからは設計事務所に就職。その後、大学の恩師の誘いで兵庫県にある「有馬富士公園」のパークマネジメントに参画します。ここでの経験を機に、山崎さんの興味は少しずつ“ハードからソフト”へ、“ものづくりから場づくり”へと移り変わっていきます。

2005年、山崎さんは所属していた設計事務所より独立。それから間もなく、コミュニティデザインを専門的に扱う事務所「studio-L」を立ち上げます。studio-Lはこれまでに「海士町総合振興計画」の策定協力や、鹿児島市の商業施設「マルヤガーデンズ」のコミュニティデザイン、「震災+designプロジェクト」などを手がけてきました。コミュニティデザインという形のないものでありながらも、その取り組みは高く評価されており、グッドデザイン賞をはじめ、数々の受賞歴を誇っています。

今回のインタビュー企画では、日本における「コミュニティデザイン」の道筋を切り開いてきた山崎さんに、「これからの社会におけるコミュニティデザインの重要性」について、じっくりとお話を伺いました。

コミュニティデザイナー、必要だけど“うさんくさい”?

――山崎さんは、日本でもいち早く「コミュニティデザイナー」と名乗ってお仕事をされていました。ここ数年でのコミュニティデザインのニーズの高まりは、肌で感じられていますか?

山崎:声をかけていただく機会は増えましたね。おそらく、これからは「コーディネーター」が忙しくなってくる、足りなくなる時代だと思っています。いま、社会にあふれている課題は、個人でどうにかできるものではなく、何人かが協力しなければ解決できないものばかりです。

そこで、人と人をつなぐ役割を果たせる職能が求められるようになってきています。僕らのような職業の人間は、これからもっと目に見える成果を出して、社会から信頼を得ていかなければならないと。

――信頼を、ですか?

山崎:これまでの日本では、長期間かけて技術を洗練させた「職人」が好まれ、信頼されてきました。その一方で、「コーディネーター」や「コンサルタント」といった職業は、どうしても“何をしているかわからない、うさんくさい存在”だと捉えられていて。コミュニティデザイナーも、このくくりの中に入っているのが現状です。

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山崎:ただ、時代の変化に応じてニーズが高まる存在は、みんな“うさんくさい”からスタートするもの。これから一個ずつ成果を出して「この人たちは地域の課題解決に必要なんだ」と伝えていければ、20年後にはコーディネーター的人材の存在価値を、多くの人が理解してくれる世の中になっていると思います。

コミュニティデザイナーは“よそ者”であるべき?

――今まで、山崎さんがコミュニティデザイナーとして地域に入っていく際にも、おそらく住民にとっては“うさんくさいよそ者”という認識を持たれることが多いかと思います。そういった警戒心をほどいて、地域の方々との関係性を築いていくために、大事にされていることはありますか?

山崎:明確にひとつ、意識していることがあります。それは、よそ者である自分たちが「これをやりたいです!」と言わないことです。「そんなん必要ない!」「アンタが勝手にやりなはれ!」と突き放されてしまいますから。

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山崎:いきなり現れたよそ者が「この地域をよくするために来ました!」なんて言いながら近寄ってきたら、それこそわかりやすく“うさんくさい”でしょ?(笑)

だから、最初は「アンタ、なんでこんな山奥まで来たんや!?」って聞かれたら「いや、特に理由はないんですけど! どんなですか、生活は?」というやり取りからスタートするんです。

――なるほど……正直に感想を言うと、ちょっと意外でした。コミュニティデザインって、もっと明確にプランがあって、それを元にこちらから働きかけていくイメージを持っていました。

山崎:もちろん、こちらも大元の依頼があって動いていたり、事前にリサーチしていたりはするので、何の計画もなしに入っていくわけではありません。ただ、自分の中にあるアイデアやプランは、絶対に最初から出さない。まずは、住んでいる人たちの話を聞くことから始めないと、地域の本当の姿、本当の課題は見えてきませんから。

f:id:tks-west:20170322105306j:plainstudio-Lが協力した千葉県睦沢町Line85 上市場魅力づくりプロジェクト」でのワークショップ

