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ご近所未来ラボ by ご近所SNSマチマチ

ご近所SNS「マチマチ」が運営するブログです。「マチマチ」のお知らせから、参考になるコミュニティデザインの事例まで色々発信していきます!

公園は地域みんなでつくる時代へ ――「パークマネジメント」の国内事例

コミュニティデザイン パークマネジメント 世田谷区 東京都 池袋 プレーパーク 冒険遊び場

『ご近所未来ラボ』では、読者の皆さんの活動に役立つ、これからのコミュニティや地域を作っていく取り組みや考え方をご紹介しています。

ご近所SNS マチマチ | スマホでご近所掲示板

これまで、コミュニティデザインの領域における注目キーワード「パークマネジメント」について、数回にわたってお伝えしてきました。

「パークマネジメント」の概要をご紹介した記事はこちら

lab.machimachi.com

海外における「パークマネジメント」の事例をお伝えした記事はこちら

lab.machimachi.com

今回は、「パークマネジメント」の概念を取り入れた、日本での事例を見ていきましょう!

地域住民が経営する公園が池袋に誕生

f:id:MegumiHarada:20170108213702j:plain写真出典:http://www.haconiwa-mag.com/magazine/2016/05/minamiikebukuropark/

南池袋公園は、JR池袋駅から徒歩10分圏内にある、オフィスビルに囲まれた小さな都市公園。この公園は「サードプレイス」の概念を取り入れ、周囲で働くオフィスワーカーからファミリーまで、様々な人が集まる場を目指しています。

公式ホームページ

南池袋公園Facebookページ

園内には、大きな芝生広場を中心に、生産者と消費者の「食を介するつながりの場」を目指したカフェレストラン「Racines FARM to PARK」や、卓球台や遊具が設置された多目的広場などが設けられています。

公園では、園内の芝生や樹木について知ることで自然と親しめるワークショップや、防災について学ぶ講座、旬の食材を味わうイベントなどが行われています。気軽に参加できる雰囲気があり、どのイベントも大賑わい!

実は、日本で最も建物が密集する「高密都市」である池袋。特にオフィスビルや商業施設が集まるJR池袋駅周辺において、この公園は、広々とした空間でのんびりと過ごすことができる貴重な場所です。

だからこそ、より多くの人々に親しまれる公園となるために、2011年から公園を一時閉鎖し整備が進められました。そして、2016年春、約5年間にわたる工事を経て、ついにリニューアルオープンしたのです!

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写真出典:南池袋公園公式Facebookページ

公園のリニューアルにあたって、商店会や町会、隣接する地権者、出店者である「Racines FARM to PARK」の経営者、豊島区などによって「南池袋公園をよくする会」が結成されました。

現在はこちらの会が、公園の具体的な利用方法やルールづくりを担っています。会の運営資金には、レストランの売り上げの0.5%が地域還元費として寄付されており、日本では珍しい地元の人々を巻き込んだ経営システムとして、全国から注目されています!

 参考記事:豊島区における説明資料

style.nikkei.com

ディズニーランドの運営方法を取り入れた公園!?

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写真出典:ぐるっと神戸

次に、地方における大規模な公園での実践例をご紹介します。

兵庫県立有馬富士公園(以下「有馬富士公園」)は、日本の市民参加型パークマネジメントの先駆け的存在。現在整備している場所も含めると、約416haという広大な公園です。

棚田や、生き物の観察ができる生態観察園、日本の伝統的な住まいや暮らしを伝承するかやぶき民家など、自然や日本の伝統に触れることが出来る環境が整備されています。特に、子どもたちには地域の民話をベースにした遊具施設「あそびの王国」が大人気だそう!

公式ホームページ

www.hyogo-park.or.jp

有馬富士公園は2001年に開設。周辺のニュータウン開発に伴い、急増したレクリエーション需要に答えるべく計画されました。

計画・建設が進んだ1990年代は、ちょうど住民参加型の施設運営が注目され始めたころ。兵庫県内初となる「市民参加型パークマネジメント」の実践を掲げた公園として、建設が進められました。

工事が始まる前から、地域住民を交え公園活用に関する研究会を開催するなど、住民参加の活動を積極的に展開。現在は、NPOなどの市民活動団体が公園運営に参加し、年間を通じて多数のプログラムを行っています。

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写真出典:緑の環境クラブ

住民たちが提供するプログラムは「夢プログラム」と呼ばれます。開催される夢プログラムは、なんと年間600以上! 里山環境を学ぶ教室や、お米作り体験などの自然環境にまつわる講座の他、託児つきプログラムや、子どもたちがプレイリーダーとして他の子どもたちをサポートするクラブ活動など、様々なプログラムが提供されています。

ユニークなのは、プログラムの運営方法。NPOなどの市民が「キャスト」となり、一般来園者「ゲスト」に対してプログラムを提供する仕組みづくりを行っています。このシステムはなんと、あのディズニーランドを参考にして作られたのだそうです!

参考記事

studio-L | project | 有馬富士公園パークマネジメント支援

自由な遊び場は自分たちの手でつくる

最後に、1つの公園にとどまらず、複数の公園で多面的に展開するパークマネジメントの例をご紹介します。

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写真出典:羽根木プレーパーク|世田谷区エリアガイド|住みたい街がきっとみつかるエリアガイド【itot】

世田谷区のプレーパークは、豊かな自然環境の中、木登りやたき火、泥遊びなどに挑戦できる遊び場です。

公式ホームページ

NPO法人プレーパークせたがや

プレーパークのモットーは、「自分の責任で自由に遊ぶ」こと。

近年、事故の責任追及や住民からの苦情によって、多くの公園や遊び場で、子どもたちの遊びが制限されてしまっています。しかし、プレーパークは、あくまでも子どもたちの自由な遊びを尊重することを提唱。世田谷区と地域住民が協働で運営し、一緒に遊具やルール作りなどを行うことで、子どもたちが主体的に遊びをつくる場を創出しています。現在、世田谷区内には、公園内の敷地を利用した4か所のプレーパークがあります。

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プレーパークの理念を掲げた看板。各プレーパークに設けられています。
写真出典:「自分の責任で自由に遊ぶ」プレーパーク | 世田谷区

プレーパークの原型は「廃材やがれきのほうが子どもたちに自由な遊びを提供できる」という考えのもと、1940年代にデンマークで誕生した「廃材遊び場」です。この廃材遊び場に触発されて、イギリスでは第二次世界大戦の爆撃跡地に「冒険遊び場」が作られます。イギリスの冒険遊び場は、諸外国でも注目を浴びるようになり、1950~70年代にかけてヨーロッパを中心に、たくさんの冒険遊び場が設立されました。

この冒険遊び場が日本に伝わったのは、1970年代のこと。当時の子どもの遊ぶ環境に窮屈さを感じていたとある夫婦が、冒険遊び場のあり方に感銘を受け、日本における第一号の冒険遊び場として「羽根木プレーパーク」を開設しました。

すると、その概念に賛同する住民や親たちが集まり、世田谷区を中心に活動が拡大。区内には、次々と新しいプレーパークが作られていきました。現在、プレーパークの概念は全国に伝わり、各地でそれぞれの運営組織や自治体が運営しています。

参考記事

bouken-asobiba.org

世田谷のプレーパークは、区から委託を受けた「NPO法人プレーパークせたがや」が運営を行っています。
プレーパークせたがやでは、開園時のプレーパークの管理のほか、地域の中高生を対象にした夕食会の開催や、中高生が企画するイベント運営のサポートなども実施。また、子育て中の両親に対する育児講座や、託児付きのイベントなど、子どもの親に対する活動も展開しています。
各プレーパークには、子どもの遊びを支援する研修を受けたプレーワーカーと呼ばれるスタッフを常駐させ、子どもたちの遊びを支援しています。

身近な公園について知る、身近な人たちとつながるために

人々の生活を豊かなものにする公園。

その公園をより魅力的なものにしていくため、「パークマネジメント」を取り入れた様々な取り組みが、地域の人々の手によって、全国各地、そして世界中で行われています。

「パークマネジメント」を実践する上では、住民同士のコミュニケーションがひとつのキーになります。ご近所SNS「マチマチ」はコミュニケーションツールとしてきっと役に立つはず。

ご近所SNS「マチマチ」はこちら

machimachi.com

「パークマネジメントを近くの公園で実践してみたい!」という方も、「自分の近くの公園はどんなことをやっているんだろう?」と興味を持った方も、「マチマチ」をぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか? これまで知らなかった公園の新たな一面を知ることができるかもしれません。

「マチマチ」の使い方はこちら

lab.machimachi.com

 

 

 

思わず行きたくなる!地域コミュニティが育む公園の在り方 ――「パークマネジメント」の海外事例

コミュニティデザイン パークマネジメント ブライアントパーク KaBOOM! 地域交流

『ご近所未来ラボ』では、読者の皆さんの活動に役立つ、これからのコミュニティや地域を作っていく取り組みや考え方をご紹介していきます。

ご近所SNS マチマチ | スマホでご近所掲示板

前回のリサーチ記事では、これからの公園のあり方を考える上でのキーワード「パークマネジメント」の発想について取り上げました。

lab.machimachi.com

今回は、この「パークマネジメント」の発想を用いて運営されている海外の公園をご紹介します!

 

元線路がニューヨークを代表する公園に

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写真出典:Take a Walk on the High Line with Iwan Baan | ArchDaily (photo by Iwan Baan)

The High Line(以下ハイライン)は、ニューヨーク市にある全長2.3kmの線形の公園です。

この公園、実はもともと鉄道の高架部分なんです!廃線となったニューヨーク・セントラル鉄道の支線を利用して作られました。今は年間500万人近くの入場者が訪れ、ニューヨークを代表する観光名所の1つになっています。

www.thehighline.org

 

この公園は、2人の青年の「ハイラインを残したい」という思いから生まれました。

沿線の住民だったジョシュア・デービッドさんとロバート・ハモンドさんは、Friends of the High Line(以下フレンズオブハイライン)という団体を結成。取り壊される予定だった線路を残すため、ハイラインの写真集の出版や、地域住民からセレブリティまで巻き込んだ大規模なファンドレイジングなどを行って、保存のための資金を調達します。

その結果、ハイラインは元の面影を残しつつ、オシャレで素敵な公園として生まれ変わったのです!

ハイラインでは、ガイドツアーやアートイベントが定期的に開催されています。また、地域の若者が公園をランウェイに見立ててファッションショーを行ったり、子ども向けのイベントを開催したりするなど、周辺地域の人々がプログラムを提供する場にもなっています。

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ハイラインで行われたファッションショーの告知写真。若者がチャレンジする場を提供しました。

写真出典:The HighLine Fashion Show ‹ Valerie Star

 

現在、ハイラインはニューヨーク市が所有し、フレンズオブハイラインが管理を行っています。財源の約9割は、企業やメンバーシップ会員からの寄付。ニューヨーク市内だけでなく、全米中のファンからの支援が、ハイラインの運営を支えています。

【参考記事】

「廃線を活用した都市公園開発 ~ニューヨーク・ハイライン公園の成功に学ぶ~ 」Clair Report No.394 (2014年3月31日) (財)自治体国際化協会 ニューヨーク事務所

 
緑豊かな都会のオアシスは、サラリーマンや周辺住民が集うコミュニティ拠点

Bryant Park(以下ブライアント・パーク)は、ニューヨークのミッドタウンのオフィスビルに囲まれた公園です。中央には大きな芝生が広がっており、周辺の企業に勤める人や観光客の憩いの場となっています。

ブライアント・パーク 公式ホームページ

公園内では、ヨガやジャグリングや太極拳、語学教室など、様々な講座が週1ペースで開催されています。なんと、ほとんどの講座が無料で提供されているそう!