山崎:「どうですか、ここでの生活は?」「最近、夢中になっていることは何ですか?」「面白いですね、それ!」「ぜひ、連れていってください!」……こういうコミュニケーションを住民と重ねて、そのコミュニティの実態を知る。そこから少しずつ「困っていること、ありますか?」と、課題を探っていく。ちゃんと足を使って見えてきた課題をベースに、プロジェクトを再構築する。ここまで段階を踏んで初めて、住民に提案をします。

――提案する時に、気を付けていることはありますか?

山崎:こちらが主体にならない、旗を掲げないようにすることですね。「皆さんに話を聞いた結果、こんな取り組みが必要やと思ったんですけど、どうでしょう?」って聞いて、反応が悪かったら「違う? じゃあやめときましょ」って、すぐに引き下がるんです(笑)

こちらの提案に対して住民が「いいね!」と言ったら、「いいねって言うたね? 自分らでやるんですよ?」と返して。「いや、俺らがやるとしたら、もっと変えてほしいわ」「そしたら、どんなんがいいですか?」とボールを投げていく。

――そうやってプロジェクトの主体を、当事者である住民に移していくんですね。

山崎:僕らはむしろ、“よそ者”というスタンスを守らなければなりません。そこに住んでいるわけではない、いつかいなくなる存在ですから。 “よそ者”として、住民が地域の課題に目を向け、自発的かつ持続的に活動できるようなきっかけを提供していく。それが、コミュニティデザイナーの役割だと思っています。

地域の活動には“正しさ”ではなく、“楽しさ”を

山崎:それと、コミュニティデザインにおいて、大事なポイントがもうひとつ。それは、「やってる本人たちが楽しんでできること」です。地域の課題解決なんて、真面目に考えすぎたら固くなってしまいますから。楽しく取り組めるような仕組みや視点を見出して、投げかけるようにしています。

――山崎さんの著書『縮充する日本』の中で、印象的だったフレーズがあります。それは「地域の課題解決のプロセスを、キャンプでカレーを作るような楽しい活動にするのが、コミュニティデザイナーの役割」という部分で。 今のお話って、まさにここに該当するものだなと。

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山崎:そうなんですよ。キャンプでカレーを作るのって、冷静に考えると手間も時間もかかるし、かなり面倒くさい行為じゃないですか。でも、その過程自体をアクティビティとして捉えられていると、面倒もコンテンツになる。「お前、なんでこんな切り方してん!」とか、「すごいモサッとした味するんやけど!」といった試行錯誤、うまくいかないことも含めて、みんなで盛り上がれるんです。

――「課題解決が楽しめる」というのは、コミュニティにとって理想的な状態ですね。

山崎:地域の活動も、キャンプのカレー作りみたいに“楽しさ”を感じてほしいし、そうじゃないと続かないと思っています。課題解決に対するアプローチを考えると、どうしても「こうあるべき」という“正しさ”が先行してしまいがちですが、“正しさ”のためだけに動ける人はそんなに多くない。

逆もまた然りで、“楽しさ”があれば、人はどんなに難しい課題に対してでも、自発的に試行錯誤できるんです。課題解決のプロセス上に、“楽しさ”を見出して提示していくことが、コミュニティデザインのカギになるなと実感しています。

人は“理性より感性”で動く――まちづくりのしかけ方

山崎:今の「正しさと楽しさ」の話にも繋がるのですが……人間の脳って、基本的に2つのシステムで動いていて。

――2つのシステム、ですか?

山崎:はい。「感性」のシステム1と、「理性」のシステム2ですね。前者は直感的な“好き嫌い、気持ちよさ、楽しさ”などを判断します。対して後者は“価値があるかどうか、意義深さ、正しさ”などを思考するシステムです。このシステム1と2との大きな違いって、何だと思いますか?