園内にある様々な遊具や、卓球のラケットなどの遊ぶための道具も、無料で使うことができます。

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ブライアント・パークで開催されている絵本の読み聞かせ教室の様子。

写真出典:ブライアント・パーク公式ホームページ ブログ

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ブライアント・パークで行われている語学教室の様子。

写真出典:Bryant Park Blog: Learn a New Language with Inlingua

ブライアント・パークは、もともと貯水池だった広場を利用し、1843年に開園しました。しかし、アメリカはこの頃から、度重なる経済恐慌、及び南北戦争の影響で、国内の情勢が不安定になっていきます。そんな世相を反映するかのように、ブライアント・パークも次第に荒れていき、麻薬密売人が出入りするような暗い空間になってしまったのです。

1980年代に入ると、ブライアント・パークの再生を目指して、都市計画家やランドスケープデザイナーによるリニューアルが行われます。この施策に伴って、Bryant Park Restoration Corporation(略称 BPRC)という組織が設立されました。

BPRCは、ブライアント・パークの公園運営費用を管理するため、ニューヨーク市や周辺企業が共同で設立した組織です、公園を眺めることが出来るビルやオフィスのオーナーからお金を集めて、公園の管理の費用に充てています。

このような手法は、Business Improvement District(BID)と呼ばれます。ニューヨークでは、様々な場所の管理にBIDの手法が用いられており、地域の資産は地域の人々自身で運営するという考えが根付いています。

【参考記事】

www.akionakagawa.com

 
公園づくりは地域のコミュニティをも生み出す

最後に、公園ではありませんが、地域に公園を作ることを通じて、コミュニティ構築を目指している活動をご紹介します。

KaBOOM!(以下カブーム)は、地域住民や地域の非営利団体や企業を巻き込みながら、各地で公園をつくるプロジェクトを行う非営利団体です。アメリカの貧困地域において、子どもたちが安全に遊べる場所をつくることで、健やかに成長することが出来るような地域コミュニティの構築を目指しています。カブームは15年以上活動しており、これまで建設された公園は、なんと2100以上にのぼります。

kaboom.org 

カブームのプログラムの特徴は、公園の建設にかかる期間。なんと、たった1日で公園を作ってしまいます!

しかし、建設に至るまでは、入念な準備期間が設けられています。半年以上、話し合いやヒアリングを重ね、地域コミュニティとの関係性を築きながら一緒に公園の建設計画を作っていきます。その集大成として、建設日にはたくさんの人々が集まり、皆で一気に公園を建設します。その日は、地域の人々だけでなく、カブームに資金を提供している企業の方なども集まり、まるでお祭りのようです。

www.youtube.com

カブームの建設日の様子をムービーでご覧いただけます!

カブームでは、公園建設を建設する際、負担費用の10%を必ず地域住民による募金活動によってまかなうと決められています。これは、地域の人々からお金を集めることで、新しく出来る公園が自分たちのものだと認識し、愛着を持ってもらいたいという思いから。カブームは、地域の人々を主役にした、公園づくりのサポーターなのです。

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写真出典: Photo Galleries | KaBOOM!

パークマネジメントと言葉だけ聞くと固そうな印象を受けがちですが、こうして実際の活動を見てみると、どれも見ているだけでワクワクしますね^^

次回は、日本の事例についてご紹介します。お楽しみに!

ご近所SNSマチマチのサービスについて

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「マチマチ」からのお知らせ

現在、マチマチを運営している「Proper, Inc.」では、エンジニア・ディレクター・デザイナーなど、さまざまな職種で人材を募集しています。

ご興味のある方、下記の詳細をご確認ください。まずは気兼ねなく話を聞きにきてもらえたら幸いです!

www.wantedly.com

住民が自分たちでまちを変える――全国から注目を集める、白馬村の新しい“まちづくり”の取り組みとは?

コミュニティデザイン 白馬村 白馬ギャロップ まちづくり会社 studio-L

地域密着型SNSマチマチが運営する「ご近所未来ラボ」では、さまざまな地域のまちづくり、コミュニティデザインに関する事例をリサーチ・発信しています。

今回は、長野県白馬村における取り組みについてご紹介します。白馬村では近年になって“まちづくり会社”が立ち上がり、コミュニティデザインの企業が行政と連携を取り始めました。

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2016年11月より、白馬村でもマチマチが使われるようになり、地元のまちづくり会社と連携を取りながら、村内のコミュニケーションを盛り上げています。こうした動きを始めとして、白馬村は地域社会の再構築に向けて活発な動きを見せており、全国のまちづくりに携わる方々から注目を集めています。

白馬村では、どのような問題意識から、具体的にどんな地域活動が行われているのでしょうか。関係者へのヒアリングを実施しながらまとめてみました。

白馬村の成功と、これからの課題

長野県白馬村は、北アルプス山脈の豊かな自然に囲まれた、人口約9000人弱ほどの村です。良質な雪質を誇るスキー場を複数有しており、高度経済成長期のスキーブームを機に、ウインタースポーツを主軸とした観光産業で大きく栄えました。

vill.hakuba.nagano.jp

1998年の長野五輪開催以降、白馬村はインバウンド向けのプロモーション活動を注力し始めます。その成果もあって、毎年冬になると東南アジアやオーストラリアの方々を中心に、世界中からスキー・スノーボード愛好家が集まって賑わいます。

“2015年に北安曇郡白馬村に宿泊した外国人観光客は前年比29・1%増の延べ10万310人だったことが8日、村のまとめで分かった。同じ条件で調査をした04年以降、10万人を超えたのは初。”

www.shinmai.co.jp

一方で、白馬村にとって「冬以外の期間、どう集客をしていくか」は、大きな課題として意識されています。スキー場やそれに付随する宿泊施設などは、シーズンが終わると閉めるところも多く、通年働ける場所が少ないため、労働者が定住しにくいのも現状です。また、村内でもスキー場ごとや、産業ごとにコミュニティが分かれていて、地域内の交流があまり活発ではありません。