――うーん……システム2の方が頭を使う、ということでしょうか。

山崎:そうそう。要は、システム2には予備知識が必要なんです。知識がないと「何が社会にとって必要か、何がコミュニティにとって価値になるか」は、判断できない。一方、システム1には知識がいりません。勉強していなくても「気持ちいい!」とか「うまい!」は感知できますよね。「好き!」や「楽しい!」には、少し知識が必要な部分もありますが、どちらかと言えば断然システム1寄りでしょう。

また、2つのシステムでは、判断が下るまでの速さが違います。システム1は感覚ですから、ものすごく速い。食べたらすぐに「うまい!」ってわかりますよね。システム2は、思考しないと判断ができないため、システム1に比べると圧倒的に遅いんです。

――とすると、システム1の方が、システム2よりも優先度が高い?

山崎:一概にそうとは言えませんが、社会全体で見ると、システム1の影響の方が大きいと思います。ほら、みんな「身体に悪いかも……」と思いつつタバコは吸うし、お酒もたくさん飲んだりするでしょ?(笑)

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――それは、システム2の「正しさ」による判断よりも、システム1の直感的な「カッコよさ」や「気持ちよさ」の判断結果が勝っている典型例ですね。とてもわかりやすい……!

山崎:だから、社会貢献的な活動であればあるほど、「どうシステム1に訴求していくか」を考える必要がある。楽しさを求めていくと、外野からは「浮かれてる」「遊びでやってるのか?」などと言われることもあります。でも、結局は直感的なよさが伴わないと、持続可能でスケールする活動に結びつきません。

「楽しい」というシステム1からプロジェクトに入ってもらって、どんなふうに「みんなのため、地域のため」というシステム2の思考をインストールさせていくか。いまのまちづくりのフィールドには、この「システム1からシステム2への移行」の導線をデザインしていく力が必要なんです。

住民を“市民”に変えるプロセスをデザインする

――「楽しい」から入れるプロジェクトの骨組みを作り、そこに住民を引き入れて主体性を育て、持続可能な活動にしていく……言葉で整理するとシンプルになりますが、実際は根気のいる働きかけになりそうですね。プロジェクトの主体を住民に移していくと、山崎さんが読めない方向に進んでいくことも多そうだなと。

山崎:全然読めないですね(笑)。でも、むしろそれでいいんですよ。僕らが思いもよらない活動や発見が生まれる方が、実は重要だと思っていて。

ある地域でコミュニティスペースを作ろうという話になった時に、僕らは「若い子たちも集まるように、白を基調にしたおしゃれなカフェっぽい場所にしよう」と提案したんですね。てっきりその方向でいくかと思っていたんですが、ある日studio-Lのスタッフが現地に行ったら、そのスペースの壁、全面に竹が張られていたんです。スペースを運営する地元のおっちゃんたちが、「竹がいい!」と自主的にリフォームしたようで。

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(実際に竹が張られたコミュニティスペース@千葉県睦沢町「上市場こぢゃ倶楽部」

――おしゃれカフェのはずなのに(笑)

山崎:「これじゃあ多世代が集まる場所にならない……」って、そのスタッフは本気で取り外すかどうか悩んでいました(笑)。でもね、竹張りにしてからそこに集まる人が増えて、新しいコミュニティができてきたんですよ。僕らは「これだよ、目指すべき形は!」と、大盛り上がりしましたね。住民の皆さんも、自分たちの施策に効果が出たことで、自信がついたみたいで。その後はこちらが何も言わなくても、「次は何をしようか?」と楽しそうに話し合って、どんどん行動に移しています。

――住民の皆さんにとっても、自分たちの力で住んでいる地域を元気にできたら、きっと楽しいでしょうね。

山崎:楽しいし、やりがいがあるんですよね。ほかにも、広島の方には狼煙(のろし)ばっかり上げてる人たちがいて。

――狼煙、ですか? それが地域活性とどのような関係が?