このような状況を打破して、村をもっと盛り上げていこうとする取り組みが、現在の白馬村では精力的に展開されています。

白馬を一年中楽しめる、働ける村に――まちづくり会社の尽力

「白馬ギャロップ」は、2016年8月に、白馬村の活性化を目的を目的として設立されたまちづくり会社です。代表取締役社長を務める田中麻乃さんは、白馬ギャロップが生まれた経緯を、次のように説明します。

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(白馬ギャロップ代表 田中麻乃さん)

「白馬ギャロップは、2015年に地元の有志が立ち上げた百馬力というプロジェクトがきっかけになっています。百馬力は『白馬を変えるため、一人ひとりの力を合わせる』というコンセプトのもと、地域活性化のための施策を考えるための場を、定期的に開いています。地元の金融機関などが参加するALL信州観光活性化ファンドが、この百馬力の活動も含め、まちおこし活動が盛んになってきた白馬村に注目し出資をしてくれるという話になり、その受け皿として白馬ギャロップが設立されました」

白馬ギャロップ株式会社|Facebookページ

白馬ギャロップは自社で宿泊施設と飲食店を経営しながら、コンサルティングや開業支援を行なっています。そこで得た利益は、白馬村の活性化のための資金に当てられます。

「大きな目的意識として持っているのは、“通年で集客ができる村にしていくこと”、それと併せて“通年で雇用を生んでいくこと”です。そのためには滞在環境や交通の整備、アクティビティや飲食の充実など、村として総合的なブランド力を高めていく必要があります」

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(2016年12月にオープンした、白馬ギャロップ直営の飲食店「LUCE」)

「世界各国のウインタースポーツで賑わう観光地は、豊かな自然を観光資源として生かして、通年で人が集まるリゾートとして成功している地域が多々あるんです。そうした事例を参考にしつつ、まずは夏に人が集まるような施策を立案して、積極的に試していきたいと思っています」

白馬にもマウンテンバイクやトレッキング、気球など、夏に楽しめるアクティビティはあります。しかし、現状では認知が足りていなかったり、コンテンツが少なかったりするため、夏の十分な集客までは繋がっていません。

一方で、隣町の大町市では黒部ダムの訪問者で夏は賑わうものの、冬に人が集まらないという、白馬とは逆の現象が起きています。田中さんは、こうした問題を解決するためにも、近接している地域間の情報交換が重要だと感じたそうです。

「大町市とは将来的に連携しつつ、お互いの労働力をシェアできたらいいなと考えています。どちらの地域も、繁忙期には必ずと言っていいほど人手が足らなくなるので。冬は大町から白馬に、夏は白馬から大町に人材を派遣できるようなシステムを作れば、通年で働ける環境に近づけられそうだと思っています」

また、雇用のニーズを考えると「同じ地域内でも、住人同士がもっと気軽にコミュニケーションが取れれば」と、田中さんは続けます。

「観光客に左右される宿泊業や飲食業だと、突発かつ短期的に『人手がほしい』という状況がよく出てきます。そうした時に、交通費を出して遠くから人材を呼ぶことは現実的ではありません。できれば、近所で募集をかけてすぐにでも来てもらいたい……こういった場合に、近隣住民とやり取りができるプラットフォームがあると便利だなと思っていて。

そしたら、白馬村で総合計画策定に携わったstudio-Lの方に『マチマチっていうご近所SNSがあるから、導入してみたらどうですか?』と勧められたんです。私も少し触ってみて、相性がよさそうだと感じたので、住民のための情報共有ツールとして採用しようと決断しました」

住民の主体性を育む――コミュニティデザイン会社のアプローチ

直近の白馬村のまちづくりにおいて、白馬ギャロップとともに大きく貢献しているのが、コミュニティデザインを専業としている「studio-L」。全国津々浦々の地域に入って、自治体の計画策定・パークマネジメント・地域ブランディング・市街地活性化など、地域コミュニティにまつわる種々の事業を手がけている会社です。

studio-L | スタジオ・エル

studio-Lは2015年より白馬村の行政とともに、総合計画(自治体のすべての取り組みの基本となる計画)を住民と一緒に検討していく場づくりをしています。白馬村の担当をされているstudio-Lの小山弘二さんは、「総合計画をテーマに話し合う場をきっかけに、村民同士がつながり、お互いが学びあって、白馬でより良く暮らしていくための活動をする人が増えていければ」と語ります。

「自治体の総合計画は、従来であれば役場の人たちが立案して、審議会が検討・修正し、議会承認することで形作られていきます。今回の計画策定では、そのプロセスの一部に住民参加型(白馬村民や都心部にいる白馬ファン)を加えました。その背景にあるのは、『住民の方々が“10年後のあるべき村の姿を主体的に考え、何か自分たちができることを始める”きっかけを作ること』が目的としてありました。

この意見交換の場で出された『こんな取り組みが村に必要だ』『それなら自分たちで始められるのでは?』といった、自分たちにとってより身近な暮らしに関する住民発のプロジェクトが、今後いくつも生まれてくれるのが理想ですね」

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(住民参加型で行なった、計画策定のための会議での集合写真)

産業寄りで能動的なアプローチを行う白馬ギャロップとは対照的に、studio-Lは生活の中心にいる住民の主体性を引き出すため、彼らと同じ目線になり、一緒に考えて、目的地まで伴走するような立ち位置をとっています。つまり、住民同士が話し合い、そこで自分たちなりの結論にたどり着く出すプロセスを、重んじているのです。

「白馬村は、エリアによって住民・暮らし方・文化が異なります。同じ宿泊業でも、個人でペンションを経営している層と、中規模のホテルを経営している層では、文化が少し異なってきます。最近では移住してくる外国人も増加しており、コミュニティとして過渡期にあると言えるでしょう」