山崎:あまり関係ないんです(笑)。これは、広島県と愛媛県が共同で開催した観光まちづくりイベント「瀬戸内しまのわ2014」のお手伝いをした時の話で。

そのイベントで「地域の魅力を活かしたら、どんな企画ができるか」を、住民の皆さんと一緒に考えたんですよ。そしたら「よし、狼煙を上げよう」という結論になって。なんでも昔、瀬戸内海に朝鮮通信使が来ていた頃に、このあたりでは狼煙で連絡を取り合っていた……との縁があるのだとか。

f:id:tks-west:20170322104222p:plain(広島県広島市安芸区から始まった「のろしリレー」

 

山崎:僕らは「危ないから止めときなはれ!」って言ったんですけど、皆さんは「やる!」の一点張りでした(笑)。ただ、そうやって反発してくれたことが嬉しくてね。それって、紛れもない彼らの主体性じゃないですか。

――まさしく(笑)

山崎:もうね、「狼煙上げたい」っていうのは理性じゃない。上げたところで、何につながるかもわからない。それでも「やりたい!」って気持ちは、大切にしなきゃいけないんです。

それで、実際にやってみたら、思わぬ変化が起こるんですよ。狼煙を公園で上げ始めたら、そこに人が集まってきて。「火が燃え移らないように」と、住民が率先して公園のゴミ拾いや草刈りをするようになったんです。

――それこそ、先ほどのお話にも出てきた「システム1から、システム2への移行」ですね。

山崎:そうなんです。こんなふうに、主体的に地域のために活動できる人たちのことを、僕らは“市民”と表現しています。「住民を“市民”に変えていくこと」が、地域活性のポイントになる。これを受けて言うと、コミュニティデザインは「住民を“市民”に変えていくプロセスをデザインする行為」とも表現できますね。

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(「のろしリレー」は、現在も有志によって毎年開催されている

田舎こそ、ご近所SNSのニーズあり?

――地域に入ってコミュニティデザインをする上で、「住民同士のコミュニケーションをどう盛り上げていくか」という観点は不可欠だと感じています。そこで「マチマチ」のような地域特化のSNSは、どのように役に立ちそうでしょうか。

山崎:リアルでの交流が担保されているという前提で、そこに地域特化のSNSが加わると、コミュニティの成長はより加速していくと思います。今はFacebookで非公開グループを作って、そこに住民を招待して……という形でオンライン上のコミュニティを作ってますが、確かにちょっと面倒です。

住民の皆さんが安心して、日常的にコミュニケーションを取れるプラットフォームとして「マチマチ」が機能してくれるのなら、ぜひ活用したいなと。欲を言えば、物々交換が簡単にできるシステムや、さまざまな告知がジャンル別に一覧できる掲示板など、Facebookのグループにはない機能が追加されると、僕らとしては非常にありがたいですね。

――リアルの交流の場がしっかりと機能していれば、オンラインのコミュニティはあまり必要ない……という状態になったりもするのでしょうか?

山崎:いえ、そんなことはなくって。実は、都市部よりも農村部の方が、SNSのようなオンラインツールの必要性があると感じています。田舎って車社会だから、みんな歩かないんですよ。冗談のような話ですけど、50m先のお隣さんの家に行くのにも車乗る人いますから(笑)。それくらい「車に乗る」ことの心理的ハードルが低いんですよね。

だから田舎には、皆さんがよくイメージするような「すれ違いざまに挨拶して立ち話」みたいな光景って、意外と少ない。車移動では、偶発的なコミュニケーションは生まれないですから。加えて、飲み屋やゲームセンターのような、人のたまり場になる場所もほとんどない。

――ということは、潜在的にコミュニケーションする場を欲している?