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(studio-L 小山弘二さん)

「一人ひとり違う人たちが、どうすれば一緒に幸せな暮らしを送れるか――白馬村の新しい総合計画のキャッチフレーズに掲げた『白馬の豊かさとは何か―多様であることから交流し、学びあい成長する村―』、住民が自分自身の「白馬の豊かさ」に向き合い、住民同士でより良く暮らしていくための方法を考え続けていくことが重要だと感じています。そのためには、普段から住民同士で密にコミュニケーションを取れている関係づくりが望ましいですね」

ご近所SNS「マチマチ」が白馬村にもたらせるもの

白馬村のまちづくりの一端を担っているお二人は、ご近所SNS「マチマチ」にどのような期待を寄せているのでしょうか。白馬ギャロップ代表の田中さんは「求人とイベントの情報共有で大いに役に立つのでは」と見すえます。

「先ほども話題に出しましたが、マチマチは突発的な求人情報のやり取りとの相性はよさそうですよね。現状でも、求人情報の投稿は少しずつ増えているようです。利用者が直接的に便利だなと感じられるポイントだと思うので、ここをフックにユーザーが増えていってくれたらいいなと思っています」

さらに、田中さんはこう続けます。

「あとは、地元で小さく行われているイベント情報が、もっと投稿されるようになったら面白そうだなと。白馬村はお祭りや催しがとても多い地域なのですが、エリアごとに情報がとどまっていて、近隣住民が知らないままに終わってしまうものも少なくありません。そうした楽しい情報が共有されれば、SNS上も盛り上がるかなと。その中から観光的にヒキのあるものをキュレーションして、外部に発信したりすると、外部に向けた地域PRにも貢献できますね」

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(雄大な白馬三山を映す、白馬村の八方池)

studio-Lの小山さんは「マチマチが白馬の現住民にとってだけではなく、移住者にとっても頼れるインフラになると素敵ですね」と言い、見解を語ってくれました。

「マチマチがどこよりもいち早く、白馬村の今が反映される場になると、地域の情報インフラとして定着していくはず。その過程で、『移住者がまず知っておくべき、最近の白馬のこと』のような移住者向けの生きた情報がどこかにまとまっていたりすると、とても喜ばれそうだなと思いました。

今後も白馬では、海外からの人々を中心に、移住者が増え続けることが予想されます。外から新しいノウハウや知恵を持ち込んでくれる方々が、うまく地域に馴染める流れを作れれば、そのコミュニティはどんどん盛り上がっていくでしょう」

あなたの街でも、マチマチを使ってみませんか?

今回ご紹介した白馬村をはじめ、ご近所SNS「マチマチ」は全国のさまざまな地域で使っていただいています。地域の飲食店やイベント、防災・防犯上のニュースなど、その街での暮らしを少し豊かにしてくれる情報共有の場になるはず。あなたの街でも、ぜひ試してみませんか?

machimachi.com

 

サステナブルなコミュニティ運営のために必要なのは「仲間」と「テーマ」――市川裕康さん

コミュニティデザイン Meetup コミュニティマネージャー 地域イベント 市川裕康

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ご近所SNSマチマチが運営する『ご近所未来ラボ』では、「地域活性や街づくりに携わる方々の力になりたい」という思いから、“コミュニティデザイン”についてのリサーチやインタビューを行なっています。

今回のインタビュー企画では、株式会社ソーシャルカンパニー代表取締役・市川裕康さんにお話を伺いました。
市川さんは先日まで、コミュニティプラットフォームの「Meetup」で、コミュニティマネージャーを務められていました。また、個人として「コミュニティマネージャー感謝の日」や「コミュニティマネージャーズ・コミュニティ(CMC)」なども主宰しています。そんな市川さんに、コミュニティに興味を持ったきっかけや、コミュニティ運営方法のコツなど、 コミュニティにまつわるエピソードをたっぷりと聞かせて頂きました。

震災をきっかけに実感した、身近に頼れるコミュニティの大切さ

市川さんはNGO団体や出版社、人材関連企業などでの勤務を経て、2010年3月に独立。株式会社ソーシャルカンパニーを立ち上げ、ソーシャルメディアのコンサルティング業務を始めました。同年7月からは、講談社現代ビジネスで「ソーシャルビジネス最前線」「デジタル・キュレーション」の連載執筆を担当。その枠の中で、地域の課題解決などに大きく貢献している、海外の新しいビジネスモデルを紹介されていました。

そして、市川さんが“コミュニティ”と向き合う上で大きな転機となったのは、独立からちょうど1年後に発生した、東日本大震災です。当時を振り返って、市川さんはこう語ります。

「あの当時、現地では情報が遮断されてしまったり、逆に東京では情報が錯綜していたりして、状況の把握が難しかったですよね。そんな時、身近に頼れる人たちがいないと、とても心細い。困っている人たちのために何かしたくても、1人だと動きにくい――そんな実感から、『非常時に頼れるコミュニティを、普段から形成しておくことが大切だ』と、あらためて考えるようになったんです」

コミュニティが生まれるプラットフォームは、世界中で求められている

そこで市川さんが注目し始めたのが、「Meetup」でした。2002年にニューヨークで生まれたMeetupは、「オンライン上で共通の趣味や興味を持った仲間を見つけて、オフラインの場で一緒に活動すること」を促進・支援するプラットフォームです。

現在、Meetupは約180カ国・2900万人以上のユーザーを抱え、26万を超える趣味・興味・職能のグループを有しています。Meetupを介して開かれるオフ会は、毎月60万以上。グローバルなコミュニティサービスとして、世界中で活用されています。

Meetupの共同創業者・スコット・ハイファマンさんは、『このサービスは、9.11が生んだ』と語っています。2001年に同時多発テロが起きた後から、彼の身の回りでは近所の人たちとよく話したり、自然と助け合う機会が増えたそうです。