山崎:そう、会話したくってしょうがないんですよ。田舎にうまく地域限定のSNSを導入することができたら、皆さん喜んで使い倒すと思います。そうやって地域コミュニティが育って、誰も孤立しない状態になってくれたらいいですよね。

地域包括ケアシステムで求められる、コミュニティデザイナーの力

――地域活性や町おこしの文脈でコミュニティデザインが必要とされるのは、わかりやすい事例かと思います。これからの社会の中で、コミュニティデザイナーが切実に求められるのは、どんなフィールドだと感じられていますか?

山崎:直近で必要とされるのは、医療・介護の現場ですね。すでに超高齢社会に突入しているこの国を支えるには、医療と介護の連携が不可欠。ここに最近、コミュニティデザイナーの需要が生まれ始めています。

――それはどうしてでしょうか?

山崎:大きく2つの理由があります。ひとつは、今の医療と介護がバラバラだからです。2000年代に入って介護が制度化されるまで、看護師やリハビリ師は医師の指示ありきで動いていました。つまり、介護にまつわる行為の責任の所在のほとんどが、お医者さんにあった。この関係性が結果的に「医療>介護」というヒエラルキーを生み、介護が医療の末端のように位置づけられてしまったんです。

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山崎:これからは、医療と介護は対等に議論をしながら連携を取っていく必要があります。けれども、医療側が介護にアプローチすると恐縮してしまったり、介護側から医療側にアプローチしても聞き入れられないことがあったりと、今までの関係性を取っ払うことに苦戦している。本当は対等に話をしたいのに、お互いにどうやって歩み寄っていけばわからなくて、困っている現場の人たちが多いんです。ここにコミュニティデザイナーが入って、話し合える土壌を育てることができたら、医介連携はよりクリエイティブになると思っています。

――コミュニティデザインの力で、2つのコミュニティが手を取り合うための橋渡しをするのですね。

山崎:もうひとつは、医介連携の先で、もっとたくさんの人たちとつながる必要が出てくるから。医療と介護が連携を取れたら、高齢者の生活は万事安泰……なんてことはなく、あくまでそれは第一歩。薬事や保険との兼ね合いも一緒に考えていく必要もあるし、住環境も整えていかなければいけない。福祉や教育の現場とうまく絡めたら、高齢者が元気で過ごせる活動を多方面に展開できそうですよね。

――高齢者のよりよい生活を、医介連携を中心とした地域のネットワークを構築することで支えていくと。

山崎:高齢者に限らずケアが必要な人がいたら、さまざまな角度から支えてあげられるような地域づくりを、私たちは目指していくべきで。これを厚生労働省は「地域包括ケアシステム」と呼んで、推奨しているわけです。

――なるほど。

山崎:実際に医療と介護の現場には、国から「地域包括ケアシステム進めてね」とのお達しが届いています。ただ、医介間のコミュニケーションに苦労している中で、多業種との連携なんて手が回らない。ましてや、いきなり「地域のご近所さんたちと協力していきましょう」と言われても、何から手を付けたらいいかわからない。

――「地域包括ケア」を実現させるためには、その基盤となる地域コミュニティづくりが必要になってくるわけですね。

山崎:そうなんです。在宅医療のニーズが増えていくことも考えると、医療・介護にとどまらない、地域での支え合いが重要になってきます。その仕組みづくりにおいて、コミュニティデザインはきっと役に立てるはずです。

これから見直される“地域教育”と、コミュニティデザインの接続

山崎:医療・介護と同様のレベル感で、これから確実にコミュニティデザイナーが求められるフィールドを挙げるとしたら、教育現場ですかね。

――それは、「教育現場が地域とつながる意識を持ち始めた」ということでしょうか。

山崎:その通りです。教育は本来「家庭教育・学校教育・地域教育」という3つの柱で成り立つもの。それが今の日本では、学校教育に偏重してしまっている。家庭教育は塾に代替され、地域教育はほとんど機能していません。

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山崎:けれども、社会に出ていく力を養おうと思ったら、地域教育ほど大事なものはないんですよ。そこが今、見直され始めていますね。文部科学省でも「チームとしての学校」という方針を打ち出して、学校と地域社会が連携を取っていくことを推奨しています。