そこでスコットさんは『人々が自然と集まってコミュニティを作り、その中で助け合ったりするのを、今まで見たことがなかった』と気付きます。彼は9.11を契機にコミュニティの重要性・必要性を悟り、その思いが“気軽にコミュニティを作れる”Meetupの創業につながっていきます。

市川さんは、Meetup創業のきっかけが「自分が東日本大震災を通して抱いた課題意識そのものだ」と、強く共感したと言います。

「オープンで誰でも参加できるプラットフォームは大事だし、社会のインフラとしてMeetupが根付いたら、今よりもっと豊かな社会になるだろうと感じました。ただ、震災後の当時はまだ、Meetupは日本版を出していませんでした。実は以前ニューヨークに住んでいたことがあり、その頃に創業直後のMeetupと出合っていて。事業のコンセプトにとても共感して、早いうちからサービスに登録していたんですよ。

創業者とも過去に会ったことがあり、2009年当時にニューヨークオフィスを訪ねた際には『Meetup日本版を出してほしい』と伝えていたこともありました」

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「震災後はMeetupのことを記事で書いたり、自分でも運営するようになり、日本での必要性を強く感じるようになりました。その後、想いが届き、いろいろなご縁もあって念願叶い、2015年春にMeetupから、具体的な日本語化の相談を持ちかけられたんです。もちろん快諾し、その後翻訳をほぼ一人で2015年の夏をかけて取り組みました。そして、2015年の10月にMeetupの日本語版がローンチされ、私は時を同じくして、Meetupのコミュニティマネージャーに就任する運びとなりました」

600人ものメンバーが緩やかにつながる「コミュニティマネージャーズ・コミュニティ」

市川さんは、Meetupのコミュニティマネージャーに就任する前より、「これからの社会を支える基盤となり得るコミュニティについて、知識や経験をストックしていこう」と、さまざまな場づくりを展開していました。そのひとつが、震災の翌年、2012年に立ち上げた「コミュニティマネージャーズ・コミュニティ(CMC)」の活動です。

「CMCは、コミュニティマネージャー同士で集まって情報共有したり、成功や失敗の事例を共有したりする会です。Facebookでグループを作っていて、現在は600人以上のメンバーが所属しています。きっかけは、海外の習慣をまねて『コミュニティマネージャー感謝の日』という単発のイベントの開催したことですね。突発的な企画で告知期間も2週間くらいだったにもかかわらず、多様なコミュニティを運営する80人もの参加者が集まってくれたんです。『これだけエネルギーが結集する場ならば、持続させないともったいない!』と感じて、すぐにCMCを立ち上げました」

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「コミュニティマネージャー感謝の日」東京­ミートアップ2016の様子(撮影:集合写真家・武市 真拓)

「CMCのメンバー同士はグループ内でゆるく繋がりながら、お互いの知見や疑問をシェアし合っています。最初は年に1回だったオフ会も段々と頻度が上がり、私がMeetupのコミュニティマネージャーに就任してからは、都内ではほぼ月1回で開催するようになりました。最近では名刺に“コミュニティマネージャー”と書かれた方、企業のマーケティングやカスタマーサポート担当者の方の参加なども増え、いい盛り上がりを見せています」

コミュニティ運営に必要な「オフライン/オンライン」の捉え方

市川さんはこのCMCのほかにも、大小さまざまなコミュニティを運営しています。そんな日本のコミュニティマネージャーの先駆け的な存在である市川さんに、コミュニティ運運営のコツを伺ってみました。

「コミュニティにおいては、SNSなどのオンライン上での交流と、イベントというオフラインでの交流、両方をバランスよく生んでいくことが重要です。それぞれの空間にどんな役割を持たせるのか、オンラインとオフラインでどんな関係性を持たせるのか……そういった目的意識を持って運営するといいと思います」

今や、SNS上では取引先や同級生など、さまざまな関係性の人たちと、常時つながっていることが当たり前となっています。そんなオンライン上での複雑な関係性に疲れてしまって、投稿やリアクションをほとんどしない人も多いはず。しかし、「オンラインでは無口な人でも、リアルなイベントの場では積極的に発言してくれる人も多い」と、市川さんは言います。

「Facebookのコミュニティ上では、知らない人たちもたくさんいます。もちろん、新たなつながりが生まれることも魅力のうちなのですが、そういった場所で『うかつに物を言えない』と感じる人たちは少なくありません。だからこそ、オフラインのイベントって重要なんですよね。

お互いの顔が見えて、ある程度の合意があれば、オンライン上では言いにくいこともオープンに議論したり、相談したりすることができる。また、一度コミュニティ主催のイベントに来てもらえると、その人に当事者意識が芽生えます。言わば、コミュニティ内に“居場所”ができる。そうすると、オンライン上でも積極的に発言をしてくれるようになるんです」

場づくりは一日にして成らず

オンラインでグループを作ることは、コミュニティを継続的に運営していく上で不可欠な施策でしょう。一方で、コミュニティ運営者に話を聞くと、「グループは作ったものの、参加者からほとんどリアクションがない」「グループ向けにイベントを企画しても人が集まらない」といった悩みをよく耳にします。

オンラインの場を効果的に活用していくためには、具体的にどんな視点を持つとよいのでしょうか。この問いに対して、市川さんは「すぐに結果を求めず、じっくりと場を育てていく気構えが必要だ」と答えてくれました。

「当たり前のことですが、オンライングループは“作っただけ、作りっぱなし”では機能しません。たまに開くイベントの告知だけ投げていては、宣伝っぽさが全面に出てしまいます。まずは、参加者の興味・関心を把握して、普段から“ペイ・フォワード”の精神で情報をシェアしていくことで、参加者に『ここは有益な場だ』と認識してもらうことが大事です。その延長線上に『皆さん、こんなトピック気になりますよね』と呼びかけるようにイベントを置くと、参加率もよくなると思います」

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「私は、イベントが終わったら、その日の資料や登壇した方のスライドや簡単なレポートを、オンライングループに投稿するように心がけています。イベント中の情報をシェアすると、その場は来れなかった人たちも、『次回はぜひ参加したいです』『次はこんなテーマでもイベントやってください』とコメントをしてくれたりすることが多いですね。

オンラインで盛り上げて、オフラインへの導線を作る。オフラインのコンテンツをオンラインにシェアして、オンラインを活性化させる……このように、オンとオフで相乗効果が生まれるサイクルを構築できると、コミュニティは自然と自立し、すくすくと成長していきます」

持続可能なコミュニティ運営のために

コミュニティはじっくりと育てることが重要、そのためにも目を向けなければならないのが「サステナブルな運営体制」だと、市川さんは言葉をつなぎます。

「コミュニティ運営って、いろんなことを考えなければならなくて。普段の情報共有から、イベントの企画、登壇者の選定、場所決め、告知文の作成、集客、当日スタッフの手配、二次会の場所のアレンジ、イベント終了後の参加者へのフォローアップ……こられを全部1人で抱え込んでいると、ある時心がポキっと折れるんですよね。私にも、そんな瞬間がありました。毎回、イベント会場で参加者たちが談笑しているのを横目に、黙々とイスを片付けている自分にふと気づいて『これは何かがおかしいぞ』と(笑)」

最初は1人で始めたコミュニティでも、持続的な運営をしていくには仲間が不可欠だと、市川さんは自身の経験から痛感したそうです。

「コミュニティの規模にもよりますが、運営チームには最低でも3人ほど、目線の近いコアメンバーがいるとよいでしょう。1人でやっていると1回のイベントで息切れしてしまうことが多いですが、コミュニティの持続性を考慮すれば、1つのイベントが終わる前には次のイベントの開催が決まっていると理想的です。運営が複数人いると、いくつかの企画を同時進行できるようになります。

それと、煮詰まった時にパッと相談できる相手が2人いると、バランスがいいんですよね。コアが2人だと、どちらかが忙しくなった時に、また1人になってしまうから。3人以上いれば、お互いにフォローがしやすくなります」

いきなり仲間を募らない、まずは場を耕すことから

コミュニティ運営をするには仲間がいた方がよい……わかっていても、そう簡単に適役は見つからないのが現実です。「一緒にコミュニティ運営の仲間を見つけるには、どんな方法がよいか?」と市川さんに尋ねてみると、意外な答えが返ってきました。

「場づくりを始める前、もしくは立ち上げて間もない段階から、いきなりスタッフを募集しない方がいいかなと思います。元からしっかりとした運営チームの母体があるならば別ですが、バックグラウンドのない新興のコミュニティであれば、まずは『ここがどんなコミュニティなのか』を参加者に把握してもらうことが先決です」

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「場を耕して、何回かイベントを運営していくと、必ず協力的な人が現れてきます。頻繁にコメントをしてくれる人、イベントの参加率がいい人、会場の片付けを手伝ってくれる人……そうした相性のよさそうな人たちをスタッフの飲み会などに誘ったりして、少しずつ運営側に巻き込んでいけるのが理想ですね」

「テーマ・時間・場所」を固定すると、人が集まりやすくなる

マチマチのユーザーには「自分の身近な地域で、新しくコミュニティを作って盛り上げていきたい」と考えている方が一定数います。地域コミュニティを立ち上げたいと思った際には、まずどんなアクションをするべきなのでしょうか。

「地域に特化したコミュニティマネージャーとして意識するべきことは、“テーマ・時間・場所”の3点です。『街づくりに関心のある人たちが、毎月第3土曜日、あそこのカフェ(あるいは居酒屋)に集まっている』という状態が作れると、人が集まりやすくなるし、運営側のコストも下がります。『そのうち飲みに行きましょうよ』という場面って多いですけど、なかなか実現しなかったりしますよね。そういうケースも、決まった場があるとつながりやすくなります」

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「これは、イベント企画でも同じことが言えますね。場所と時間を固定化してしまえば、毎回のように日程調整をする必要がなくなるし、ゲストのブッキングもしやすくなる。“テーマ・時間・場所”を設定することは、オフラインの場づくりの基本と言えるのかもしれません」

最後に、これからコミュニティマネージャーとして動いていきたい人たちへ向けて、何かアドバイスをとお願いすると、市川さんは次のように締めくくってくれました。

「個人の興味や関心、継続的に取り組んでいきたいテーマを、積極的に発信してみてください。手段は何でもいいですが、情報のストック性の高さを考えると、ブログなどがいいと思います。発信して、個人のテーマを可視化すると、読者がついてくる。そのうちオフ会を開いてみると『ブログ読んだよ』という人が来てくれる。これってまさに、コミュニティの始まりそのものなんですよね。まずは自分の興味をフックに身の回りから、“楽しいことを一緒にやれる同志”を増やしていきましょう!

年明けの1月23日には、今年で5回目となる『コミュニティマネージャー感謝の日・東京ミートアップ』を開催予定です。コミュニティ運営に携わっている方、ご興味あればぜひご参加ください」

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市川さんのお話には、これからのコミュニティづくりを考える上のヒントがたくさん詰まっていました。「テーマ・時間・場所を決める」といったアドバイスは、明日からすぐ実践に移せる要素ですね。サステナブル(持続可能)なコミュニティ運営の一助として、マチマチを活用していただける機会が増えるよう、私たちも機能拡充やユーザーサポートに尽力していきます。