――医療現場における「地域包括ケア」と同様の動きが、教育現場でも見られていると。

山崎:どちらも「助け合い、学び合える地域社会の再構築」を目指している動きです。たとえば、地域の八百屋やパン屋さん、銀行員、お寺の住職が、子どもたちに何か教えるとしたら……ちょっと考えただけでも、楽しくなりそうですよね。ここに、定年退職した方々が教える側に加われば、さらに学びが広がっていきます。それはきっと、教科書を読んでいるだけじゃ身につかない、生きた学びです。

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(studio-Lがサポートした「立川市子ども未来センター指定管理 市民活動支援業務」でのプログラムの様子

――ただ、学校が地域と密に連携を取るとなると、新しく関係性を作っていく必要がありますね。

山崎:そう、お医者さんと同様に、学校の先生方も多忙な毎日を過ごしています。そこで「地域との連携を~」と急に言われて、現場は「一体どうすれば……」と戸惑っているんです。自治体によっては「学校地域連携コーディネーター」というポジションを作って、学校と地域をつなげる役割を果たす人材を育て始めていたりもします。ここも今後、コミュニティデザイナーが重宝される場所だなと感じています。

デザインの力は、コミュニティも、社会も変えられる

――これから、コミュニティデザインの需要の高まりに合わせて、コミュニティデザイナーを育てて、増やしていく必要性も出てくると思っています。「コミュニティデザイナーとしての適性」を挙げるとしたら、どんな要素がありますか?

山崎:ひとつだけ先天的なもので言うと、できればあった方がいいなと感じているのが「いるだけでその場が少し明るくなる資質」です。「アイツがいるとなんか盛り上がる、安心する」というタイプの人は、コミュニティデザイナーに向いていますね。

“読み書きソロバン”みたいな基本の話をすると、スケジュール管理を上手くやる、ささっとスケッチが描ける、ダイアグラムを作成する……などは、studio-Lのスタッフには求めています。でも、それらは後からいくらでも身に付けられる技術です。「必要な能力は全部付けたけど、どうしようもなく人見知り」とかだと、さすがに本人もしんどいと思います(笑)

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――コミュニティに入っていくことを楽しめて、なおかつ自然と周りの空気を温められる人が、向いていると。

山崎:それが理想ですね。持って生まれた資質が大きく作用する部分ですが、努力でカバーできる可能性もあるかもしれません。うちの事務所にも、鏡を見ながら笑顔の練習をしていたスタッフがいますし。いや、最近になって初めて知ったんですけどね(笑)

――山崎さんのお話を伺って、これからの世の中における「コミュニティデザイナー」の必要性を、あらためて実感しました。

山崎:世界に目を向けると、もっと広い範囲の「ソーシャルなデザイン」にアプローチしている実践者がたくさんいます。それに比べると、日本ではまだ「デザイン」という概念が、限定的なものとして捉えられがちです。

いまデザインを学んでいる方々には、「ものの形だけでなく、社会課題を解決するプロセスだってデザインできる」ということを、覚えておいてほしいなと思います。皆さんが持っている「デザインする力」は、社会の至るところで求められていますから。

いま地域で活動している方々は、ぜひ「楽しくやる」ということを、大切にしてください。 地域が抱えている問題は、どれも一朝一夕で解決できることではなく、継続的な働きかけが必要。そして、継続させるには、楽しさが不可欠です。

“楽しくて続く活動”を作っていく中で「それをどう課題解決につなげていくか」と考えていくと、今までには見えなかった突破口が見えてくるはずです。

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マチマチは渋谷区などの自治体とも連携を開始し、地域コミュニティ活性化、コミュニティデザインを行っていくためのWEBサービスとして積極的に活用されています。ご自身のお住いの地域で仲間を集めてコミュニティデザインを行っていく際にぜひマチマチをご活用ください。

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