マチマチを活用して、持続可能な地域コミュニティづくりを

マチマチでは今後も引き続き「コミュニティデザイン」にまつわるリサーチ・インタビューを継続的に行なっていきます。ぜひ、チェックしてもらえたら幸いです。「地域でコミュニティを作って盛り上げたい」と考えている方は、マチマチを使ってみてください。

machimachi.com

ほかにも、過去にはコミュニティーデザインについて、こんなインタビューをしてきました。ご興味ありましたら、ぜひご覧になってみてください。

 

lab.machimachi.com

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高齢者の健康面も併せてサポート! 「買物弱者」を救う企業や地域のアプローチ(2016年12月下旬・コミュニティデザインニュース)

コミュニティデザイン ニュース CCRC 高齢者支援 秋田県 買物弱者 磐田市

 

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ご近所SNS「マチマチ」のコミュニティデザインチームでは、よりよい地域社会のデザインを目指して、日々参考になるようなニュースやトピックのリサーチを行なっています。その中で集めた情報を「ご近所未来ラボ」で定期的にシェアしていきます!

machimachi.com

私たちと同じように、地域の課題解決に取り組もうとしている、あるいはすでに取り組んでいる方々にとって、少しでも参考になれば幸いです^^


高齢化に伴って増える「買物弱者」への支援

高齢者の「買物弱者」について経済産業省では以下のように定義されています。

“買物弱者とは流通機能や交通網の弱体化とともに、食料品等の日常の買物が困難な状況に置かれている人々のこと。徐々にその増加の兆候は高齢者が多く暮らす過疎地や高度成長期に建てられた大規模団地等で見られ始める。経済産業省では、その数を700万人程度と推計。”
「買物弱者対策支援について(METI/経済産業省)|経済産業省HP」より引用)

 

高齢化に伴って増加している「買物弱者」への対応は、政府レベルでも重要視されています。そんな流れから、地域密着型の買物支援事業は、これから確実に増えていくことが見込まれます。先日は、大手コンビニストアのローソンが「買物弱者」に向けた移動販売の事業に力を入れる、という旨のニュースが出ていました。

www.yomiuri.co.jp

”お客様の身近な存在となっているコンビニエンスストアで、これまでも『食』を通じて皆様のお役に立ちたいと努めてきた私たちローソン。
その業態を進化させ、健康志向や高齢化社会に対応するためにOTC医薬品の販売を強化した生活サポート型のコンビニエンスストアモデルが“ヘルスケアローソン”です。
地域社会に根ざした“マチの健康ステーション”として皆様の便利をしっかりとサポートしていきます。”
(下記、LAWSON HPより引用)

www.lawson.co.jp

この事業の中で注目したポイントは、単に「買物弱者」に必要な商品を届けるだけでなく、高齢者の「健康」への配慮が組み込まれていることです。食生活の向上や健康管理は、高齢者の独居が増えている過疎地域では、深刻な課題のひとつとなっています。関連の強い複数の課題に対して効率よくアプローチしていくことは、地域の問題解決に取り組む上で、とても重要な視座だと感じました。

「買物弱者」対策の取り組みは、他にもさまざまな地域で展開されています。こちらは住人有志が地域振興団体を結成して、高齢者の買い物の支援体制を構築している事例です。

www.at-s.com

同地区の社会福祉法人2団体の協力でデイサービス施設や公民館などを回り車で高齢者を送迎した。参加者からは「家の近くに店が少ないので便利で助かる」(80代女性)、「将来車が運転できなくなった時のことを考えると、今後も出張販売を開いてほしい」(70代女性)と継続開催を望む声が多く聞かれた。 
(上記記事より引用)

 

全国から注目を集める「秋田版CCRC」

近年、政府はCCRC(Continuing Care Retirement Community、和訳では「継続介護付きリタイアメント・コミュニティ」)の全国的な整備に向けて、積極的な動きを見せています。

中でも、全国的に見ても高齢化率の高い秋田県では「秋田版CCRC構想」が推進されており、CCRCの形成に積極的な自治体として注目を集めています。

www.pref.akita.lg.jp

 

以下、秋田の地域新聞が社説として今月公開した、自県のCCRについての考察記事です。

www.sakigake.jp

“現在、JR秋田駅周辺では民間主導の二つの計画が進行中だ。一つは駅東口のJR秋田支社の所有地を活用したスポーツ整形外科の新設で、JRはこれを核にスポーツ・健康増進ゾーンを形成する考え。周辺に居住施設が張り付くように環境を整える。もう一つは駅西口に金融機関、医療介護関連施設、高齢者向け住宅が一体となった高層ビルの建設計画で、施設自体がCCRCとなるイメージだ。”
(上記記事内引用)

 

上記の記事にも言及されていますが、日本のCCRCの考え方は、発祥地であるアメリカのものとは異なっています。アメリカのCCRCについては、政府が主宰している「日本版CCRC構想有識者会議」の資料にて、わかりやすく言及されている箇所がありました。

“○米国では、高齢者が移り住み、健康時から介護・医療が必要となる時期まで継続的なケアや生活支援サービス等を受けながら生涯学習や社会活動等に参加するような共同体(CCRC:Continuing Care Retirement Community)が約2,000か所存在している。(推定居住者数:75万人)
○ 中でも、大学での生涯学習等を通じて、知的刺激や多世代交流を求める高齢者のニーズに対応する大学連携型CCRCが近年増加している(約70か所)。”
(「日本版CCRC構想有識者会議の開催について(平成27年4月3日)|まち・ひと・しごと創生本部」より引用)

 

「日本版CCRC構想有識者会議」の議事録や資料は、下記のサイトにてまとめて公開されています。政府が具体的にどのようなアプローチを検討しているか、国内のCCRCの動向を知る上で、非常に参考になります。

www.kantei.go.jp

アメリカから渡ってきたCCRCが、どのように日本に、そして地域ごとにローカライズされていくのか……今後とも全国各地の動向を追っていきたいと思います。

「ご近所未来ラボ」では、今後ともこうしたニュースのピックアップを定期的に行なっていきます。TwitterとFacebookで最新情報をお届けしているのでお届けしているので、ぜひフォロー&チェックして頂けたら幸いです。

 

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